〜身近な歴史街道を行く〜
京都・洛南「松花堂庭園・美術館」
2005.5.3
近くに住んでいながら、なかなか訪れる機会がなかった場所、
松花堂弁当発祥の地 京都府八幡市にある「松花堂庭園・美術館」。
ついに念願かないゴールデンウィークを利用して、行ってきました。
←まずは玄関でお出迎え
まずは、歴史のお勉強?寛永の文化人・松花堂昭乗
江戸時代初期の寛永年間(1624〜1644)日本人にとってとても実りの多い時代であり、
「桂離宮」「二条城」や「日光廟」などの有名な建物が建立されています。こういった
建物だけではなく、寛永時代は、公家・武士・僧侶・町衆などあらゆる階層に優れた芸術
文化が生まれ、花開きました。この文化の形成に大きな役割を果たしたのが、
文人僧・松花堂昭乗であり、特に異彩を放った人物でありました。
石清水八幡宮は、幕末までは神仏混淆で、境内には最盛期約60近い坊があり、
社僧が住んでいました。昭乗は17歳(慶長3年・1598年)の時、石清水八幡宮の社僧となり、
滝本坊の大阿闍梨実乗を師として修行に励み、後に両部灌頂をうけて大阿闍梨となりました。
書・画・茶の湯・和歌などの諸芸に長じ、特に書は、滝本流・松花堂流という書風を確立し、近衛信、
本阿弥光悦とともに寛永の三筆と称せられました。
昭乗が師、実乗の後を継いで住持となった滝本坊において、小堀遠州、石川丈山、
木下長嘯子(ちょうしょうし)、江月和尚、沢庵和尚など多くの文人墨客が訪れ、優れた文化サロン
を形成していたのでした。(http://www.hot-town.net/ 松花堂おもしろ話より)
←梅隠茶室。千宗旦の居宅の茶室を再現。
種々の竹林が茂る庭園を散策〜団体客のガイドをチョッピリ拝聴(笑)〜
庭園への入園料は400円。都会の中の癒しスポットへの期待は募ります。
入園すると、さっそく竹細工のお出迎え。↓
ちょうど、観光バスの団体さんが三組にわかれて地元のボランティアガイドさん?のガイドを
受けて庭園散策をされているところでした。「聞こえてくるんだから・・・(笑)」とばかりに
ツアー客のごとく皆さんに混じってガイドさんの言葉に聞き入る私達。
「ほぉ〜。」「へぇ〜。」とそれぞれに感心しながら、竹林をながめていきます。
そういえば、かの発明王エジソンも電球のフィレメントに、ここ八幡の竹を使ったんですよね。
そして、下の画像ではちょっと小さくて見えにくいですが、なんと竹って「イネ科」なんです。
みなさんご存知でしたか? >私は知らなかったんです。
↑(右)はじめて見ました。カメの甲羅のような亀甲竹。(左)これは良く見るタイプ?孟宗竹(モウソウチク)。
そして、今回わたしが一番気に入ったのが(下)金明孟宗竹(キンメイモウソウタケ)です。(↓)
十五夜の時には庭園イベントで、この竹を割った中に「かぐや姫」を添えてライトアップを盛り上げたそうです。
その他、たくさん撮影してしまいました。画面の許す限り紹介します(笑)
左上から 庭園といえば「獅子おどし」。あの「カコンッ♪」の響きは日本の心ですね。そして右上が水琴窟。 手前の竹筒からきこえてくるなんともいえない水音の調べは、竹林の間を通るさわやかな風とともに、 「癒し」のスポットとしては申し分ないです。
左下は、竹林を見上げてみました。すご〜く高いでしょ。右下は、庭園にもうけられたお土産屋さんです。
そしていよいよ!発祥の地で味わう「松花堂弁当」
今では全国的に有名な「松花堂弁当」。多くの人々に食されています。
さて、この松花堂弁当の起源ですが、もとはといえば石清水八幡宮の社僧であった松花堂昭乗の
使っていた道具(箱)でありました。
昭和の初め、料亭「」の創始者が八幡を訪れたときにこの話にヒントを得、懐石料理を盛りつけ、
弁当として世に出されたのが「松花堂弁当」の始まりです。器は、縁が高い四角の箱形で、かぶせ蓋が
あり中は十字に仕切られており、それぞれにご飯や煮物、焼き物などを区別して盛り分けられるように
なっています。この弁当箱は十字に仕切られているところが大切で、これは食材同士のにおいや、水分
が移らないための工夫なのです。 松花堂昭乗は多芸多才な人でありましたが、ほんの小さなきっかけ
をヒントにいろいろな用途に使えるものを考え出すところに、繊細さと才能を感じられます。400年近くも
前に昭乗によって考え出された器が、昭和になってお弁当箱としてよみがえり、全国的に利用されている
ことを考えますと、歴史のロマンが感じられます 。(http://www.hot-town.net/ 松花堂弁当の起源より)
ということで、本日の庭園探訪のメインでもあった、「松花堂弁当」を食すこととなりました。
ホームページで確認して「お食事にはご予約をおすすめします。」とされていたものの、
「早めにいけば、どうにかなるでしょ。」と予約もせず正午前に訪れると・・・
「ご予約がなければ、14:30からとなります。」とのこと。団体さんが予約されているとのことで、
ひとまず、予約をして庭園に向かうと、前述の団体さんのご一行がいらして「この方たちの後ってことネ。」
と納得した次第でした。庭園は、小腹減らしと、最高の空き時間を過ごさせてくれました。
「結局ちょうどお腹がすいたカンジだしよかったよね〜。」と吉兆松花堂店へ入店。
発祥の地の「松花堂弁当」を心待ちにしていました。
店内は、庭園の一部を見渡せるようガラス張りとなっていて、素敵な雰囲気です。
ついにきました↑松花堂弁当!右下の香の物の場所には、後ほどご飯が小さいセイロに
運ばれてきて、ここに収まるのです。(それまで待ちきれずに食べ始めちゃったので画像は
ないです:笑)あとは、椀物がついており、上品ながらもすこしずつとはいえ多くの種類の
おかずがあって、お腹は満足しますし、最後に香の物を戴くまで本当に良いお味でした。
ここでは、お食事だけではなく、お抹茶とお菓子を戴くこともでき、「お茶処」としても
利用できます。
こうして、身近な癒しツアーは、お天気にも恵まれ大満足でした。
3年前に改装された美術館棟なども、すごくきれいな場所でした。
美術館では季節ごとに催し事があるようです。
今季は、画伯向井潤吉展でした。
庭園には、竹だけでなく、梅・桜・椿・つつじ・紅葉など季節を象徴する花木が
随所にちりばめられており、是非四季折々に訪れてみようと思いました。