一実の道

 第六十之御諭し

 晴れわたりたる大空に皎々として照りわたる、
 此の明月の光に照らされ、輝ける道明けく踏み行くかんとして志くる汝等。
 妙法只今神前にありて、余と共々に語り合う夜ぞ。
 今宵嬉しき一刻にあり。

 晴れたる空に満ち溢れたる満月の姿、此れ「法華経」なり。
 月は自ら光無くして、太陽の恵みの光に反射なし、
 地上を照らして、汝等を導きゆかんは、育める母の愛なり。
 陰にて姿無くも亦、斯く姿あらはしめて、
 万物を照らさしめゆく太陽の慈悲、此れ父の愛なり。
 佛の慈悲なり。

 斯く暗夜と雖も月の光あり。
 満月の夜の陰無き光、各々が心々と致しゆきかな。
 されど人心は猿猴の如くして、満つるは欠くるの慣ひあり。
 太陽の永遠の光の「法華経」に、身の実相と子孫代々あらはしゆかんは、
 過去億々万劫なる無数劫の因縁洗除し、懺悔(さんげ)懺悔と清浄ならしめ、
 やがて辿り行くべき理想の世界なり。

 されど苦は楽の糧、楽は苦の糧、
 猿猴の如く、止まるを知らざる己が心に引出す諸々の因縁、
 次々と満月の欠くるが如き実相現はし、
 懺悔致されゆく身の修行、劫々にして憂きものにあり。

 さればこそ、娑婆「憂き世」とはよくぞ申せしものなれども、
 されど究極大本願たる「阿耨多羅三藐三菩堤」身得して進みゆく心、
 日夜に忘れず、絶えざる精進以って、
 佛に近づきゆかんを志しゆく日々の在り方、
 倦みたゆみ無く辿りたどりて、
 消えざる光の欠けざる月の「法華経」実相の世と、
 我が身安穏安住楽土に到達致し得るものなり。

 月々に猿猴の如く、移り変わりゆく己が心の時間ときまに、
 只一筋の信念以って筋金となすを忘れず、
 生きとし生きゆく身の使命、果たしゆかんを精進なすべし。

 満月の夜に欠けたる事無き月を仰ぎて、
 斯く「法華経」実相の世に何時の日、汝等到達なすべきやと
 そぞろに感慨一入なれば、
 斯くは役目に降臨致せしものにあり。
 各々が現世出生の大自覚道、片時半時つゆ忘るるなよ。

 合掌

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