『かなくら山報』への寄稿1995
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 金蔵寺住職として、記名または無記名で
「かなくら山報」に掲載したものです。
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施餓鬼供養について
かなくら山報』第48号 1995/08/01


 お盆の行事と前後して寺院では施餓鬼会(せがきえ)の法要が行われ
ます。この法要は、本堂の外陣(げじん)に施餓鬼壇を作り、中央と四隅
に五色の施餓鬼幡(せがきばた)を立て、壇の上に「三界万霊」(さんがい
ばんれい)の位牌と新精霊および先祖代々の霊の位牌を安置し、その前
にご飯と水の鉢と野菜果物などを供えます。
 施餓鬼会の起こりは、次のように伝えられています。

 ある夜、お釈迦さまの弟子として有名な阿難尊者(あなんそんじゃ)が
修行をされていた時、口から火を吐いている焔口餓鬼(えんくがき)が現
れて、「あなたは、3日後に死んで餓鬼の仲間に入ります。」と言われま
した。
 餓鬼は三悪道(地獄・餓鬼・畜生)のひとつで、飢えに苦しむ世界です。
尊者は、「どうすれば免れることができますか。」と尋ねると、「明日中に
無数の餓鬼や坊さんに施し供養しなさい。そうすれば、あなたの寿命を
延ばし、自分のような餓鬼も、すべての亡き霊も救われます。」と餓鬼は
答えました。そこで、尊者はお釈迦さまにこのことを報告し、、お釈迦さま
の教えによって餓鬼に供養したので、長寿で幸せな生活を送りました。

 このように、施餓鬼会は、有縁・無縁のすべての精霊に供養し、五如
来の救いの力と僧侶の読経の功徳によって、すべての精霊の滅罪追
福を祈る行事です。

(中略)

    
施餓鬼精霊供養和讃

     渡慈秀作詞  村上全神作曲

一 帰命頂礼地蔵尊
   清き流れに舟浮かべ
   亡き父母や精霊(しょうりょう)の
   頓成(とんじょう)菩提を回向する
   尊い供養勤めなん

二 百味の飯果(おんか)を施して
   修する善根(ぜんごん)功徳には
   華の台(うてな)に招かれて
   永久(とこしえ)かけて救わるる
   尊い供養勤めなん

三 色とりどりのお灯籠
   歓喜(かんぎ)の光明照らしつつ
   地蔵菩薩に導かれ
   極楽浄土へ行き給う
   尊い供養勤めなん

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バザーお礼・高野山
『かなくら山報』第47号 1995/07/01


  梅雨明けが待ち望まれる今日この頃、壇信徒の皆様には、いかが
お過ごしでしょうか。
 前号でお願いいたしました高野山真言宗播磨宗務支所阪神・淡路大
震災対策本部主催の「神戸被災地障害者授産復興資金援助チャリティー
バザー」(6月10日、播磨町円満寺)には、急なお願いにもかかわりませ
ず、皆様にはたくさんのバザー用品をご提供いただきまして本当にありが
とうございました。
 おかげさまで、バザーは大盛況に終わり、収益金119万7千円全額を
神戸被災地の障害者授産所に寄贈することができました。
 私たちは、大震災以来、お大師さまのお説きになりました「済世利人」
(世を救い、人々に利益を施す)の教えに従い様々な活動をしてきました
が、その都度皆様にも大変お世話になりました。今後とも、何かとお世話
になることと思いますが、どうぞよろしくお願い申しあげます。
 さて、高野山参拝のこと、金蔵寺としては久しぶりの催しということもあっ
てか、6月末現在で実に75名の方の参加申し込みがありました。「沢山
参加していただいて、本当に良かったですね。」と壇徒総代様ともども
非常に喜んでおります。
 バス2台で行きますので、これからご希望の方はなるべく早く総代様
または金蔵寺までお申し込みください。ただし、90名で今回は締め切
らせていただきます。ご参加いただく方には、後ほど、「参加の栞」を
配布させていただきます。
 次に掲げますのは、「高野山参拝和讃」(作詞・作曲 渡慈秀)です。
根本大塔・七堂伽藍・奥の院が歌い込まれています。

     
高野山参拝和讃

一  帰命頂礼遍照尊
    光明(ひかり)普きこの霊山(みやま)
    お大師さまの創(ひら)かれた
    この世の浄土高野山

二  緑に映(は)ゆる大塔と
    七堂伽藍を廻(めぐ)りきて
    お大師さまの弟子となる
    この世の浄土高野山

三  霊杉(すぎ)の参道霧深く
    玉川渡れば奥の院
    お大師さまの御廟前
    この世の浄土高野山 

 

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高野の山は君を待つ
『かなくら山報』第46号 1995/06/01


 梅雨の候、壇信徒の皆様にはいかがお過ごしでしょうか。
 皆様には、この度、「高野山平成の大修理」のため、多額のご浄財を
ご寄進いただき誠にありがとうございました。
 さて、既報の通り、金蔵寺では、久しぶりに高野山参りを計画しました。
高野山は約1180年前、お大師さまによって開創され、以来今日まで
真言密教の根本道場として法灯を護持してきました。
 私たち高野山真言宗の総本山、一度お参りしてお大師さまの教えに
ふれてみませんか。
 次に掲げるのは、「高野山和讃」(作詩佐藤春夫、作曲都築紅山)です。

