「萬代旅行会」ベトナム縦断5日間



 正月明けてすぐに、タケゴンから「前から言うてたベトナム、いつ行きますか?」という連絡があり、その勢いで3月中旬のツアーに申し込んでしまった。メンバーはバンコクと同じく、タケゴン、いっちゃん、そしてカンボの3人である。
 近場の海外旅行でタイの次に候補にあがっていたのはマレーシア、インドネシア、ベトナムであるが、マレーシアはここんとこマレーシア航空機の不可解な墜落事故が相次いだことで先送りのムードになり、インドネシアは、タケゴンが以前バリに行っていい思い出がないといったことから、とりあえず消去法でベトナムになったものである。
 タケゴンがJTBの旅物語で見つけてきたのは「新・ベトナム縦断紀行 5日間」という、ホーチミンやフエ、ホイアン、ハロン湾、ハノイ…と主だったポイントを押さえたプランであるが、結果として南北に長いベトナムを5日(正味4日)で巡るハードな旅となった。
 なお、バンコクのときは3人で一部屋に泊まったのだが、風呂やトイレの順番待ちが難儀だったので、今回は二人部屋と一人部屋の二部屋とし、日替わりで一人部屋を使うようにした。もちろん一人部屋追加料金は三等分である。


3/12(木)

関西国際空港10:35 =(ベトナム航空)= 14:30(これ以降・現地時間)タンソンニャット国際空港 15:35 ― 15:55 統一会堂 16:05 ― 16:10 中央郵便局・サイゴン大教会 16:35 ― 16:40 民芸品店 17:05 ― 17:15 ベンタイン市場 17:45 ― 18:00 サイゴン港(サイゴン川ディナークルーズ) 20:15 ― 20:40 「サイゴン・スターホテル」(泊)

 今回も、しょっちゅう遅れるJRを敬遠して南海電車で関西空港に向かう。4階の国際線のロビーでいっちゃん、タケゴンと合流。現地が30℃台の気候ということで衣類が夏物のため、荷物が少なくて済む。タケゴンと私は機内持ち込み可能な小型スーツケース、いっちゃんはスーツケースをやめ、登山用のザックである。3月中旬というのに今年は寒気が厳しいため関空までは防寒の服装である。しかし下り立つホーチミンの気温は35℃あり、どこでどう着替えるかというのが難題であった。結局、現地の気温に合わせた夏の装いの上にくるくる丸めてポーチに収容できるライトダウン・ジャケットを着用し、ジーンズの上からスポーツ用のウインド・ブレーカーのオーバーパンツを履いて、関空で着替えることにした。
とりあえずJTBの団体カウンターでチケットをもらい、ベトナムの通貨ドンの両替をしているTravellexで5千円ほど両替する。ベトナムでは、女性ならアオザイやサンダルなどショッピングのアイテムがいろいろあるのだろうが、ガイドブックに目を通した限りでは、我々おっさん向きのアイテムはとくに見当たらず、差し当たり食事のときのビール代ぐらいあればいいと思われたからである。必要になったらホテル等で両替すればよい。
 団体ツアーなので、自分たちだけさっと行動できるわけでもないのだが、3人とも荷物が小さいので機内持ち込みとする。搭乗ロビーで、タケゴンの姿が見えなくなったと思っていたら、一人だけ生ビールで前祝いをしていた。
 午前10時35分に離陸。機内は満席。我々は席が離れている。2通路のエアバスであるが、気のせいかタイ航空よりも座席が窮屈な感じ。ドリンクにビールをもらい、そのあと昼食の機内食が出て、香水プンプンで無愛想だがスタイルのいいベトナム人CAを眺めて過ごしているうちに、午後2時30分(これより現地時間。時差は-2時間)、ホーチミンのタンソンニャット国際空港に到着した。
 空調の効いているターミナルビルの外へ出た途端に真夏の熱気が襲ってくる。急いでTシャツの上から羽織っていた綿のシャツを脱いだ。

