関西屈指の大岩壁!東ノ川遡行記

前回、行き損なった台高・東ノ川シオカラ谷へ行ってきました。
10トンはあろうかという巨岩が何百あるいは何千個もゴロゴロしている中を登っては降り、降りてはまた登りの連続で腕も足もパンパンに腫れ上がり膝には無数の青あざをつくりました。沢を志している人ならまずは押さえておきたい谷でした。(^^)
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【日程】1999/10/1(金)夜発〜同10/03(日)
【山名】東ノ川・シオカラ谷
【地図】「大台ケ原」「河合」1/25000
【天気】晴れのち曇り夜は雷をともなう嵐(^^;) 
【メンバ】小山伏さん,KUROさん,薫
【行程】
   10/01(金)奈良・王寺〜大台ヶ原駐車場車中泊
   10/02(土)出発〜大蛇ー〜中崩谷〜東ノ川本流〜西の滝手前幕営
   10/03(日)西ノ滝(150m)〜中ノ滝(245m)〜千石ー〜東ノ滝〜駐車場
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◎アイタ〜西名阪通行止めや!!

前日の晩に小山伏さん、KUROさんが東ノ川で「鴨なべ」やるってのを計画書で知ってあわてて参加申し込みをする。そのときには日曜日に家族との約束があることなどすっかり忘れていた。(^^)ゞ快く参加が許されて当日は早めに帰宅して沢支度をする。
小山伏さんに早く出ることも可能であることを告げるも遅い出発の方が良いとの事だったので22:00集合より30分早めに着いてコンビニで買い物をしようと20:30には自宅を出発。いつもなら40分位です。近畿自動車道で松原まできたら・・えー!工事のため平日20:00から通行止めってか。それなら入り口でいえよなと思いつつ車を更に南下させる。西名阪使わないで王寺にいく方法をそのとき知らない私はあせった。(^^;)以前、R25号線で丹さんといっしょに行ったことを思い出しそれを地図で探したらすぐ近くを走って居ることに気づく。しかしエライ渋滞や(ーー;)22:30になりそうだと小山伏さんに携帯から連絡を入れる。マタセテゴメンナサイ 

◎夜の大台ヶ原には鹿がいっぱい

KUROさんの運転で22:30王寺出発。快調に進み、大台ヶ原方面に入ったらわさび谷過ぎた辺りから鹿がひょこひょこ姿を現す。大台ヶ原駐車場に着くまでに4〜5回は目撃しました。そのうちの一頭なんぞはKUROさんの目前で道を横切ってガードレールを飛び越して反対側に転げ落ちた(^o^)よくあんな暗闇でジャンプしてけがしないもんだ。飛んだ先が崖だったらどうする気なんだろうと心配していたらまた現れた。おおいなぁ。。ほどなくして駐車場に着いた我々はそのまま車の中で眠りに落ちていった。
朝方、かなり寒かったがよく眠れた。今日は良い天気の予感がする。

◎またもや素晴らしい雲海

なんとなく外が明るいので時計をみたら6:00前だった。
もう起きてもいいかな?と皆に起床を告げる。割と素直に起きた(゚゚;)ビックリ6:15 朝食をも済ませ沢支度終了までの時間がこれである。えらい早いなぁ。そのまま出発、朝の清々しい空気と静寂の中で三人の腰から下げたカラビナの触れあう音が耳に心地よく入ってくる。三人とも静かに聞き入っている。途中で鹿の食事にも遭遇した。ごめんよ食事時にじゃましちゃってと詫びる。
30分程歩いた所でいかにもこれぞ大台ヶ原っていう雰囲気の景色が出現した。そこには神武天皇の銅像が建っていた。「この人が日本最初の天皇さんか」と思ったらなんだか貴重に思えてきて写真を取ろうと思ったら。。あれ。。?カメラがない!!アチャー車に置き忘れてきたようだ。なんちゅうこっちゃ。そこでの休憩中に、ふと「そして鹿がいなくなった」の看板が目に止まりそばまでいってみると、昭和30年頃まではこの辺りには鹿のエサとなるササ?カナが膝上まで生い茂っていた(写真有り)それが十分育たないうちに鹿が食べてしまってエサがなくなってしまった。そして鹿もそこから居なくなったってことでした。いかにも鹿を殺してもエエよねって私には聞こえたなぁ。再び歩き始めて駐車場から1時間程で大蛇ーに着いた。ここは岩場の展望台って感じで大普賢岳はじめ辺りの山が一望できる絶景さである。眼下にはガスが静かに漂って笊ヶ岳でみたのと同じ光景を演出していた。感動〜(^^)

