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CASE 010 「お風呂でくつろげない家」

 


ここにある問題を抱えた一軒の家がある。
それは・・・「お風呂でくつろげない家」

Hさんの家は25年前に建てられた公団のマンション。
仕事で忙しいご主人は週末しか家に帰って来られない。
3人のお子さんは小学生の男の子と女の子、それに
まだ保育園に通う女の子の「りえちゃん」。
Hさんは病院で働いており、仕事と子育て、父親代わりと
とにかく忙しい毎日。
しかし、家のお風呂は据置タイプで掃除が大変、決してキレイとは、
言えない状態。せめて仕事に疲れた自分が次女の「りえちゃん」と一緒に入るときと
週末しか帰って来ないご主人のために
くつろげるお風呂が欲しいと願っていた。

そこで一人の"プチリフォームの匠"が立ち上がった・・・。

解体工事から完成までちょうど一週間、
春休み期間中ということもあって3人のお子さんたちが
仕事に出かけるHさんの代わりに留守番を任された。
そして3人はちょっとした荷物運びや後片付けなどの雑用を
自ら進んで一生懸命手伝い、
自分たちのお風呂と洗面所がどんな風に出来ていくのか
じっとそばで見続けたのである。

最終日、新しいお風呂と洗面所が完成したとき
いちばん一生懸命働いてくれた「りえちゃん」は
「大きくなったら大工さんになりたい」と言ってくれた。
モノ創りの楽しさを理解してくれたことが何よりも嬉しかった。
最後に「りえちゃん」が私に恥ずかしそうに手紙をくれた。
「おっちゃんたちへ
おっちゃん わたしのおうちのおふろとせんめんじょお
きれいにしてくれてありがとう!!わたしたちわ
とてもうれしかったよ またいつかどこかであったら
こえおかけてね 」
「つ」が左右逆向きで、「は」と「を」の使い方をまだ知らない
小さな女の子の手紙がその後、私にどれほどのチカラを与えてくれてことか・・・。
人に喜ばれる、感動してもらえる、そんな仕事を続けていきたい。

CASE 009 「トイレが明るすぎる家」

 


ここにある問題を抱えた一軒の家がある。
それは・・・「トイレが明るすぎる家」

実はこれ、うちの家です。
東向きの窓があるうちのトイレは、白い壁紙に反射してとにかく明るい。
たぶん、ほとんどの家では無難な白い壁紙を選ぶし、私もそれがいちばんシンプルだと思い選んだ。
しかし、どうも落ち着かない・・・。

この問題について触れた一冊の本がある。
谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」である。
「日本の厠は実に精神が安まるように出来ている。それらは必ず母屋から離れて、
青葉の匂や苔の匂のして来るような植え込みの陰に設けてあり、廊下を伝わって
行くのであるが、そのうすぐらい光線の中にうずくまって、ほんのり明るい障子の反射を
受けながら瞑想に耽り、または窓外の庭のけしきを眺める気持は、何とも云えない。」
「或る程度の薄暗さと、徹底的に清潔であること、蚊の呻りさえ耳につくような静かさとが、
必須の条件なのである。」
「日本の建築の中で、一番風流に出来ているのは厠であるとも云えなくもない。
総てのものを詩化してしまう我等の祖先は、住宅中で何処よりも不潔であるべき場所を
却って、雅致のある場所に変え、花鳥風月と結び付けて、なつかしい連想の中へ
包み込むようにした。」
「やはりあゝ云う場所は、もやもやとした薄暗がりの光線で包んで、何処から清浄になり、
何処から不浄になるとも、けじめを朦朧とぼかして置いた方がよい。」

というわけで、トイレを薄暗くするためのリフォームである。
まず便器はTOTOのネオレストハイブリッド。タンクレスの形状でありながら
水道直圧式と内臓タンクから加圧して流す方式で節水と静音を実現。
ディテールの美しさは、さすがグッドデザイン賞受賞といえる。
壁紙はルノン社の「空気を洗う壁紙」。これは金属塩触媒で悪臭を水とCO2に分解する
画期的な技術で、ホテルや医療施設で最近よく使われているものである。
表面の質感が和紙のような墨色の壁紙を貼り、正面のみエンジ色にした。
床材は業務用の硬いシートで耐久性があり、メンテナンスも不要、お掃除もラクなものである。
そして薄暗くするために照明をスポットライトにして、正面のエンジ色の壁のみを
照らすようにした。
すると何とも言えない雰囲気のあるトイレになった。う〜ん、落ち着きます・・・。

CASE 008 「トイレの行き場がない家」


 

ここにある問題を抱えた一軒の家がある。
それは・・・「トイレの行き場がない家」

Nさんの家は約30年前に建てられた一軒家。
南欧風の外観は周囲の閑静な住宅地のなかでも
違和感がなく、落ち着いた表情を見せている。
当時、知り合いの建築家に設計を依頼して建てたそうだ。
玄関を入ると吹き抜けのホールになっており
壁には立派な油彩画が飾られ、二階へと階段が続く。
しかし、その脇の扉を開けるといきなりトイレが・・・。
なぜこんなところにトイレがあるのかと訊くと
風水を気にした建築家が水まわりをある方角に
集めたが、トイレだけがどうしても納まらなかったらしく、
行き場のないトイレがこの場所に追いやられてしまったのである。

