誕生和讃
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誕生和讃
               作者不詳

一  帰命頂礼遍照尊
   宝亀五年の水無月(みなづき)の
   望(もち)のみ空に紫の
   雲の棚引(たなび)く朝ぼらけ

二  楠の青葉の香(かん)ばしき
   館(やかた)の奧に賦し給う
   玉依御前の懐(ふところ)を
   出ゆき給う聖(ひじり)をば

三  朧(おぼろ)に見しは夢ならで
   現(うつつ)なりけん人草を
   救いまさんとみ仏の
   姿を人によそおいて

四  生まれましける嬉しさよ
   祝いまつらん諸共(もろとも)に

(楊柳にて)
   南無大師 生まれ給いし よき日をば
   いざや祝わん 幾千代までも
   南無遍照尊 南無遍照尊

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