◎東ノ川本流までは遠かった

大蛇ーからすこし戻った所にどこかの山岳会がつけた赤いテープがあった。我々もそこから東ノ川へ降りていった。のっけからエライ急な下りだった。左には大蛇ー、右には蒸籠ーがそびえたちその底を歩いてさえいれば迷いようがない。歩き始めて30分もしないうちにもう懸垂下降の場面だ。緊張。小山伏さんが20mのサブザイルを出し、先に降りていった。ここからは私がそのサブザイル担いだのだがトップ行かない私が持って良いのだろうかと焦る。しかし、これが後で大きくモノを言うのであった。持ってて良かったなぁ。
さらに降りていくと丸太が岩場に寄りかかってそれに抱きつくように降りなければならないところもあった。これに抱きつきながら降りた私は股間がア〜気持ちイイ〜の状態になった(^^*)少しいくと何本かのハーケンに8mm程度のザイルが通してある岩小屋に到着「これ信用してエエんかいな」と思ったけど小山伏さんがスルスルと20mザイルで降りていったので安心。しかし途中は空中懸垂だし降りきったところで末端が来るというヒヤヒヤものでした。途中で50mザイルも出し、一気に降りたところで右手に滝が見えてくるところで休憩した。あれは何という滝だったのだろう?そこからしばらくすると樹林帯に入ったが鹿が道を作ってくれているので歩きやすかった。しかしここでしばらくの間私は少しめまいを感じていた。これが「ひだる」なのかもしれない。ここらには、鹿の糞とか湿った空気があって条件的には申し分ない場所である。6月頃は要注意かもしれない。四時間程歩いただろうか。右から大きな流れが入ってきた。私はまだ支流と思って小山伏さんにそういった。けどこれが東ノ川本流でした(^^;)ゴメン

◎なんて遠い平坦道なんだ!!

KUROさんによって本流に入ったことを確認した我々はしばし、デカイ岩の上で甲羅干しを楽しんだ。うたた寝にはもってこいの場所だ。だが今日の予定は西の滝手前のテン場までである。本流に入ってしばらくすると地獄釜滝が現れた。落差30mほどだろう。綺麗な線を描いて水が落ちてくる。その右(左岸)から巻こうとしたのだが先行したKUROさんと私が登りすぎてしまって行き場を失ってしまった。小山伏さんはなんなく通過し、我々をあざ笑っている。クヤシー(;_;)少し下がったところで太い木の根に私が担いだザイルを通し、懸垂下降。これが私がかけた最初の懸垂である。嬉しい〜ザイル持ってて良かった。そこを降りた所で12:20だったので昼食タイムとする。まぁ、ここからはほとんど標高差が変わらない河原歩きやとタカをくくっていた。これが大間違い(;_;)標高差はほんまに変わらないんです。休憩後、歩き出したら大きな岩が我々の行く手を阻み、右に左にジグザクに振られときには登ったり降りたりだった。ほんまにむちゃ疲れました。特に左から支流が流れ込む(鳥渡谷)辺りでは三つの大きな岩があって一発目の岩は登りようがない。小山伏さんは、パルプさんらはここを登ったっていうがとても信じられない。滝の上に立った台形上の岩である。登り出し部分は滑り台の下のように反り返っている。落ちたらビルの5階から落ちる位の落差でっせ。んなもん行ける訳ないわ。仕方ないので小山伏さんが空身であちこち偵察してくれる。溝状の所を若干泳いで通過するルートを開拓した。けどそこをKUROさんが行くと流された。あわててシュリンゲを投げ出す。こりゃアカンと小山伏さんにシュリンゲだせ〜の笛をふく(^^;)二つ目は小山伏さんが泳いで開拓。我々はザイルに掴まって楽チンでした。三つ目は、谷全体をふさぐ位の巨岩で左岸から高巻いたような気がします。
その後にもデッカイ岩がゴロゴロあってヒぃ〜コラ言いながら登ったなぁ。15:30ごろ西の滝手前に絶好の場所でテント設営しました。ここは水を汲むのに少々難儀しますので直前まできたら水を汲み上げることをお勧めします。それとたき火用の木もだいぶ不足してきているようです。我々も一本大きな枯れ木を切り倒しましたのでもうかなり歩かないと木が手に入らないかも。
ここで憧れの「かも鍋」に舌鼓みを打ち鳴らし夜が更けて行ったのでした。

