一実の道

 第五十七之御諭し

 人智如何にたけたりとも 科学如何程発達致すとも、
 文明その極に達したるが如く、開花致せし世となるとも、
 甚深微妙、甚微妙、摩訶不思議なる絶対の威力(いりき)
 五官を超越致して、六官に尚映ぜざるところの
 肉体持つ身の解し能はざる神の力、宇宙に充満致して、
 如何なる世とならんとも、無量の神力を以って、
 無限の威力、振ひたまへばこそ、
 天地宇宙を貫きたる絶対の法則、それ「法華経」微塵の揺ぎ無し。

 されば、億々万の過去世より犯せし罪障積みし陰徳、
 此処に因果と現はれて、現世に生ずる実相にこそ、
 神佛たりとも犯す能はざるところの絶対の威厳有り。

 されば、まして微力なる人智もて、如何に推し量らんとも、
 如何に限りの力尽くさんとも、
 人力の如何んとも成し能はざる世相、日々に現はれてあるところ、
 人事ならず、身に受けて、法華経行者たる己れ、
 絶対の信念を持ち、縋るべきところに縋り寄れども、
 尚、揺らぎつつ危惧致しゆく日々の諸々の因縁、
 世の因縁を受けて支配致されんとなす、奸魔致さるる己れを悟らず。

 ややともすれば疑惑を生じ、受持なす「法華経」その威力信じつつ、
 尚、不安におののく時間(ときま)時間の因縁奸魔を
 己が心の信念の揺るぎたるコマ引き締め得ずして、
 崩れゆく者哀れなり。

 さても思へば、各々が身、現世に出生致せし事すら、
 科学を以って、人智を以って、人力を以って、
 成し能はざるところの
 甚深微妙甚微妙とも言はん方無き御手配なるを
 無限充満の威力と知らず、

 うかうかと生い立ちて、知らず知らずに、 
 又、知りて尚、積み重ねゆく罪障に、
 己が身に尚も、神佛より遠ざけゆく実相にある事、
 辨へ(わきまえ)得ざる実相にあればこそ、
 悪世と申し、末法と申すなり。

 合掌

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