     
高野山和讃

一  これぞ深山(みやま)の都なる
    聖(ひじり)が深き心より
    早く開けて栄え来(こ)し
    紀伊の高野を君見ずや

二  これ三宝の都とて
    うき世の塵を遠く避け
    教えの心おのずから
    山上の気と清らなる

三  蓮八葉の嶺(みね)の上
    花にもみじに月雪に
    四時(しじ)のながめの尽きざれば
    四方(よも)の旅人集うめり

四  来ませ知識を掬(く)まん君
    来ませ自然に酔わん君
    来ませ詩情に飽かん君
    高野の山は君を待つ

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お大師迎え・花祭り
『かなくら山報』第45号 1995/05/01

 新緑の候 檀信徒の皆様にはいかがお過ごしでしょうか。
 4月9日(日)、極楽寺において行われた弘法大師御生誕慶讃法会(お大
師さん迎え)には、御詠歌講の方をはじめ沢山の方々のお参りをいただき
大変ありがとうございました。当日は雨天で行列、特にお稚児さんが大変
でしたが、あとは厳粛な法会とおもしろい清興(余興)で一日を楽しく送らせ
ていただきました。
 お大師さん迎えは、多可郡の真言宗寺院9か寺でお大師さまをお迎えす
る行事です。来年は量興寺、再来年は中町観音寺、その次は阿弥陀寺、
そして4年後には金蔵寺に回ってきます。檀信徒の皆様には何かとお世話
になることと思いますが、どうかよろしくお願い申しあげます。
 さて、花祭りの季節になりました。花祭りは、仏教の開祖お釈迦さまのご
誕生をお祝いする日です。金蔵寺では、5月8日(月)午前10時から法要
を厳修いたしますので、皆様お誘い合わせのうえ、多数お参りいただきま
すようお願い申しあげます。
 次に掲げますのは、花祭り和讃です。聖誕とも申します。お釈迦さまが、
今から2500年前の春の8日にインドのルンビニ園でお生まれになったこ
と、仏になる尊い教え(仏教)をお説きになったこと、ご誕生の時に降った
という甘露の雨になぞらえて甘茶を注いでお祝いすることが詠いこまれて
います。よく味わっていただきたいと思います。

     
聖誕(花祭り和讃)
         作詞 安武泰応  作曲 中野龍定

一  ルンビニ園に かんばしく
   無憂華(むゆうげ)開く 春八日
   生まれ給いし 聖(ひじり)こそ
   救いのみおや 釈迦世尊

二  生きとし生ける もののため
   幾千代かけて 変わりなく
   導き給う おん慈悲の
   法(のり)の道こそ とうとけれ

三  甘露の雨に なぞらえて
   甘茶のゆあみ ささげつつ
   慕う我らの 花祭り
   祝う我らの 花祭り

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春になって
『かなくら山報』第44号 1995/04/01

 桜の花の季節になりました。 檀信徒の皆様には、いかがお過ごしでしょ
うか。
 3月4日(土)、極楽寺において行われた多可郡金剛講御詠歌講習会に
は、金蔵寺檀家から20名余りの方々にご参加いただき、熱心に受講して
いただきました。
 そこで受講された曲のなかで、講員の皆さんの評判がたいへんよかった
ものを1曲ご紹介したいと思います。
 題して『父母感恩(ぶもかんのん)和讃』(近藤禅海作詞・山名勝龍作
曲)。山報は声が出ませんので、歌詞のみの紹介となるのが残念ですが、
よく味わっていただきたいと思います。

  
父母感恩和讃

ほろほろと 鳴く山鳥の 声きけば

 一 門出の父の 御姿(みすがた)を
    幻のごと 想い出(い)で
    優しき母の 面影(おもかげ)を
    涙と共に 浮かべたり

 二 夕闇せまる 奥津城(おくつき)に
    せつなさ語る 兄弟(はらから)を
    諭す法(のり)の師 声さえて
    み空を翔(かけ)る 鳥一羽

父かとぞ懐(おも)う 母かとぞ思う

 
 いかがでしたか。「父母の恩を感ずる」ということは、なかなか照れ臭くて
口では言えないものですが、御詠歌にすると簡単に言えるのは誠に結構
かと思います。
 ところで、この歌の最初と最後の句、すなわち、

ほろほろと 鳴く山鳥の 声きけば
 父かとぞ懐(おも)う 母かとぞ思う

は、行基菩薩(668〜749)の作と伝えられる短歌です。
 行基菩薩は、仏教の民間布教と社会事業に尽力された僧として有名で
すが、実は、金蔵寺を開基された人です。
 すなわち、寺伝によると、天平2年(730)に金蔵山へお越しになり、自
分で薬師如来像を彫刻し、里人に財施を請うて仏殿を建て尊像を安置
されたと伝えられています。奥の院には、行基菩薩が開山の役行者、
中興の慈覚大師とともにおまつりされています。