◎東ノ川ってどんな川?

さて、ここらで一休みしてタイトルにある「関西屈指の大岩壁!」の説明をしたいと思います。このタイトルを読む限りではいかにも我々が大岩壁を走破したように聞こえるかもしれませんが実際はそうではありません(^^)ゞ
東ノ川そのもので滝らしい滝といえば地獄釜滝と高倉滝,それに東ノ滝位しかありませんが、千石嵒とか大蛇嵒といった「関西屈指の大岩壁」の間を縫って流れる沢ってことで関西屈指の大岩壁としました。あまり人の手が加えられていないこの谷は沢を志すものなら一度は遡行したい谷ですね。私らはそれらの全てを高巻きしてしまいました(*^^)ゞスイマセン
我々はもっと下流からでしたが滝見尾根からなら日帰りも可能なこの谷はシオカラ谷だけでも充分楽しめると三人の意見が一致しました。

◎静けさの前の嵐

宴会のあと、三人はテントに入って速攻で寝たようである。私はシュラフカバーを胸に乗せただけで寝入ってしまっていた。(寒くはなかったです)テントの外にはザックやその中身あるいはスパッツなどがを木や石にかけたままになっていた。今晩はとても雨など降るような気配などなかった。夜中の3時ごろだったろうか。。なにやらテントの外でライトが一瞬光っって人影が見えたような気がした。「こんな時間に誰や!」と思った途端凍り付いた。。ここは沢の中や人など居るはずがない。。ぞぞォ〜(>_<;)
しばらく興奮して様子をみていたがどうやら雷光であることが分かった。安心して再び眠りにつこうとしたら、今度はザァ〜ざぁ雨が降り出した。雨の音を聞くのは好きな私であるがこりゃやかましい。沢の音と雷鳴とテントをたたく雨音の三重奏である。ここでいびきがあれば言うこと無しだ。この分じゃ明日は大変やなと思っていたがきっちり晴れた。(^o^)/
6:00私が先に起きて種火から火を起こし、朝食のウドンの準備をしているときに二人も起きてきた。
ゆっくりと朝食をとり、8:00過ぎに出発した。

◎大岩壁からフォールする西ノ滝,中ノ滝は圧巻!!

