一実の道

 第二十五之御諭し

 されば此処に過去現世未来へと続く楔(くさび)の無きなれば、
 積みし徳も残すればとて其の甲斐無し。
 又、如何に悪徳積めばとて積めば積み徳となるならば、
 世は阿鼻地獄と変ずべし。
 恐らく善徳の陰すらも見出し得ぬ現世とはなるなり。
 未来への楔あればこそ此の楔、己が戒めとなり悟りとなりて、
 現世安穏即極楽浄土と化するなり。

 されば未来にゆきし時は、現世は己れに過去となるなり。
 此の現世未来に通じおればこそ、未来もまた 
 現世安穏即極楽浄土に、成佛の姿となりてあらはるるなり。

 而して又、己が過去に残せし徳、受け継ぎうけつぎ
 残しくれゆく子孫のあればこそ、 
 己れ又現世に帰りし時、其の積重ね参りし高徳、
 己れを其のまま高き位に持ち上げ迎へくるるなり。
 されば此処に、過去現世未来と通ずる楔のあるなればこそ、
 己が高徳も生くるなり。
 永遠に己れのものと身に付きゆくなり。

 此の己が高徳守りまもりて、帰りし己れに又渡しくるるは、
 己が子孫に非ずかや。
 されば 子孫あればこそ、己れの過去も生くるなり。
 未来の光明も見出さるなり。

 此処に過去現世未来と、己れを生の希望に繋ぐ子孫ならずや。
 されば己が子孫、如何に重要なるか身に痛切に感ずべし。

 斯程にまで己が身の為煩いくるる子孫、
 如何で可愛きことの無きことのあるべきかや。
 此の可愛さ一入(ひとしお)なるも
 己が身愛しき故なればこそなるであろうがや。

 己が身愛しくば、己れ未来を願うなら 
 子は絶対に必要なり。
 己れ未来に通ずる橋は、我が子をおきて他には無きぞや。

 さればこそ、子は三界の首枷(くびかせ)なり。
 可愛きたとへ、如何に可愛き筈なるかを
 此れにて悟りし訳であろう。

 汝、未来の幸を希う(こいねがう)ならば、
 折角汝が日々精進なして、徳積みゆきし現世の果報
 守り伝へて、再び己れの帰りし時、渡しくるるべき子孫は
 必ず残し置くべし。

 汝に 余が心を尽くして「子を持て」と申せし真の意味、
 此れにて相解りくれしかや。

 汝が徳、未来永劫伝へ残すべし。
 さもなくて、何の精進甲斐あるべきや。

 合掌

 一実の道目次


TOP