一実の道

 第三十五之御諭し

 されば、他を羨む事無く、 
 己れを悔め、己れの誠至らざるを悔やみ、
 懺悔(さんげ)致して縋るところは只一つなり。

 大慈大悲の御佛の懐に、赤子となりて飛び込むところ、
 全心全霊、慈愛の御衣に包まれるなり。
 此の秘訣、只御佛に愛しまるるの秘宝なり。

 それを知らずして、各々が邪心は角をはやして鬼となり、 
 却って御佛蹴散らさんの勢いにて遠ざかりゆく、
 愚かにも又、哀れなる姿、実相となりて現れ
 野良犬の如くに痩せさらばへて、
 彷徨う亡者の何と多きことかや。

 救ひたきの余が手、振り解きて逃げゆく者共、
 逃ぐれど逃れど如何に逃ればとて、
 三界は御佛の掌なるを知らず、
 知らぬこと、斯の悟空が例へにあるが如きなるぞや。

 笑止千万 愚劣なること
 斯の地獄の鬼もあざ笑ひおるなり。

 此の娑婆の有様 悪世末法の世と申すなり
 此の悪世末法の世に一もとの蓮(はちす)と咲くべし。

 此れにてこそ、今日(こんにち)受くるところの
 大慈大悲に報ひ奉らんの只、唯一の道なり。

 汝等、妙法の蓮と咲かん日まで、
 枯れてはくるるなよ。歪んでくるるなよ。
 やがて輝く清浄の大空仰ぎて、
 開く日を只一心に望みて、
 真直ぐに上へ上へとのび上がるべし。

 合掌

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