35℃のタンソンニャット国際空港に下り立つ

ベトナム航空のCAさんたち
 現地の女性ガイドの案内でツアーバスに乗り込み、ホーチミン市内に向かう。ツアーの一行は30数名で、60~70代の夫婦者、高齢の女性同士、家族一組、単独参加の中年の女性と高齢の男性、そして我々といった構成。春休みなので卒業旅行とかの学生が多いかと思っていたが全く見当たらない。
 通勤時間でもないのにホーチミンの道路はバイクの洪水で溢れている。ベトナムではクルマはまだ一部の人にしか持てない高級品で、庶民はマイカーの代わりにお金を貯めてバイクを持つのだとか。2人乗りは当たり前で3人乗りや家族4人乗りもよく見かける。また、信号や横断歩道がほとんど無く、途切れることなく流れるバイクやクルマの洪水の中を絶妙のタイミングで歩行者が横断して行く。双方の間合いの取り方がすごい!

ドッと押し寄せるバイクの洪水
 まず向かった統一大会堂は、表のフェンスから中を眺めるだけ。どうということもなし。あちこちに赤い国旗がはためいているのが共産党の国に来たことを実感させる。続いて中央郵便局と向かいのサイゴン大教会に回り見学する。中央郵便局内には大きなホーチミンの肖像がかかっていた。土産店も入っているが見学時間が短いため商品を見ている余裕が無い。中央郵便局の前では小学生ぐらいの女の子が何人もいて、何やら民芸品のようなものを売りにくる。サイゴン大教会は聖母マリア教会とも呼ばれていて、その内部はステンドグラスやアーチが美しく荘厳な雰囲気だった。僅か25分ほどの見学で、またバスに乗り込み、トイレ休憩と称して民芸品店に立ち寄る。これといった物も見当たらず高いこともあってか、みんな早々に入口付近に戻ってきていた。

統一会堂の前で

サイゴン大教会

中央郵便局
 またバスに乗り、ベンタイン市場に向かう。車中でガイドから、バッグは前に抱えろ、財布は見せるな、カメラやスマホをひったくられないよう気をつけろ等の注意喚起がある。このあと毎日この注意喚起を聞くことになるのだった。ベンタイン市場はテレビの旅番組でもお馴染みの場所だが、見学時間は30分なので、ゆっくり品定めをしている余裕はない。ごったがえす市場の中をガイドの後ろについて急ぎ足で見学するということになった。それでも通り過ぎる我々の腕を掴んで「おとうさん、安いよ!」と売り込み攻勢をかけてくる。もっとも、この市場は観光用のもので価格が高く、偽ブランド品や中国製のものも少なくないなど、冷やかしならともかく本気で買い物をするには向かないようだ。

天井まで積み上げられた商品

ナッツやドライフルーツの店
 午後6時にサイゴン川の港に着き、ディナークルーズ船に乗り込む。サイゴン川を2時間ほど上下しながら、船内で食事を楽しむという趣向だ。出港してすぐはライトアップされたビルや街並みが美しいものの、すぐに殺伐とした工場地帯のような風景になる。バンコクのチャオプラヤ川のクルーズのような風情は無い。船内でベトナムの民族舞踊らしきものを眺めながら食事をする。サイゴンビールが53,000ドン(約300円)なり。単位が大きすぎてにわかには換算できない。

クルーズ船

船窓からの風景

料理

日本人にも食べやすい味

船内では民族舞踊が催される

動画「サイゴン川クルーズ」>

 午後9時前にやっとホテルに到着。チェックイン後、フロントで近くにサークルKがあることを教えてもらい買い物に行く。日本の店舗に比べるととても小さく、商品も少ない。何か手頃な土産になりそうなものをと思っていたが全く見当たらず、ペットボトルだけ買う。
 Wi-Fiがフリーなので、寝る前に家にメールを送ってみた。この点は日本よりもだいぶ進んでいる。

サイゴン・スターホテル

客室

3/13(金)