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震災追悼行脚に参加して
『かなくら山報』第43号 1995/03/03

 去る2月27日、高野山真言宗播磨宗務支所主催の震災追悼行脚に
参加させていただきました。
 兵庫県南部地震(阪神大震災)で亡くなられた方々の亡くなられた場所
に行って供養させていただきました。
 地下鉄の湊川公園駅から長田駅まで5・.6キロメートル、瓦礫の中を
歩き、線香・花・塔婆を立て、水をお供えしお経をお唱えしてきました。
テレビ画面で見る光景とは違い、多くの尊い人命が失われた前に立ち
心の震えが止まりませんでした。
 「ありがとうございます。」と深々とお辞儀をされる人はご遺族の方か
親戚縁者の方かいちいち確かめもしませんし、こちらからも名乗りま
せんでした。
 「うちも拝んでください。今家を取り壊しているんですが、今日がお別れ
なんですよ。」と言われる男の方についていきますと、路地を入って瓦礫
の中、
 「ここで二人亡くなったんです。」
 「どなたですか。」
 「家内と子どもです。」
 37歳の奥さんと2歳の娘さんを亡くされたその方は、淡々と語られまし
たが、出るべき涙も出尽くしたように思われました。
 供養させていただいた後、
 「もう一人あるんですよ。よその人ですが、私が教えてもいいんでしょう
ね。」
 「どなたでも供養させていただきます。」
 「男の人か女の人かわからんのですよ。よその人やってね。名前も顔
もわからんけどかわいそうやしね。ここですわ。どうかよろしくお願いしま
す。」
 おそらく焼死されて性別も判らない程損傷が激しいご遺体だったのだ
ろうと思います。
 1月17日午前5時46分、私はまだ布団の中にいました。地震の揺れ
で目を覚まし、みしみしという音に、瞬間、「別院がつぶれる。」と思いま
した。生まれて初めて経験する激しい揺れでした。
 住み慣れた家屋が倒壊し、一瞬にして5400人以上の命を奪った地
震がどんなに恐ろしいものであったか。
 改めて、亡くなられた方々に哀悼のまことを捧げ、被災された方々に
謹んでお見舞いを申しあげますとともに、一日も早く復興されますことを
心よりお祈り申しあげます。

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野菜等提供のお願い
『かなくら山報』第43号 1995/03/03

 冒頭にも書きましたように、この度の阪神大震災に対して、私たち
高野山真言宗播磨宗務支所でも災害対策委員会を設置し、救援義援金
の募金・救援物資の提供・ボランティア活動の参加者の募集等、様々な
救援活動を行っております。
 具体的には、これまで、義援金募金や生活用品の提供・物資の搬送・
物資の仕分け・炊き出し・火葬場での回向等を住職や寺族でさせていた
だきました。
 被災地では、仮設住宅の建設・入居も始まり、そろそろ自活する機運
が生まれてきたようです。
 この度、播磨宗務支所災害対策委員会から新鮮野菜等の救援物資
提供のお願いが来ました。もうすでに野菜等を出していただいた方もお
られますし、また、様々な団体で様々なご協力をいただいた方も居られ
ますので、無理にとは申しません。
 ご協力いただける方は、できれば、3月5日までに金蔵寺別院までご
持参いただきますようお願い申しあげます。

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古札等の処理について
『かなくら山報』第42号 1995/01/01

 「色んなところでお札をもらうんですが、何年もたまってしまって困ってい
ます。どうしたらいいんですか。」
 「お札やお守りの効力は何年ぐらいですか。」
 「古い位牌や仏壇の処理に困っています。どうしたらいいんですか。」
 「よそでもらったお札を納めたいんですが、どうすればよいのでしょうか。」
 最近、このようなご相談を受けることが多くなりました。
 古くなったお札・お守り・掛け軸・位牌・仏壇等は、いくら古くて汚れている
からといって、これまで家族の人々が手を合わせて拝んできたものですか
ら捨てるということはできません。懇ろに供養して納めていただきたいと思
います。
 もし、これらの処理について、お困りになっていて相談事がありましたら
遠慮なく住職までお申し出ください。
 ご存じのように、金蔵寺では本堂北の縁側に「納箱」(おさめばこ)をおい
て檀信徒の方々に古札等を納めてもらっています。納められた古札等は、
毎年春秋2回の彼岸会の柴燈大護摩供で「発遣供養」(はっけんくよう)と
「お焚き上げ」の供養をしております。なお、納箱は蓮華寺の本堂北の
縁側にもあります。こちらは毎年1月28日の初大日祭の柴燈大護摩供
で供養しておりますのでご案内申しあげます。
 お札・お守りは新しいものを手に入れたら、古いものは納めてください。
 納めていただくお札は金蔵寺・蓮華寺以外のものでも勿論結構です。
 位牌・掛け軸仏壇については、もし新調されましたら「開眼供養」をさ
せていただきますので、必ず住職にご相談していただきますようお願い
いたします。

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