愛が悲しみをよぶ・・・ この言葉の意味が分かりますか? 
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登場人物

A子(女性):Kの恋人
B子(女性):Aの親友
K男(男性):Aの恋人

    K男とA子は3年付き合ってた恋人同士でした。A子とB子は親友とよべる仲でした。
    K男はA子と付き合って2年目にB子の存在を知り、時には3人で遊びに行くこともありました。
    K男とA子が付き合いだして3年が過ぎた頃、3人で喫茶店にいた時のことです・・・

A子 「K男、時計してないじゃない?」
K男 「ああ、どっかにいっちゃったんだよ」
A子 「どこに忘れてきたの?」
K男 「それが、覚えてないんだ」

    その時、B子が自分のカバンの中からK男の時計を出してテーブルに置きました。
    A子はもちろん、驚きました。

A子 「え、どうしてB子が持ってるの?」
B子 「・・・・・・・・・・」
K男 「・・・・・・・・・・」

    A子は2人の表情から、今まで感じた事もない不安感を覚えたのです。

A子 「何、どういう事?」
B子 「・・・もう、言ってもいいでしょ? K男」
K男 「・・・ああ」
B子 「その時計、K男が昨日、私の部屋に泊まった時、忘れていったの」
A子 「えっ!?」
B子 「あなたにK男を紹介された時から、ずっと好きだったの。半年前だわ、
    あなたに内緒でK男に告白しちゃったの。私達、その時から付き合ってるの、恋人として」

    A子は頭の中がぐるぐるまわり、何が起こってるのか理解のしようがありませんでした。
    少しの沈黙が流れ、ようやくA子は大切な恋人を親友のB子に奪われた事を理解したのです。

A子 「本当なの、K男」
K男 「・・・ああ」
A子 「嘘でしょ、ひどい!、ひどすぎるわ! 2人とも絶対に許さないから!」

    そう叫ぶと、テーブルに置いてあった水の入ったコップをB子に投げつけ店を出ていったのです。

K男 「B子、大丈夫か?」
B子 「・・・うん、私は平気よ」

    その時、B子の瞳から涙がこぼれたのです。そう、とても悲しい涙が・・・

    月日は流れ、K男とB子が結婚する事が決まりました。
    結婚式まであと数日という日の事でした。
    B子は、K男と待ち合わせのために自分の部屋を出た時、
    A子が立っていたのです。その手にナイフを持って・・・

B子 「A子!」
A子 「あなたを絶対に許さないわ!、結婚なんて絶対にさせないわよ!」
B子 「お、落ち着いて、A子」
A子 「わあぁぁぁぁぁ!!!」

   一瞬の出来事でした。B子は短い人生を終えてしまったのです。
   それから数日して、K男は刑務所に行きA子と面会したのです。

A子 「何しにきたのよ」
K男 「・・・君は馬鹿だよ、B子を殺すなんて」
A子 「ふん、何言ってるのよ! 死んで当然でしょ! 私からあなたを奪ったんだから」
K男 「本当にそう思ってるのか?」
A子 「当たり前でしょ!」

    それを聞いたK男の目から涙がこぼれおちました。

K男 「俺が馬鹿だったよ、あんな条件のんだから・・・」
A子 「条件? 何、訳の分からない事、言ってるのよ」
K男 「・・・本当の事を話すよ。B子のためにも、君のためにも・・・」
A子 「本当の事!?」
K男 「あの喫茶店での話、全部嘘だったんだ」
A子 「えっ!?」
K男 「俺がB子の部屋に時計を忘れた事、そしてB子が俺に告白した事も・・・」
A子 「ど、どういう事よ!」
K男 「告白したのは俺の方だったんだ」
A子 「え!?」
K男 「君にB子を紹介された時、俺は恋心をいだいてしまったんだ。
    3人で会うたびにその気持ちは深まっていったよ。ある日、俺は思いきってB子に告白したんだよ」
A子 「!?・・・・・」
K男 「もちろん、B子は言ったよ。
    ”あなたには、A子がいるでしょ。馬鹿なこと言わないで!” そう俺は怒鳴られたよ。
    俺は卑怯だよな、君に別れを言わずにB子に告白したんだから。それから何度も何日も自分の気持ちを
    B子に伝えたんだ。そしてようやくB子は俺の気持ちに答えてくれた。1つの条件を出してね」
A子 「じょ、条件?」
K男 「B子はこう言ったんだ。
    ”あなたがA子から私に気持ちを移したんじゃなくて、
    私がA子からあなたを奪った事にして欲しいの。それが私の条件よ”
    俺はその条件をのんだよ。そしてあの日、喫茶店で芝居したんだ」
A子 「な、何故、そんな芝居せずに本当の事、言えばいいじゃない」
K男 「俺だってそう言ったよ、でもB子はこう言ったんだ。
    ”自分の彼氏が他の女を好きになって離れていくのはとても辛いわ。でも、他の女に奪われたなら、
     そう、私が奪ったことにすれば、A子は私を恨むだけで、すぐに立ち直ってくれると思うの”
    何でわざわざ恨まれるような事するんだよ、って聞いたよ。
    そしたら、B子は ”A子は私にとって、一番大切な親友だから・・・” そう言ったんだ」
A子 「う、嘘よ、つ、作り話なんでしょ!!!」
K男 「・・・本当なんだ」
A子 「・・・B子は私の事を思って、自分を悪者にしたっていうの?」
K男 「ああ」
A子 「そ、そんな・・・私は、そんな親友を殺したって言うの・・・」
K男 「・・・・・」
A子 「うわぁぁぁぁぁ!!!」

    止め処もなくA子の瞳から後悔と悲しみの涙がこぼれおちました。
    そして、その日、A子は刑務所の中で自殺したのです。
    この世には、いないB子に宛てた1通の手紙を残して・・・
 

B子、ごめんなさい。あなたの本当の気持ちに気づく事、出来なくて。
 自分のしてしまった事は償いようがありません。
 もし、あの世で出会えたら、また親友になってくれますか?

話はこれでおしまいです。
あなたは愛が男と女の間だけのものと思ってませんか?
恋ならそのとおりですよね。でも愛はそんな次元とは違います。
この話ではB子のA子に対する愛が2つの悲しみをよんでしまったのです。