一実の道

 第三十七之御諭し

 心の憂色身にあらはれ、実相となりて移り行く様、
 いささかなりとも悟らるるかや。

 雨にも風にも心を痛めて身に庇ひ、
 只其の成長を乞ひ願ひ育む身にとりて、
 意の侭ならず成長阻まれし時、
 其の心痛や如何ばかりならん。

 汝、汝をして斯く煩はさるる者、陰に在るなるを
 一度なりとも思ひし事やあるならん。

 汝が成長一日遅れば、其の一日如何に取り返へし難く、
 思ひて惜しみ悲しむ余が心中、忘れて居りしかや。
 常に申し聞かするが如く、余は常に汝の傍に見守り居るなり。
 一喜一憂、心休まる日とては無きぞや。

 如何に世の汚れし中にも、
 純白に蓮(はちす)の如くに咲く身とはなるべき使命、
 忘るるなよ。

 汝が使命、いと重くいとも気高きものなるを甚深微妙の
 微妙の教へ、一つひとつと悟りゆく所に、次第しだいに展かれゆくなり。

 五欲煩悩 遠離(おんり)せず、地上に於いて即身成仏致さんには、
 只此の悟り、唯一の力にして、此の絶対の力、身に具はる所に
 邪魔する悪魔、刃向かうこと出来得ざるなり。

 然るが故に、現世万物如何なる因縁にても
 此の威力(いりき)の前には、いと脆きものなる故、
 閉ざされし物事、いとも易々展かるる道理、
 此処に即身成仏の実相、一切の現象として実現致す所以なり。

 されば、道遠きに見えて近き御法、
 只、妙法蓮華経、佛所護念の一筋あるのみなり。

 如何なる時、如何なる場面に、如何なる事の起らんとても
 泰然自若(たいぜんじじゃく)微動もゆるがぬ絶対の信念、
 此れ汝を佛と致すものなり。

 此の修行、日々に事々にあたりて、
 体得致して身に具へゆくべし。

 合掌

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