「頼む、女王騎士になってくれ!」

『は?』

ある晴れた昼下がり、ルークとテッドの二人は明らかに刺客と思われる者に襲われている青年を助けた。

数十人いた刺客を、大して息を乱さずに倒しきった二人が、青年に声を掛けたところ上記のような言葉を言われて、流石の二人も目が点になる。

「女王騎士の決定権は・・・・女王騎士長と女王のみにある。ってことは・・・」

「フェリド女王騎士長だね」

「そうだ。」

二人の確認の言葉に青年・・・フェリドは頷く。

「あんたアホか?なんで騎士長たるもんがこんなところ一人でほいほい歩いているんだよ。護衛もつけねぇで」

「俺が狙われているという情報が入ったのでな。囮に・・・」

「反対されたから一人で出てきたと?」

「・・・何故分かった」

「女王騎士長の危機なのに、誰も飛び出してこないし。何より、ここ一キロメートル範囲に気配が無いもの」

さらり、とそう言ったルークに、フェリドは目を見張る。

あの刺客を糸も簡単に倒しきった事から強い事はわかっていた。

だが、ココまでとは思っていなかったのであろう。

忍びでも、そこまでの気配察知能力を身に付けるには、それなりの修練が必要なのだから。

「あんた、自分の身一つが人々にどれだけ影響与えるか分かってるか?無謀と勇気は違うんだぜ?自分の身の丈にあった行動範囲にしろよ」

「そういうことを考えられない人の下に着くのも、上司の行動パターンも分からずこうやって一人で敵の下に送り込んでしまう同僚を持つのも嫌なので、先程のお話はお断りさせていただきます」

「ま・・・まってくれ!」

いいたい事だけ言って、颯爽と歩き出す二人にフェリドは慌てて叫んだ。

呼びかけられ仕方なく二人は振り返る。

「まだ何か?」

「国に・・・俺に忠誠を誓わなくてもいい。俺の息子の騎士になって欲しい」

「王子の?ふーん。」

なにやら理解した・・・という顔をするテッド。

伊達に300年は生きていないのだ。

人の考えなど少しの材料がそろえば簡単に理解してしまう。

それに気付かず、フェリドは語りだす。

「俺の息子・・・キリトは、その性別と外見ゆえに貴族共に蔑ろにされている。・・・命すらも狙われているのだ。常に騎士を付けていたいのだが・・・公平にしなければならない女王騎士でも派閥がある。それに囚われない騎士が欲しいのだ。」

「理由はわかりました。しかし、最近新しい騎士候補が入ったとお聞きしましたが?」

「あの子は・・・、女子だ。力はあるが、男である息子の事を完全に理解してやることはできないだろう」

少し躊躇った後に呟かれた言葉。

そこには少しの恐怖が入り混じっていた。

それを敏感に感じ取ったテッドは、器用に片眉だけぴくりと上げる。

「受けてもらえれば優遇はする。どうだ?」

(なんか込み入った事情がありそうだな)

(だね。どうする?)

(俺はかまわねぇが。お前は大丈夫か?)

(ん、心配してくれてありがとう。でも大丈夫。ばれてもこの人達にどうこう出来るとは到底思えないし。)

(それもそーだな)

じっと、様子を伺ってくるフェリドを尻目にアイコンタクトで会話を交わした二人は、同時に頷いた。

「分かりました。忠誠を誓わなくていいのなら、そのお話お受けしましょう」

「おお、助かる!ではさっそく城に戻ろう」

二人はフェリドを守るように、あたりを警戒しながら、王宮へと向かった。

数人、生かしておいた刺客を引きずりながら・・・。

 


やってしまいました。THE捏造。
いや、元々設定から捏造なのですが・・・。
テッド×4主【その後】妄想同盟様で、みた主張があまりにつぼった為に4時代をすっ飛ばして先にこっちができちゃいました。
4様&テッド女王騎士計画。