ホテル 7:05 ― 7:25 タンソンニャット国際空港 9:00 =ベトナム航空国内線= 10:20 フバイ国際空港(フエ)10:45 ― 11:15 フエ市内のレストラン(宮廷料理の昼食) 12:40 ― 12:50 グエン朝王宮 13:55 ― 14:00 ドンバ市場 14:15 ― 14:30 ティエンムー寺院 15:05 ― 18:45 ホイアン旧市街のレストラン(夕食)・旧市街散策 20:35 ― 20:45 メルキュール・ホイアン・ロイヤルホテル(泊)

 6時に朝食、7時出発なので、5時にアラームを設定していたのだが、同室のタケゴンが4時過ぎに起床したため仕方なく起きる。外はまだ暗い。昨晩は、階下のカラオケバーがうるさく、またベトナムではやたらクラクションを鳴らすので前の道路の音がうるさくて寝つかれなかった。それに例によってタケゴンの寝言も。このホテルは設備がしょぼく、シーツが臭うなどあまり快適とはいえない。
 ホテル1階のレストランでバイキングの朝食。生まれて初めてフォーを食べる。あっさりして美味しいのだが、タケゴンは自分で入れた薬味に辛子が入っていたようで、一口すするなり辛すぎてあかんと放棄。
 ホテルよりバスで空港に向かう。昨日下り立ったタンソンニャット国際空港の国内線だ。チェックイン後、搭乗ロビーの売店でお土産のバナナ・キャンディーを買う。リーズナブルな価格。

フォー

動画「ホーチミン市内のバイクの洪水」>

 9時に飛び立ち、1時間20分ほどでフエのフバイ国際空港に到着。男性の、日本語が流暢な現地ガイドに連れられてツアーバスでフエ市内に向かい、レストランにてフェ宮廷料理というふれこみのランチを摂る。ここでは食事の前に全員が宮廷衣装を着て記念写真を撮り、あとで1枚6万ドンで売りに来る。食事はベトナムの民俗音楽を聴きながら美味しくいただいた。フエの地ビール、6万ドンなり。

フバイ国際空港

宮廷料理

宮廷料理

民俗音楽の演奏付き
 食事の後、バスに乗って、有名なグエン朝時代の王宮跡に向かい、1時間ほど見学。だだっ広い敷地に中国的な印象の建物や庭がある。次にドンバ市場に向かう。ここでもガイドからセキュリティ上の注意喚起があった。ドンバ市場は昨日のベンタイン市場よりもさらに通路が狭く雑然としていて、天井まで積まれた商品の間で売り子が客のことなどおかまいなしに食事をしていたりする。飲食のエリアではニョクマムだろうかきわめてアジアンな匂いがツンと立ち込めている。ここも15分ほどのスピード観光で次なる目的地、ティエンムー寺院に向かう。中国的様式の寺。

王宮への門

堀に面した楼閣

ドンバ市場

ティエンムー寺院
 ティエンムー寺院見学の後、フエを出てダナンに向かう。国道一号線はあちこちで拡幅工事中で混雑している。市街地ほどではないが郊外でもバイクは多く見かける。バスは片側一車線の道を対向車がいないときを見計らって前のクルマにクラクションを鳴らし、反対車線にはみ出してぐんぐん追い越しをかけて行く。よく見ると他のクルマも同様で、これがベトナムの運転スタイルなのだろう。見ていてハラハラする。車窓には下校時間なのか徒歩や自転車の児童・生徒の姿があり、牛や山羊の姿もある。都市と都市の間には広大な水田が拡がっている。ダナンに入る前のフーロクという湖畔でトイレ休憩。

小学生たち

フーロクの湖岸

ダナン市街を望む
 ダナン市街を通過してホイアンの旧市街にあるレストランに着いたのは午後7時前であった。何が有難いのかよくわからんホワイトローズとかいう料理など食べてから、ライアップされた旧市街を散策する。ここはランタン祭りで有名らしく、あちこちに色とりどりのランタンが吊るされている。なんとなく高山祭に似た感じだ。

