『かなくら山報』への寄稿 2004
最終更新 

 金蔵寺住職として、記名または無記名で
「かなくら山報」に掲載したものです。

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            雪のかなくら山
            『かなくら山報』第110号 2004/01/01
                     金蔵寺住職 東野正明

雪の本堂03/12/20 雪の石段03/12/20 雪の紅葉03/12/20 雪の自動車03/12/20  
除雪作業03/12/22 屋根から落ちた雪03/12/22 大杉を見上げる03/12/28 頭上キケン!03/12/28  


 年末十二月二十日、朝起きてみると、前日から降り始めた 雪が積もっていました。
測ってみると約三十五センチメートル! 
 ここ数年は、こんなたくさんの雪はなかったなあ、と思いながら、午後一時開式の
西脇市の檀家のお葬式を思い出し、とにかく何とかして山を下りなければならないこと
に改めて気がつきました。丁度うまいことにというか、娘と娘婿が帰省していましたの
で、助かったと思いました。
 ご親戚の方の運転される迎えの車が十二時前に金蔵まで迎えにくるということでした
が、山上までは絶対に上れないこと、慣れない雪道でもしものことがあってはいけない
等、こちらの事情を話して断り、加美町からタクシーで行くことにしましたが、杉坂までも
迎えに行けないので麓の別院まで下りてほしいということでした。
 葬式の荷物を準備して、表坂から下山しました。登山靴を履いていましたので殆ど滑
ることなく、デジタルカメラで写真を撮りながら下りました。家内と娘夫婦に手伝っても
らったので、雪道にしては割合に速く下りることができたと思います。
 タクシーで西脇市へ行きましたが、いつもの通り、段々雪の量が少なくなり、西脇市に
着いたときには、雪はあるのにはありましたが、加美町の雪は到底想像できないもので
した。
 お葬式を済ませ、今度はご親戚の方に車で送っていただきましたが、加美町が近づく
につれ雪量が増え、やっと別院に到着。折から雪が降っていましたので、送りの方の帰
りの方が心配になりました。その日は下に用事があったので山上には登りませんでした。
 明けて二十一日、杉坂から山上へ歩いて上がりました。前日からの雪が降り積もり、
五十センチメートルになっていました。別院泊。
 庫裡の前の石段から籠もり堂の方に上がりますと、夜来の風のためか、雪の重さの
ためか、大杉の枝が落ちてきていました。素手で取りのけられる分はのけてみましたが、
あとは雪が解けるまで待たなくてはと思いました。この日も、夜的場の御詠歌があったの
で、別院に泊まりました。
 翌朝、ついに、ブルドーザーで除雪することに決心しました。放っておいてもいつかは
解けるけれども、正月の準備ができないと思ったからです。
 業者に依頼し、山上に上がってみると、昨日よりも数段太い枝が新たに落ちていること
に気がつきました。
 杉坂から除雪して上がってくるブルドーザーを待ちかねて、途中まで迎えに行きました。
 「寒いですね。」と運転手。「すごい雪ですね。」 里からはとても想像できない雪に、
皆さんびっくり。この日になると、国道はもちろんのこと、村の中の道も除雪して車は
完全に通れるようになっていました。
 山上まで除雪して頂いた後、午後、業者の方に後を頼んで、私は高野山金剛講播磨
地方本部の役員会のため姫路に出かけました。夜帰宅して車で山上へ登り、二日ぶり
に金蔵泊。
 翌二十三日、久方ぶりに護摩を焚き、庫裡に帰って朝の一連のお勤めをして朝食後、
籠もり堂前の除雪の状態と落下した大枝を見に行って、上を見上げてみると、折れた枝
が引っかかってぶらぶら揺れている!
 早朝、護摩堂に行くときは暗かったので全く気がつかないで、その下を通っていたのに
ひやっとして、風でも吹いて、早く落ちてくれ、人がいないときに、と祈るばかり。
 翌二十四日〜二十五日は、何とか早く落ちてくれと祈るばかり。夜は人がいないから
キケンはないが、・・・まてよ、除夜の鐘はどうする。鐘楼堂に行く道を変更しなければ、
もしもの時、大惨事が起きるかも知れない。
 二十七日になって、やっと落下した大枝を取り除けて頂き、「頭上キケン!」の立て札
を立てる。なかなか落ちない。何とかして、上にぶら下がっている枝を取り除かなくては、
と思い、総代さんにも連絡、結局、二十九日の午後、森林組合に依頼してやっと取り除
いて頂いたという次第です。
 除雪といい、引っかかった枝といい、その処理について、住職としてのすぐの決断は
できませんでした。その理由は? ですって。二十二日に姫路にご一緒したあるご住職
の曰く、「えらい出費で大変やなあ。」「山の中の寺やもん、しゃあないわ。昔、あんなと
ころに寺をつくったもんやから。」と私。しかし、命のキケンが想定される以上、出費は
問題外、と決心した次第です。
 皆さんに一回見てほしかったなあ。これで一安心、年末の雪事情のかなくら山から
のご報告でした。

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