一実の道

 第五十四之御諭し

 世に奇しき縁と人申すなり。
 其れ因縁因果の理法、辨へ(わきまえ)おらざればなり。
 法華経行じて、因縁因果の宇宙の真理、其れ輪廻にありと悟りおるなれば、
 たとへ如何なる縁なりとも、此れ過去に蒔きたる因縁の種、
 芽生えて実りし因果と知るなり。

 かのスサノオノミコトの話一本の流れ来たりし著によりて、たぐりたぐれば、
 歴史に残る縁あり。
 此れ悟りなり。 
 例へ無心の一本の木切れの此れ人の使ひし縁のあればこそ、
 此れ無に流れず、眺めし尊の有と変ずる甚深微妙、
 計り知れざる因縁因果の糸とは斯く結ぶなり。

 ほどきほどきて過去悟るなら、今日此処に結ばれの因果、
 昨日あそこに因縁作りてあればこそなり。
 偶然不思議と申すもの無し。
 如何に不思議の縁なりと見ゆるも、
 此れ皆遡りて、過去の因縁あればこそなり。
 縁の糸の見えざればこそ、不思議とも云はん。

 又、然ともこぢ付くるなり。
 神佛の眼より眺めて不可思議は無し。
 又、偶然と徒らに言い紛らわす事、何事も無し。
 現在眼前の実相、此れ皆過去の因果なり。

 結びしもとの縁こそ、げに尊くも又重きかな。
 悟れよかし。

 汝等、妙法ただ徒らに偶然なりと申す縁にあらざることを
 過去世より、又その前の過去世より、
 余は常に身近を離れず汝等妙法、 
 真に一致とならん日をこそ望みて、努力致しおるなり。
 心、禅定に持し、真に過去世を悟らるるなら、
 現世の使命、又自ずからに明らかなり。

 汝、悟るべし、悟るべし。

 合掌

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