一実の道

 第七之御諭し

 
如何に深き縁(えにし)たりとも、真に味方同志とは限らず。

 縁の深く深き程、又、この因縁深きにより味方となりて現はるるも、
 敵となりて現はるるも、此れ皆己れが蒔きし因果の種、
 己れ一人に刈りゆく所、それ仏に縋り縋り縋りて懺悔(さんげ)なし、
 悪縁なれば尚懺悔なし、懺悔懺悔と行じゆき、
 只ひたすらに罪を謝し、相手の提婆、真の味方となしてこそ、
 此の業障は消ゆるなり。

 されば、親子となりての深き縁も、仇同志の結ばれしならば、
 それ実相に現はれゆく悪相、真に悟りて懺悔なし、
 懺悔懺悔と懺悔成しゆき、親なる者なりと尊く有り難く、

 如何なる無理難題にも、心を静めて解脱成しゆくところに、
 相手の悪念自ずから消え、真に味方となりて、
 真に心と心の結び合う親子とは成りゆけるぞや。

 夫婦、同胞、朋友、師弟、君臣に於ても亦、皆同じ理なるぞや。
 縁深くば深き程、悪念持ち合うは、深き罪障つくり来たりし者共なり。

 又、好意持ち合ひ、お互いに睦み合ひ、愛しみ合うは、
 それだけの善因縁有る両名なり。

 縁深くば深き程、此の因縁も深きなり。
 此れ皆「法華経」の教へなるぞや。

 よくよく悟りて、凡ての者にあてはめて、
 方便品(ほうべんぼん)を悟るべし。

 合掌

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