一実の道

 第四十三之御諭し

 月に村雲、花に風、  
 浮き世の嵐何時吹かんかを測り難きが娑婆世界なり。
 身、下界に住まひ致して、日々因縁の悪魔をつくり
 悪魔に狙わるる身は、しばしが間油断はならず。
 心に隙間の乗ぜしなれば、 
 その油断こそ悪魔の付け入る隙間なり。

 如何に成佛許されしとても
 色神下界に残す身は、苦難の絶間ぞ無きとこそ思へひで、
 只禅定に相定め見詰むるところは一筋の光、
 縋る心には一本の道、到達致すは佛の御許、
 日々此れ、此の心掛け忘るるべからず。

 如何に又、浮き世の嵐吹き荒ぶとも
 法の大樹に縋り寄るなれば、此の身佛の袖の下にありて、
 嵐些か身を害せず憂ふる勿れ、
 辱世の娑婆に身を置きて、蓮と咲かんは難けれど、
 此の揺るぎなき大樹に縋りて、其の庇護の下に生い立つなれば、
 天地の恵み身に受けて、衆生喜ばしむるの花と咲くなり。

 悪魔隙間の付け入る隙作るは、己が心からなり。
 只々、禅定に禅定に持ち、一心凝りて縋り寄るなれば、
 如何なる悪魔と雖も汝等を災い致すこと出来得ざるなり。

 合掌

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