歩き出しからすでに筋肉痛が始まっていた。腕も肩も腰も足も痛い(^^;)まぁ今日はそれほど時間もかからないだろうからもう少しの辛抱やと自分に言い聞かせ今日も巨岩を攻める。昨日からもう何回目になるだろう。小山伏さんが岩の上で立ち止まりボ〜ゼンと次の行く手を探求している。ここやと決めて登ってみるとその奥にさらにデカイ岩がそびえ、行く手を通せんぼしてくれる。あとどれくらいこれが続くのだろう。。不安、、、
程なく右から尾根がはりだしてきた。これが日帰りルートの滝見尾根か。その向こうに西ノ滝が満面の水を空中にほとばしらせている姿が飛び込んで来た。大岩壁から落ちる巨瀑に一同。ウオオォ〜!の歓声があがる。さらに近づくと中ノ滝も見えてくる。西ノ滝の落差150m、中ノ滝245mだ。中ノ滝は大台山中では最長の滝だそうです。これら豪華二本建ての滝の揃い踏みは滅多に見られるものじゃない。スゴイ!西ノ滝の下に入ると瀑風がつよい。この滝をわらじの会と奈良山岳会が登ったって聞いた時には彼らが忍者にも思えたものでした。ここで写真撮影と攻略でかなりの時間を費やした。滝の真下を通れば割と簡単に通過できます。ここからシオカラ谷へと入っていく。この辺りからは紅葉の時期に来ればきっと満足するに違いありません。我々が行った時期は、まだ少し早かった。

◎こんな所ホンマ登れるの!!千石嵒

シオカラ谷に入った途端にやたら岩には赤ペンキで矢印が打ってある。ここしかないから通っているのに行った先々で矢印があるのでなんだか「はいアナタのルートは正解でした」って言われているようでオモロナイと某小山伏氏がぼやく。私は安心できてエエんやけどなぁ(^_^;)けどこの矢印はあまりアテになりません。簡単に行けるところでも高巻けって指示だしていたりするから体力消耗しやすいです。でも印があればついそちらに従ってしまう私です。我々は高巻きしたりもしましたが日帰り沢登りの本によれば高倉滝までは三段18mの滝以外は、全て直登できるようです。小山伏さんはかなり行っていました。さすがやなぁ。
左手に大きな岩壁が見えてくる。2〜300mはありそうな垂直な壁です。これが千石嵒か。ほんたびさんと助役が今度登るって聞いたけど登るのに何時間かかるだろう。。夏場は暑くてまず無理でしょうね。水やザイルなんかはどうやって延ばして行くのでしょう?絶壁ですよ(^_-)落ちたらひっかかるものはまず何もありません。真っ逆サマです。ハイ
っていう印象でしたけど本当のところはよく覚えておりませんm(_ _)m

◎やっと終わったと思ったら・・

高倉滝までくればもう終わったようなものである。滝の落ち口は綺麗な湾状になっていて美しい。我々は左から高巻く。しかし滝を越えてから降り口がなかなか見つからない。ガレ場風のところから50mザイルを出しかけたが小山伏さんがさらに探したら岩棚に降りられる場所を発見した。そこからなら20mのサブザイルでも簡単に降りる事が出来た。さすがやぁ。
ここらからはもうそれほど大きな岩もなくすぐにも東ノ川最後の東ノ滝にでた。落差25mほどだが細くて西ノ滝を見た後ではかなり見劣りする。滝の真下まで登り撮影する。小山伏さんは滝の真横の直上ルートを行きたそうにしていたが少し戻ったところから滝見道へとでた。滝の上は120mに渡ってナメが続き歩かない手はないと入りシオカラ谷吊り橋で遡行を終了した。やっと終わった〜。。と思ったらここからエライ急な階段や登りが待っていた。うぅ。。ツライツライ・・・・(ーー;)コンナンアリカヨ
15:20ごろ駐車場到着。早速着替えて温泉で打ち上げや〜って走り出したら急に5m先も見えないくらいの霧がでてヒヤヒヤさせられる。上がってくるのがもう少し遅くなっていたらこの霧でどうなっていただろうと考えると運が良かったのかもしれない。KUROさんのテクニックでなんとか無事に通過して中庄温泉で打ち上げを行って全行程終了〜。

最後に

東ノ川おつき合い頂いた小山伏さん、KUROさん割とハードな沢行きでしたけど本当に楽しかったです。
小山伏さんの見事なルートファインディングとかKUROさんの細やかな気配りには感心することしきりでした。今回の谷はまた私のなかでずっと燃え続けていることでしょう。これからもまたよろしくお願いします。長文おつき合いありがとうございました。m(_ _)m


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