一実の道

 第三十九之御諭し

 汝、阿耨多羅三藐三菩提(あのくたらさんみゃくさんぼだい)の
 境地悟り得しかや。
 過去現世未来を通じて、障り無く、
 寂光の光に包まれし完全円満なる境地、
 此れ阿耨多羅三藐三菩提の境地なるを
 濁りし耳に聞きたるのみにて、何の甲斐ぞあるかや。

 此れ、只修行とは、体得致すべく実行努力致すべきことなるぞや。
 身に具わりし此の境地、欠けたることの無き思ひ、
 如何に幸せならんかを想像するだに得難きなり。
 此の成佛への道、展かせやらんとて、
 神は指導も致すものなり。
 神仏と汝との懸隔(けんかく)如何に遠きかを
 想像致せしことやある。

 いと高くして、到底想像するだに難き御方々なるを
 勿体無くもお厭いもせらぜず、汚れし眼前に 御降臨遊ばされ、 
 御直々に諭し給ひ教へ給ふは、三世諸佛の御許なればこそなるぞや。

 汝は知りて悟らず、いと易々と御手配賜りても
 尚、正道に足踏み入れて、一歩一歩と踏み締め踏み締め、 
 進み行かんとの決定(けつじょう)には、未だ尚遠き心境、
 此れにて法恩報ひ奉らんの日は、
 何時来るべきかを反省致せしことやある。

 虚栄の娑婆は、風吹き荒び、
 何時の日汝の足許すくはんも計り難きぞや。
 倒れて後は尚難し、足許確かなる中にこそ、
 健全なる歩みも亦、確保致さるるなり。

 停滞は 修行とは申されぬなり。

 合掌

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