高野山真言宗播磨宗務支所長弔辞
 
 夫れ法界宮殿の月の光は自性清浄の台を照し五智所成の花の色は永えに
秘密荘厳の梢に開く
 爰に金蔵山金蔵寺元の住職大僧正學明大和尚、当地に生を享け師僧東野
寛明大僧正の薫陶を受けながら学を南山及び京の地に修め名師に就きて事
教二相に通ずる処となる。而して諸流を得ては其れを後進に伝授するにも心を
注ぎ各地に授法を乞われて教法を広ぐる。又数多の書物を著しては事相に亘っ
て便に資す。然れば大和尚を慕いて多くの子弟来集し得度・加行を受くる者二百
数十名と聞く。
 又播磨宗務支所に於いては副長を二期勤め第六伝道団副団長として布教活
動に功を上げる。
 地域にては民生児童委員を永年に亘って勤め地域福祉の沿い兎信に寄与す
る処多大なるものあり。
 而れば近年は県下は言うに及ばず関東より九州に至る広範囲に及んで伝授
会に赴き本宗教師の資質向上と大師の教法布延に大きな功績を残し集団元老
として尚今後大いに活躍さるの期待大なるもの有りしに、去る七月二十七日来
客と対談中に突如倒るるや再び立つこと能わず七月二十九日忽然として遷化
さる。齢八十有二歳なり。嗚呼無常なる哉尊き伝授の師碩学の先輩を失う。
 本日茲に有縁の士後学の弟子相集い永訣の儀式を刷い、教界の巨星の示寂
を悼み霊前に詣でて果後の増進を祈る。
 小衲播磨支所長の役職のみならず積年の深き縁を以て霊前に額づき恭しく
名香を献じて心底より追福を祈り奉る。
    平成十三年八月二日
          高野山真言宗播磨宗務支所長   井 村 正 身