一実の道

 第二十四之御諭し

 子は三界の首枷(くびかせ)とは存知居るかや。
 真に我が子の愛ほしさ身に体得のなき者に悟り得ざる言葉にては
 あろうがや。
 されども我が子の愛しさ可愛さに百倍して、子は絶対に必要なる事
 只今より余が申すことを聞きて肝に銘じて、よくよく悟り開くべし。

 この世この宇宙、即ち過去現在未来と繋がる此の三世は
 何によりて繋がりおろうかや。
 過去と現世と未来と繋がる此の三世は繋がり無く、
 ポツンポツンと途切れしものならば、 
 おそらく現世の苦しみも少なからん。
 又、未来の不安も除かれん。

 されども又一面、己れ生まれながらにして何不自由無き現世に
 温かく迎へらるることも、此れ又到底望み得ず。
 又如何に親なる者の徳残し財残すも子々孫々迄に余徳は残らず。
 又如何に己れの辛惨致して巨万の財宝築き上ぐるも
 此れ皆未来に繋がる望み無ければ、さながら泡沫の泡の如くにして、
 掴みやらすべき子孫にも、掴めば消ゆる一瞬の夢となるなり、

 分かり居るなら、如何に努力の致すべき根気のあるべきかや。
 又、己れが魂行くべき先も只闇にして、
 現世に彷徨ひ、死を知らず、悟らず、未来永遠只現世の存在のみ
 続くものなら、汝よくよく思ひて考へみるべし。

 苦悩ある者、只日々に現世生存の苦悩のみに喘ぎあえぎて、
 何時果つるとも分からぬ己れの苦悩に、救い無き苦しみ、
 只日々を送りおるなら、現世は如何にうみ疲れ、
 自己も思はず、勿論家庭も他人も思はぬ 
 麻痺状態となるではなきかや。

 此処に、未来に通ずる望み、無限に続く救ひの燈明ありと信じて
 護られゆけばこそ、現世生存の意義も生まれ、
 又未来に残すべき名も財も此処に望みの持ち得べきこととなるなり。
 されば未来に続く楔(くさび)此処に必ず無かるべからざるものなり。

 過去の罪障皆負ひて、現世への楔渡り来たりて、
 此処で未来の燈明見出し得て、過去の罪障懺悔(さんげ)消滅成し、
 現世の徳を子孫に伝へ、己れ救はれ、未来の楔を渡り行くならば、
 其処に待つべきは栄光の佛座なり。

 而(しか)して又、己れ佛座に座し、尚未来への役目を果たすべく、
 又現世に現はれ、徳を残して未来にかへりゆく現世に参りし時、
 己れ生まれ迎へらるべき子孫の無くば、 如何に心の拠り所得べきや。

 己れ徳を残して子孫に伝へ、又々未来消失の日の善因残し置きし故、
 再び輪廻転生の日には十全の徳の高い床、輝きに満ちて
 己れを迎へ入るるなり。

 合掌

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