一実の道

 第五十五之御諭し

 高き位も卑しき身にも皆、神仏の手配にあり。
 只、現世は舞台なり。
 肉体持つ身は役者なり。
 又、その衣装は仮着なり。
 楽屋に帰りて裸になれば、真の上下は舞台の姿によらず。

 汝、舞台に出でし金糸を飾り、上段の間に控えあるとも
 賎しきに身をやつし、主役演ずる先輩に勝らず。
 楽屋に帰りて裸の姿に、己れを相手を真の姿を
 法眼浄に映しゆくべし。

 されば、虚栄も見栄も外聞も
 皆、観衆の只興味に踊らさるるものなりと
 悟らるるであろう。
 愚かなるその根性こそ、我が身の救はるる垣根となるべし。

 己が心に己れ砦を造りて、
 真の無垢清浄本願達成の道、阻みおらぬや。
 今一度の反省をこそと、一言汝に問ひたきなり

 合掌

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