ラルーという地元のビール

名物のホワイト・ローズ

どれも美味しい

夜のホイアンを楽しんでいる人々

旧市街の通りにはランタンが連なる
 午後9時前にホテルに到着。ウェルカムドリンクが用意され、部屋も昨日のホテルよりはだいぶまし。ただ、時折冷蔵庫が壁にドリルで穴を開けているような音を発するのが玉にきずであった。Wi-Fiはここでもフリーで使えた。今晩はタケゴンが一人部屋。

メルキュール・ホイアン・ロイヤルホテル

客室

3/14(土)

ホテル 9:00 ― 9:05 ホイアン旧市街(刺繍工場見学~シクロで遊覧~日本人橋~福建会館) 11:25 ― 11:35 レストラン(昼食) 12:35 ― 13:40 ダナン国際空港 15:05 =ベトナム航空国内線= 16:10 ノイバイ国際空港(ハノイ)16:50 ― 18:50 レストラン(夕食)19:50 ― 21:20 アセアン・ハロンホテル(泊)

 6時に起きて7時に朝食。今日もフォーを食べる。

今朝もフォーをいただく
 9時に出発して5分ほど走ると旧市街の入口に着いた。刺繍の縫製工場を見学。中の売店で刺繍の入った巾着袋を買う。縫製工場を出てから全員一台ずつのシクロに乗り、旧市街を巡行して日本人橋で下車する。シクロからの景色はそれなりに楽しいのだが、途中見かけた革製品の店などに立ち寄れなかったのは残念だった。

絹織物工場の刺繍作業場

一人一台ずつシクロに乗る

ホイアンと言えばランタン

いかにもベトナムらしい絵

動画「シクロで旧市街を散策」>

 日本人橋は2万ドン紙幣の裏の図柄になっているというので、とりあえず比較的綺麗な札を記念に持って帰ることにする。橋の近くのガイド推薦の店で刺繍のポーチを買い、福建会館を見学してからバスでレストランに向かい、昼食を摂る。

有名な日本人橋

福建会館

街角で見かけた食べ物の屋台

昼食のレストラン

この手の料理を毎日食べているような
 昼食後、ハノイに移動するためダナンの空港に向かう。途中、トイレ休憩で立ち寄った石材の工芸店は。ダナンが大理石の産地とかで、敷地内所狭しとテーマパークのように様々な石像が並んでいた。また、小商いに熱心なガイドに勧められて、ベトナムコーヒーとココナツ煎餅を買う。ガイドの話では世界で6番目に美しいと言われるダナンのビーチを車窓から眺めながら走り、午後1時半過ぎにダナン国際空港に到着。

トイレ休憩で立ち寄った石材工芸店

世界で6番目に美しい?ダナンのビーチ

ダナン国際空港
 ベトナム航空国内線でハノイのノイバイ空港に着いたのは4時過ぎであった。空港は曇って霧がかかっていた。気温も下がってTシャツでは肌寒い。上着を羽織る。ここで3人目のガイドに交代。空港からは4時間ほどの道のりを一路ハロンに向かうのであるが、市街を出て田園風景になってきたあたりで雨が降り出し、陰鬱な雨中の夜間ドライブになった。どのガイドもベトナム戦争の話をするとき、あれはベトナムとアメリカの戦争であって、ベトナム人同士の戦いではなかったと説明する。党からそのような指示が出ているのかもしれない。また必ずベトちゃんドクちゃんの話も出てくるが、ベトナムの人はベトちゃんドクちゃんのことを知らないそうだ。夜道を、ホーチミンよりは少ないが雨具を着て多くのバイクが行きかっている。途中、民芸品店に寄ったあと隣のレストランで夕食を摂る。初日以降、似たようなものばかり食べていたが、ここのメニューはこれまでと違うあっさりしたものだった。

