大切な人を疑ってしまった・・・ 

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登場人物
健太(男性):美月の恋人
美月(女性):健太の恋人(1人暮らし)

    健太と美月は2年付き合ってた恋人同士でした。
    お互い心の中では「結婚したい」と思いながらもなかなか言い出せないでいたのです。
    健太が男友達と遊びに出かけてる時のことです。ヶ月前のことである。
 

友達 「お前、美月ちゃんとうまくいってるのか」
健太 「ああ、結構うまくいってるぜ」
友達 「・・・そうか、それなら別にいいんだが・・・」
健太 「なんだよ、その訳ありそうな顔は」
友達 「い、いや、前さ、街中で偶然に美月ちゃんを見かけたんだよ」
健太 「それで?」
友達 「その時、お前じゃない男と笑いながら楽しそうに歩いてたからさ」
健太 「ふーん」
友達 「ふーんって、心配じゃないのか」
健太 「ばかだな、美月が浮気とかするような女じゃないのは俺が一番知ってるさ」
友達 「そ、そうだよな。男と一緒だったからって浮気って決めるのもおかしいよな。ははっ」
健太 「ばかなこと言ってないで早く行くぞ」
    (男といた? 浮気? ま、まさか美月に限ってそんなこと。
     でも確かに最近少し元気がないような気が・・・い、いや、ばかなことは考えるのやめた)
数日後、健太が美月の部屋に電話してた時のことです。

健太 「じゃあ、明日、いつものとこでな」
美月 「うん、じゃあ明日ね」「ごほっ(男の咳?)」
健太 「ん? 今、咳が聞こえたぞ」
美月 「え! な、何言ってるの。き、気のせいよ」
健太 「いや、気のせいじゃないぞ。部屋に男がいるだろ!」
美月 「ば、ばかね、何言ってるのよ。いるわけないでしょ」
健太 「最近、様子が変だと思ってたんだ!」
美月 「そ、そんなことないわよ」

健太は電話を切りました。

美月 「健太! ・・・切っちゃった・・・」
男  「ご、ごめん、俺が咳なんかしたから・・・」
美月 「いいんです。いずれは話さないといけないことだがら・・・」


電話を切った健太はすぐさまバイクにまたがり美月の部屋へと飛ばしました。


健太 「美月が浮気? ばかな。でも確かに部屋に男がいた。テレビの音? 違う
     くそ! 一体どうなってるんだ! は、早く部屋に行って確かめないと・・・」


少しでも早く部屋に行こうとバイクを飛ばす健太。
頭の中がもうパニック状態になっていた。それでもスピードに加速をつける健太。
カーブにさしかかってもスピードを落とさないでいた。
スピードの出しすぎのせいかリアタイヤが横滑りを・・・ガシャーン!!!

病院のベットで健太は意識を取り戻した。


健太 「こ、ここは?」
美月 「病院よ、大丈夫?」
健太 「美月・・・そうか俺事故ったんだ・・・うっ、あ、頭が痛い!」
美月 「だ、だめよ、動いちゃ」
健太 「そ、そうか、お前の部屋へ急ごうとして・・・」
美月 「ごめんね、あの時、確かに部屋には男の人がいたの」
健太 「・・・やっぱりそうか。他に好きな奴ができたんだな」
美月 「ば、ばか。会社の先輩よ。その先輩の奥さんも一緒だったわ」
健太 「奥さんも?」
美月 「実はね、なかなか言い出せなかったんだけど、私、子供ができたの。あなたの子が」
健太 「な、なんだって!」
美月 「でね、先輩夫婦にいろいろとアドバイスしてもらってたの。
    休みの日にもその先輩夫婦を街に呼び出したりして相談にのってもらってたのよ」
健太 「・・・そ、そうだったのか・・・」
美月 「ごめん、今まで黙ってて・・・」
健太 「ば、ばかだな、俺」
美月 「え?」
健太 「お前を疑うなんてな・・・その結果これだよ」
美月 「・・・・・」


美月の目からは止めどなく涙が流れていた。
この病院に着いた時のことだった。健太は意識のないままベットに横たわっていた。
そして医者の話ではこのまま意識は戻らず明日まではもたないだろうと言われたのである。
万が一、意識を取り戻してもそれは一時的なものでしかないと・・・


健太 「そうか、俺の子供ができたんだ」
美月 「そ、そうよ、私のおなかの中にいるのよ」
健太 「い、今からとても大事な話をするからちゃんと聞いてくれ・・・」
美月 「え? わ、分かったわ、何?」
健太 「俺がこのまま死んだらその子をおろして欲しいんだ」
美月 「!?な 何いってるの!」
健太 「自分の体のことはよく分かるさ、多分、そう長くない・・・」
美月 「け、健太・・・」
健太 「君はまだ若いんだ。これから十分やり直しができる」
美月 「・・・」
健太 「お、俺の命と引き換えの約束だよ。必ずその子をおろしてくれ・・・」
美月 「そんなこと言わないで! 元気になるわよ!」
健太 「た、頼む、約束してくれ、でないと死にきれない」
美月 「ばかな事言わないで! わ、分かったわ、約束するから元気になって」
健太 「・・・ありがとう・・・」
健太 「こ、これだけは最後に言っときたい・・・君に出会えて俺はすっごく幸せだったよ・・・」
美月 「私もよ! だ、だから、いかないで! お願いだからいかないで!」

健太は少しだけ笑顔を残してそのまま意識を失ってしまった。
次の朝まで美月は飲まず食わず寝なずで健太のそばにいた。
そしてその側で静かに健太は息をひきとった。

大きな悲しみの中で美月は悩んでいた。
自分の気持ちは子供を生んで一人で育てて生きたい・・・そう思っていた。
でも健太が命と引き換えに約束してくれと言った言葉「子供をおろしてくれ」
そしてそれに約束すると言った自分・・・
どうしていいのか自分でもまったく答えが出せずに数日が過ぎていった。

ある日、美月の元へ健太の母親がやってきた。


母親 「あなたが美月さん?」
美月 「は、はい、そうですけど」
母親 「健太の部屋からこんなものが出てきたの。あなたに渡しておこうと思って」
美月 「!?こ、これは!」
母親 「多分婚約指輪よね。結婚したい人がいるからって言ってたから」


それから5年の歳月が流れました。
とある公園で元気に遊んでいる男の子がいました。
その男の子をベンチからじっと見つめている美月・・・


美月 「そろそろ行くわよ、健太!」
子供 「ママ! もうちょっと遊びたい」
美月 「だーめ、おばあちゃんが待ってるんだからもう行くわよ」
子供 「はーい」

どんなに好きでも疑ってしまうことってありますよね?
もしかしたら好きだから疑ってしまうのかも知れません

あなたが美月だったらどうしますか?
やっぱり生みます? それとも・・・
生むと決意できる人を私はとても素敵だと思います。