一実の道

 第十一之御諭し

 衆生済度と一口に申すも、凡夫の身にて為せる業かや?

 返答「衆生済度凡夫の身にて為せる業には非ざるも、
 御仏の衆生済度の御心を、いささかなりとも心として
 行じさせて頂くことと存じます。」

 左様なる手緩き心にては、足下に火の燃え移りしが如きこの悪世末法
 救われ難きぞや。

 我が身を阿鼻叫喚の地獄に投じて、己れ忘れて只、
 うようよと喚き苦しむ亡者共、手当たり次第にひっぱりひっぱり、
 仏、救いの御綱に結び付けむすびつけ、一日も早く此の世を
 悪世となす亡者餓鬼共を仏の御綱に縛り付くるの心構え、
 此れ必死に働かせてこそ、先ず大乗は生かせるなり。

 其れ、導きと実相に現はし、導きみちびき手繰りよせよせ、
 隅々にまでもさらへ尽くして、神国全土を浄土となして始めて
 己が身も此処浄土には住まひ出来るなり。

 而して後に海を渡りて他国に広め、他国も亦此の神国を中心となして
 此の尊き御法に手繰りよせたぐりよせ、人類全体を妙法蓮華経の大御旗の
 下に集結なさしめてこそ、一天四悔皆帰妙法完結致すなり。

 此処にて始めて余は安堵致すなるぞや。

 その日までは、汝もまた法華経行者の一員ならば、仏と共に尽力致すが
 此れ道なるぞや。
 汝、此の道歩みおるかや? 歩みおるかや?
 さらば法華経行者にあらず。

 余は法華経行者以外の者は弟子に致さぬぞや。
 汝、仏の大道分かりおるであろうがや。
 此の大道歩まずして、日々夜々の指導を受けても無駄であろうがや。
 指導を受くるは、教へを受けて己が身に実行を致すためなるぞや。

 実行出来ずに、只徒に神仏を患はす罪障如何に深きことなるか、
 汝は真に悟りおらぬよな。

 分からなぬ者を咎め立て致さばとて、此れ愚かに等しきにより、
 只今迄の罪は帳消しと致すべし。
 されど只今よりは噛んでふくめて申せしにより、まだ分かずとは
 申せぬぞや。

 決定(けつじょう)如何に?
 其の決定必ず忘れては相ならずぞや。
 最後に繰り返し今一言重ねて云はん。

 法華経は大乗なり。
 汝、法華経行者たらんと致すならば、真に大乗に生くるべし。

 合掌

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