途中で立ち寄った土産物店

土産物店隣接のレストランで夕食

春巻き

どれもあっさりして美味しかった
 午後9時半前に今宵の宿に到着。ガイドが、入室したらすぐにトイレが流れるか、シャワーのお湯が出るかチェックするよう言っていたが、とくに問題はなかった。
 今晩は一人部屋の番だったので、ゆっくり風呂に入ってからWi-Fiで家にメールを送る。関空で両替した80万ドンも、毎食時のビール代とこまごました買い物で、あと11万ドンしか残っていない。ドンは使い残して持って帰っても使い道が無い。また、ベトナムでは国内でドンをドルや円に両替することは禁じられているとか、古い紙の紙幣(最近の紙幣はプラスチックのシート製)は両替を断られるとかいうことなので、うまく使い切る算段が必要だ。これまでの空港では使い残したドン紙幣を寄付するための箱をちょくちょく見かけた。ツアー客が立ち寄るような店では米ドルが使える(レストランでもビールは3ドルというようにメニューに表示されている)ので、最初からドンに両替せず米ドルに両替しておくほうがよかったと思った。ちなみにベトナムにはコインは無いのか、おつりをコインでもらうことはなかった。

アセアン・ハロンホテルに到着

客室

3/15(日)

ホテル 8:25 ― 8:30 ハロン船着き場 8:45 ― 10:35 ティエンクン鍾乳洞 11:30 ―(船内で昼食)― 12:20 船着き場 12:35 ― 16:45 ホーチミン廟 17:25 ― 16:45 ハノイ旧市街 19:25 ― 19:45 レストラン(夕食)20:50 ― 21:30 ノイバイ国際空港

 6時に起床して身繕いをしているとタケゴンから内線コールがあり、もう二人とも1階のレストランの前にいると。朝から食欲旺盛だ。3日連続でフォーを食べたが、初日は牛肉、今日は海老とそれぞれ味が違う。

本日のフォー
 8時半にホテルをツアーバスで出発、5分ほどでハロン湾クルージングの船着き場に着く。船に乗って、あいにくの曇りであるが水墨画ように島々が連なる美しいハロン湾の風景を眺めながら2時間ほどで島に上陸してティエンクン鍾乳洞に着き1時間ほど見学。カラフルな赤や黄、緑、青の照明で照らされた内部はテーマパークのようで、あまり感動しなかった。

ハロンの船着き場

大小の山のような島の間を進む

水墨画のようで美しい

水上で暮らす人たちの筏住居

鍾乳洞の内部

動画「ハロン湾クルーズ」>

 再び乗船して帰港するまでの1時間、船内でランチをいただく。船内で供する関係上か簡単なものばかりだが、やはりベトナム料理は日本人には食べやすい味だ。食べ終えてまもなく船が船着き場に着いた。ここで感心したのが、船に随行してきたカメラマンの段取りの良さである。件の女性カメラマンは船内や洞窟の島などで希望に応じて写真を撮っていたのだが、デジカメで撮って、それをモバイル通信で陸上のスタッフに送信してプリントしておいてもらい、下船した客に渡すという最新のテクニックを駆使していたのである。ベトナム、あなどれない。

クルーズ船のランチはシンプル

蟹の甲羅に具を詰めたもの

揚げ春巻き
 12時半頃、船着き場を出発して、また4時間かけてハノイへ向かう。途中、トイレ休憩で元国営の民芸品店に立ち寄る。タケゴンが奥さんに命じられていたクッキーを買おうとして残っていたドン紙幣をかき集めたがちょっと足りない。美人の店員にまけてと頼んだが、まけてくれず、おまけにテーブルの上のドン紙幣をぞんざいに手ではらって受け取らない。仕方なく円をドルに両替して買うことになった。別の店員がドン紙幣を見て「彼女美人だからチップ、チップ」と言う。でもまけてくれなかったし、まだハノイで使い道もあるからとタケゴンが紙幣を財布にしまおうとすると、「ケチ~」と囃し立てる。結局タケゴンは後から美人店員にチップとして渡すことにしたが、たいして喜んでくれなかったようだ。
牛や山羊や水牛などもいるのどかな田園風景の中をハノイに向かう。ガイドによると、ハノイとは河(は)の内(のい)のことらしい。すなわち河内なのだ。少し親近感を持つ。

