2000.4.1 下甑島・手打

 ついにやって来ました。甑島。前日早朝4時40分に自宅を出発。この3月から登場したひかりレールスターとつばめを乗り継ぎ、串木野で餌を調達してフェリーに4時間半、実に13時間近くかけて下甑島・手打港についたのです。レールスターは快適の一言に尽きます。指定席は広いし最高285キロ、喫煙席でも空調がすばらしく、ぜんぜんタバコのにおいがしない。難点は8両しかないので、指定券の入手が難しく、自由席も3両しかないため通路まで立ち客があふれているという点です。ただ、新大阪や博多で並べば座れますが。

 なお、前日フェリーでお話しした地元のHさんの話によると40オーバーが20〜30匹はまちがいなく釣れる、とのことで、期待は本当に膨らみました。40以下はリリースしよう、そう決めていました。

 当日6時に渡礁。今日から解禁の西海岸に渡りました。甑は非常にがけが高く、地磯が中心になりますが、どん深のようです。紀東に近い雰囲気です。

 船長の指示は写真右のワンドでしたが、あたりはなく、どんどん棚を深くしていくとウキが入りました。すかさず合わせましたが、簡単に上がります。24センチのガシラがつれました。おいしい魚ですからキープ。

 潮が矢印の向きに流れていますからそれに乗せて流していくと何かかかっています。巻いていくと鉤外れ。合わせを入れなかったのが原因でしょうか。それがあと2回ほどありました。

 左側でサラシができていたのでそこを攻めてみました。撒き餌を掬おうとしていると竿が絞り込まれましたが、また鉤外れです。

 そして次はウキが沈んだので合わせると乗りました。さあ、どれぐらい締め込むのかな、と思うとプッツン。道糸がサルカンのところで切られていました。3号の道糸です。サルカンが小さすぎたのかもしれません。大きめのサルカンにしますが、その後唯一のあたりはウツボでした。いやなものを釣ってしまったと、遊ばせていると幸いオートリリースしました。さすがにヴィトムです。

 しかし、それが最後のあたりでした。

 磯替わりしようかとも思いましたが、いい磯が残っているとも思えず、そこそこ当たりのあったここで、夕方の時合を待とうと思いました。ハリスは4号を使っていましたが、その後3号、午後は1.5号まで落としてみましたが、べた凪になってしますい、ずっと餌はついたままでした。そして夕方の時合を迎えましたが、時合は存在しませんでした。 私の目の届く所からは8人ぐらいが釣っていましたが、取り込んでいるところをみたのは1度だけでした。翌日は曇りだからそれに賭けよう、と思いました。

翌・2日は曇り空で少し風が強いのが気にかかります。でも東の風なので西海岸なら大丈夫でしょう。しかもHさんが船頭さんに「せっかく京都から来たんだから、いいとこ乗せてあげて。」と頼んでくださったので心強い。船は昨日よりもどんどん西に向かう。かなり波も高く、潮もかぶりました。最初のポイントに4人乗せるときも何度も付け直していました。

 次のポイントでは「竿と撒き餌だけで渡れ」との船長のどなり声。それでもその用意をしていないお客さんはもたもた。そうこうしているうちに「撤収」となりました。

 7時30分のフェリーには間に合わず、長浜港10時15分のシーホーク(高速船)で帰ることに。昨日買った撒き餌は船頭さんにあげました。

 道具を片付けているとHさんが現れ、ご親切にも長浜港まで送ってくださる上にシーホークの時間までお茶をご馳走してくださるとのこと。

 ありがたくお邪魔すると朝食までごちそうになりました。頂ながらHさんとHさんのお父さんにもいろいろと下甑の釣りについて教えていただきました。地元では5号の鉤、ハリスは2号が標準。棚は1ヒロから1ヒロ半だということです。全く逆をやっていました。ハリス4号で鉤は8号、棚は6から8ヒロで釣っていたのですから。お二人とも「これに懲りずにまた来て、いい釣りをしてくれ。」とおっしゃってくださり、本当にHさんにはお世話になりました。

 もしHさんにお会いしてなかったら「甑まできて、えらいめにあった。」という印象しかなかったでしょう。でもHさんのおかげで「今度こそ。」という気持ちになり、甑を後にすることができました。考えてみれば私の釣りは、貝太郎でおせわになったMさん、手取り足取りお世話してくださる師匠、そしてHさんといろいろな人によってささえられてるのだと改めて思いました。

合掌。