花祭りとは?
『かなくら山報』第26号 1993/04/27
4月8日は、お釈迦さまのご誕生日です。お釈迦さまは、今から約2500年前、
インドにお生まれになりました。現在の地図ではネパール領となっていますが、
ルンビニー園として知られているところです。
ご誕生の様子は、『釈尊伝』(ブッダ・チャリタ)によりますと、花咲き匂う春8日、
生母の摩耶夫人(まやぶにん)の右脇からお生まれになり、太陽のようにお輝き
になっていましたが、月の光のようにまぶしくなかったということです。空からは
香り高い雨が降ってきたそうです。
昔からこの日はお花祭りといって、色とりどりの春の花で飾った御堂(花御堂、
はなみどう)を作ります。その中に誕生仏をおまつりして香り高い雨のかわりに
甘茶を注いで、ご誕生をお祝いするのです。だから、花祭りのことを「灌仏会」
(かんぶつえ)ともいいます。
小さな国ながら釈迦族の統治するカピラ城の皇太子としてお生まれになった
のですが、お生まれになるとすぐ、6歩半お歩きになり右手を上げて天を指さし、
左手を下ろして地を指して、「天上天下唯我独尊」(てんじょうてんが、ゆいがど
くそん)とお叫びになったと伝えられています。
このおことばは、今もって多くの人たちに誤って使われ、また誤った解釈をさ
れています。「この世の中に自分ほど偉い者はいないんだ。我こそ天下国家を
統治する指導者である」との独り善がりのことばとして使用されていますが、
これはまったくの誤りです。。
天上天下ということは、自分の上と自分の下、即ち全宇宙ということことです。
全宇宙のいのちと恵みを一身に受けて、一人の人間として生まれてきた素晴らし
さ、尊さをお叫びになったのです。これはお釈迦さまだけのことではなく、私たち
一人一人の人間は、人間としての唯一無二の身体を持って生まれ出たという
意味で、この叫びは、誕生の喜びの声であったのです。
生まれながらにして私たちは、一人一人尊い身体・ことば・心を持っています。
この「生まれながらにして一人の仏である」という自覚が仏教信仰の基本です。
仏教では、すべての人が仏になれる、つまり成仏する可能性を持っているわ
けです。成仏とは、決して死ぬことではなく、仏になるということで、お大師さま
(弘法大師空海)は、この身のままで、生きながらにして仏になれるとお説きに
なっています。これを「即身成仏」といいます。
さらに、お釈迦さまがご誕生後すぐに6歩半歩かれたということですが、これは、
生まれながらにして、地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天という六道輪廻の世界を、
ただ、ぐるぐると迷い歩くのではなく、これをすでに半歩踏み出されて、真実の
人の人たる道を歩こうとされるお姿を表しています。『釈尊伝』には、「悟りを開
いて世の中を救うために生まれてきた。もう輪廻しない」といわれたとあります。
その後、29歳でお城を出られたお釈迦さまは6年間、山に籠もって人の道、
仏の道を求められ、35歳の12月8日、ついに仏さまとなられました。
花祭りは、仏教、すなわち、「仏になる教え」をお説きになったお釈迦さまの
ご誕生をお祝いする日であるとともに、人間生命の讃歌をうたう聖日というべき
でありましょう。
5月8日は花祭り!
金蔵寺では、恒例の花祭りを次のように行います。昨年までは、新精霊
(しんしょうりょう)のある方(花はじめの家)のみにご案内をしていましたが、
今年からは、檀信徒の方全体にご案内させていただくことになりました。
当日は第二土曜で学校は休みです。子供に皆さんも振るってお参りください。
粗飯の準備の都合上、とじ込みの申込書で経木供養の六親及びお参りの
人数を前もってお申し込みください。
と き 5月8日(土) 午前10時より
ところ 金蔵寺本堂
行 事 本堂お勤め(金蔵寺勤行次第、経木供養、灌沐)
法 話
供養料 一霊500円 追加一霊につき300円
申込締切 5月3日(月)必着
経木を書く都合もありますので、なるべく早くお申込ください。
お釈迦さまの花御堂を5月5日(水)、こどもの日の午後一時から金蔵寺本堂
で作ります。できましたら春の花(れんげ、ぼたん、たんぽぽ、さつき等)を持って
花御堂作りにご参加いただけたら、非常にありがたいのですが、・・・。
特に小さいお子さんにはよき思い出になると思います。ぜひご参加ください。
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