一実の道

 第五十八之御諭し

 汝等、只今まで此の悪世に呻吟致し参りて、迂闊なる衆生と共々、 
 無量の大慈に無限の威力の知らぬ存ぜぬの生業にありたり。

 さればこそ、今此処に大慈大悲を以って、
 汝等「法華経」受持致さしめられ致すが故にこそ、
 悟らしめられゆく、身の大徳賜る因縁、
 其れ深甚微妙現世に於ける第一歩、
 其の発芽たる出生の神秘悟らしめられ、悟りゆく御手配賜りて、
 世に掃き捨つるが如く、多き童のうかうかと見過ごし来たれど、
 只一人我が家我が身に賜らんと為す事、
 如何に難しきかを悟りしなるべし。

 人、出生のその陰に、力致され給ふところの役目々々の
 神々の其の御心労こそ又、多大なり。
 手を差し伸べて頂き得るも、劫に以って容易に非ず。
 授け賜はる神の力と、頂き得る己れが力と、
 此処に妙法一致たる無限の威力現し得てこそ、
 神意に報いたる無量の御手配以って、 
 現世実相と現はし得るところなり。

 「法華経」は空(くう)にして、無限大なるが故に空なり。
 さればその空なるを以って、 
 小さき己れ一人の有と致すべきものに非ず。

 非ざれども、既に己がものとなる。
 此処に、妙法一致陰陽合体の神秘、
 その第一歩より悟らしめらるるところの御手配、
 心空しう致して又、心の在り方、 
 よくよくあらしめて戴き得べく、全う為すべし。

 空なるを実と現はして、此の「法華経」にあり。

 合掌

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