水牛が草を食んでいる

路上の床屋さん
 ホーチミン廟に着いたのは午後5時前だった。廟の前の広場には親子連れや若いカップルが大勢くつろいでいる。女性のファッションも、胸元を強調したホーチミンに比べ地味で保守的である。これまたガイドによると、共産党本部のある首都なのでホーチミンほど開放的ではないのだとか。最近の流行りとかで、ハノイでは最高気温が26℃とかあるのにダウンジャケットを着ている人をよく見る。ホーチミンではさすがに無理だろうが。ベトナムは20・30代の人口が多いのだそうで、街でも村でもたしかに若者の姿が多い。男も女もバイクに乗って忙しそうに走り回っている。年寄りの姿が目立つ日本とは活気がまるで違う。これからグングン伸びていく国だろうと実感した。結局、ホーチミン廟は外から見て公衆トイレに立ち寄っただけでハノイの旧市街に向かう。

だだっ広い、廟前の広場

堂々たるホーチミン廟
 バスを降り、ガイドの後ろについて旧市街を歩き、ホエンキム湖のほとり散策して、希望者だけ参加のオプショナルの水上人形劇の劇場に行く。ここで、いっちゃんら観劇する人と別れ、残りの人はガイドの案内でハノイ大教会を見てから、しばらく自由行動となった。
 自由行動組もほとんどは近くの民芸品店に行ったのだが、タケゴンと私は教会の前にあるガイドお勧めのカフェ「CONG」でビールやベトナムコーヒーを飲んで過ごした。ベトナムコーヒー(35,000ドン=200円)はコーヒーに練乳が入っていて甘い。ここの店員の女の子が我々が日本人と知って、この夏日本の新宿に行くと話し、好意でビールを1本サービスしてくれた。ここまではよかったのだが、支払いのときにドルで払おうとしてドンでおつりをもらうことになり、いくらもらうのが正しいのか桁数の関係で混乱し、結局店にやってきたガイドさんに間に入ってもらって解決した。なんか店員さんの好意を裏切ったようでベトナムコーヒーのように甘くほろ苦い思い出になった。

賑わうハノイ旧市街

フランスパンの露店も

ホアンキエム湖

水上人形劇場

ベトナムコーヒー
動画「水上人形劇」>

 水上人形劇場前で再集合して、午後8時前に市内のレークサイド・ホテルに行き、中華レストランで夕食を摂る。似たようなベトナム料理ばかりだったので、たまには中華料理も有難い。
 食事の後、ハノイ市内を出て午後9時半にノイバイ空港に到着。ものすごくたくさんの人たちでロビーが混雑していたが、これは、ベトナムでは飛行機に乗って海外に行く人を身内や友人たちがこぞって見送りに行く習慣があるためとか。昔の日本もそうだったな。帰りも、関空到着後のリムジンバスへの乗り継ぎをスムースに行うことを考えて機内持ち込みとした。搭乗ロビーで最後に土産物を買おうと考えていたのだが、去年の暮れにできたばかりの新ターミナルビルには洋酒などの免税店はあるもののベトナム土産の店は小さいのが一つしかなく、結局買うことはできなかった。搭乗ロビーはWi-Fiがフリーで使えたのでメールする。

ベトナム最後の食事は中華料理だった

サイゴンビール(左)とハノイビール(右)

ノイバイ空港

3/16(月)

ノイバイ国際空港 0:30 =ベトナム航空=(これ以降・日本時間)6:45 関西国際空港)

 午前0時半にノイバイ国際空港を離陸、一路日本に向かう。機内は満員で、しかも1通路の国内線と同じ機体のため窮屈なことこの上ない。今回のツアーでは旅行会社のぞんざいな席割りでグループが離れ離れになることが多く不満が出ていたが、この帰国便でもそうだった。飛び立って間もなくドリンク・サービスがあったが深夜なのでビールはやめといた。その後、朝食の機内食が出る。日本時間の7時前に関空に着陸。いっちゃんはあっという間にいなくなった。ダウンジャケットとオーバーパンツを着用し、タケゴンと別れてそれぞれバスに乗り込んだ。見学もそこそこに移動に次ぐ移動の駆け足旅行であったが、まずまず楽しい思い出になった。


(カンボ)