「愛してるから別れよう・・・」 あなたに、この言葉の真実の意味が分かりますか? 

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登場人物
A子(女性):Kの恋人
K男(男性):Aの恋人 

    K男とA子は1年付き合ってた恋人同士でした。
    2人はとてもいい恋人関係で、周りのみんなからもうらやましがられるようなカップルでした。
    お互いに言葉には出さずともこのままいけば”結婚”するんだなって、いつの日からかお互い思っていました。
    ある日、K男の家の電話がなりました。

K男 「もしもし」
A子 「・・・もしもし、K男? A子だけど」
K男 「ああ、どうしたのこんな時間に」
A子 「・・・明日の夜に会って欲しいんだけど」
K男 「いいよ、別に何も予定ないし」
A子 「・・・・・」

    K男は何となくいつもとは様子が違うA子に気づきました。

K男 「なんか、元気ないね。どうしたの?」
A子 「・・・ううん、別に何でもないわ」
K男 「そうかなぁ、いつもと全然違うよ」
A子 「そう・・・」
K男 「・・・で、何処で待ち合わせ?」
A子 「いつものところで、・・・・・話があるの・・・大事な話が・・・」
K男 「大事な話? 何だよ?」
A子 「・・・明日、明日話すから・・・」

    そして電話は終わりました。K男は明らかに様子がおかしいA子が気になりました。
    ”大事な話”って一体なんだろう? なんか悩み事でも出来たのかな?
    もしかしてプロポーズ!? ま、まさかな、それはないよな。
    でもあんな元気のない声、初めてだな・・・・・ 何だろう?
    次の日、K男は仕事が終わると待ち合わせ場所へと向かいました。

K男 「ちょっと早く会社出すぎたなぁ、まだ20分もあるか。まあいっか」

    そう思いながら待ち合わせ場所へと行くと、A子が既に来てました。
    いつも時間ぎりぎりにくるはずのA子が、20分も前に・・・

K男 「おお、早いね。どうしたの?」
A子 「・・・・・」
K男 「なんか食べに行く?」
A子 「・・・ううん、ちょっと歩なかい」
K男 「・・・ああ」

   2人は何度も行った事のある公園へと行きました。

K男 「大事な話があるって言ってたよね」
A子 「・・・うん」
K男 「何の話?」
A子 「・・・・・」
K男 「黙ってちゃ、分かんないよ」
A子 「・・・私と別れて欲しいの・・・」
K男 「!?」

    思いもしない言葉がA子の口から出ました。K男も何の話かいろいろ考えてましたが
    まさか”別れ話”とはこれっぽっちも思っていませんでした。

K男 「別れる? 俺達が?」
A子 「・・・うん」
K男 「何言い出すんだよ、冗談だろ?」
A子 「・・・ううん、本気よ」
K男 「・・・他に好きなやつでも出来た? それとも俺に飽きたの?」
A子 「ううん、違う。そんなんじゃないの・・・」

    理由を聞いてもはっきりしません。K男には理解できませんでした。こんなにうまくいってた2人が
    別れることになるなんて・・・
    でもA子の意思は固く、もう別れるしかなかったのです。
    最後にA子はこう言い残して去っていきました。

A子 「・・・ごめんなさい」

    ”ごめんなさい” K男は思いました。俺を振った事に対して言ったのか? それとも・・・
    しかしK男には考えることすら出来ませんでした。何が起こったのかもまだ頭では理解できてませんでした。
    ”ごめんなさい”・・・そう、この言葉にはとても深い意味があったのです。
    少しの月日が流れていきましたがA子に新しい彼氏が出来たとかそんな話はK男の周りで聞かれる事はありませんでした。
    「なぜ、俺達は別れたんだろう」その謎はK男の頭から消える事はありませんでした。
    2人が別れてから半年が経ったくらいのことです。K男の友達が血相を変えてやってきました。

友達 「おい、K男!」
K男 「なんだよ、そんなビックリしたような顔して」
友達 「お前、昔、A子と付き合ってたよな」
K男 「え、あ、ああ・・・」
友達 「昨日、死んだらしいぞ」
K男 「!?・・・・・」

    一瞬、K男には友達が何を言ってるのか分かりませんでした。
    ”死んだ!?”ど、どういうことだ。自殺、いや殺されたのか。頭の中がパニックになっていました。
    友達の話では病院で死んだっていう事以外は何も分かりませんでした。
    K男は心をなくしたかのような状態で家に向かっていました。
    ふと気がつくと自分の家の前に女性が立っているのが見えたのです。
    徐々に近づくにつれ、その人が誰だか分かりました。A子の母親だったのです。

母親 「こんばんわ」
K男 「・・・こんばんわ」
母親 「この手紙、娘から『私が死んだらK男に渡して』って頼まれてたの」
K男 「えっ!」
母親 「・・・あの子ね、がんだったの」
K男 「がん!?」
母親 「病院で分かったのが半年前くらいだわ。その時には既に遅かったの。後もっても半年だろうって言われたわ」
K男 「本人はその事・・・」
母親 「ええ、知ってたわ」

    半年前!? A子が別れて欲しいって言ったのはちょうどその頃・・・
    母親は1通の手紙を渡すと「元気でね」と言って去って行きました。
    K男は急いで自分の部屋に上がり手紙を開けました。
    そして、なぜ半年前A子が”別れて欲しい”と言ったのか、そして最後に言った”ごめんなさい”という言葉、
    ようやく、その意味が分かったのでした。

K男、あなたがこの手紙を読んでる時にはもう私はこの世にいません。
病院で「あと半年の命」って言われたのです。
あれほど泣いたのは生れて初めてでした。
あなたと付き合い始めてから私にはずっと夢がありました。
平凡な夢かもしれませんが、「あなたと結婚したい」それが私の夢でした。
でも、その夢がかなうことは永遠にありません。
ずっとあなたのそばにいたい、たとえ1秒でも長くあなたのそばで生きていたい、そう思いました。
でも、私が出した結論は別れることだったのです。
この数ヶ月間、あなたを苦しめてしまったと思います。
本当にごめんなさい。
私の人生は普通に考えたら短いものですよね。
でも、あなたに出会えたこと、そしてあなたを愛したことを私は誇りに思っています。
たとえ短い人生だとしても自分の人生に悔いはありません。
それは、あなたに出会い、人を愛する大切さを教えてもらったからです。
今、私はこう思います。
命はとても尊いものです。でも、その命よりも尊いものが愛なんだと・・・
大切な思い出をありがとう。
私の分まで、幸せになって下さい。
さ よ う な ら
 

話はこれでおしまいです。
あなたはなぜA子が別れて欲しいって言ったか分かりますか?
この話の中に「愛してるから別れよう」って言葉は出てきません。
けれども、A子はK男を愛してるからこそ別れを告げたのです。
A子と同じ立場に立った時、あなたならどうしますか?
誰だって少しでも一緒にいたいって思いますよね。
A子は、それでも別れを選んだのです。
私もこう思います。”命よりも尊いもの、それが愛”なんだと・・・