そこで一人の"プチリフォームの匠"が立ち上がった・・・。

玄関のそばにあるとはいえ、扉を閉めるとそこがトイレだとは
誰も思わない。ということで30年間、来客用のトイレとして
使用してきたそうだ。家族はもう一箇所のトイレを使い、来客用はほとんど使わなかった。
なぜならその行き場のない玄関ホールのトイレは
窓がなく扉を閉めると真っ暗になるので、落ち着かないからだそうだ。
しかし、そのトイレを間取りを変更してまで移動させるのは難しい。
ならばできるだけ明るく快適にすることで、家族も使えるトイレにすることにした。
暗く冷たいタイルは腰壁の部分だけは残し、床のタイルは
マーブル模様のフローリングに。色の組み合わせと
足の裏が触れる床の材質を変えるだけで体感温度はぐっと上がる。
目線の高さで横長の鏡を付けると、単純に2倍の広さに見える。
これも狭い印象を解消し、明るくするアイデア。
そして快適にするには、タンクレスのトイレで足元を広く確保し、
ウォシュレットも上級グレードを選択。
新たに手洗い器もサイドに設置し、無理な姿勢で手を洗わなくても
いいようにした。

CASE 007 「仕事に差し支える家」

  

ここにある問題を抱えた一軒の家がある。
それは・・・「仕事に差し支える家」

Uさんは地元で30年、洋菓子店を営んでいる。
決して派手な店構えでもないし、マスコミに取り上げられるような
店ではないが、Uさんは味に絶対の自信を持っている。
口コミでその評判は広がり、今日も店のショーケースには
美味しそうな洋菓子が賑やかに並んでいる。
1階に店舗と厨房、2階と3階を自宅として使用されており、
厨房の天井に原因不明の水漏れが発生。
ちょうど真上に2階の浴室があるが、浴槽に水を入れるのが怖くて
もう何ヶ月も家族はシャワーだけで過ごしているという。
もし、厨房が水浸しになるようなことがあれば
店を閉めなければならない事態になる。

そこで一人の"プチリフォームの匠"が立ち上がった・・・。

水漏れの原因は浴槽の排水経路のどこかで配管がはずれ、
その一部が少しずつ1階の天井を濡らしているのは
明らかだった。しかし、それを補修するには大掛かりな
解体が伴う。この際、防水性能に優れたユニットバスに
改修することにした。
鉄骨造の2階に搬入するとなるとただでさえ制約は多い。
さらに店舗の営業を続けながらとなると、騒音、振動、
近隣対策、廃材の処理など問題は山積している。
現場管理のプレッシャー、重要性が増す。

なんとか10日間の工程を完了。施主であるUさんの
全面的協力がなければ成し得なかった。
Uさんにとってもこの工事完了は悲願であった。
何ヶ月ぶりに湯船に浸かって仕事の疲れを癒すことが
できるようになったのである。そして
もう厨房の天井を見上げ、気を揉みながら
仕事をしなくてもよくなったのである。

しばらくしてから店をのぞくと、Uさんは店を息子の2代目に任せ
昼間からお風呂に入っていたりするほど
なのである。

CASE 006  「元に戻りたい家」

ここにある問題を抱えた一軒の家がある。
それは・・・「元に戻りたい家」

約300uの敷地によく手入れされた庭があるSさんの家。
40年前に建てられたこの家で、Sさんはひとりで暮らしている。
3人のお子さんはみな家庭を持ち、この家を巣立っていった。
そして3年前にご主人を亡くし、悠々自適の日々を過ごしている。
そんなSさんを悩ませているのは、毎日使う台所。
この家の台所は、建てて間もなく増築されており、
外壁はトタン板、床下も簡易なつくりで
室内もSさん一人では広すぎて使い勝手の悪い状態になっている。

そこで一人の"プチリフォームの匠"が立ち上がった・・・。

台所の一部が増築されているので、他の外壁と面(ツラ)が
揃っていないばかりか、簡便に造られているせいで
老朽化も進んでいる。
そこで、思い切って増築部分を解体し、減築することにした。
側面の土壁と屋根だけを残して基礎からやり直す。
土台、床・壁の下地を大工さんに頼み、外壁は
左官職人にモルタルを20mm以上塗ってもらって防火構造とし、
仕上げは他の外壁と色を合わせて塗装した。
こうして元の姿カタチに戻ることができたのである。

雑然とした流し台のまわりは、コンパクトなシステムキッチンにした。
一人で調理しやすいように家事動線を検証してレイアウトを変更。
以前に比べて床面積は狭くなったのに、
整理整頓ができたので使い勝手も向上し、広く感じるようになった。
これからのことも考慮してダイニングとの段差も解消した。
Sさんはこうして安心して家事に励むことができるようになったのである。

CASE 005  「お風呂に入れない家」 

   

ここにある問題を抱えた一軒の家がある。
それは・・・「お風呂に入れない家」

大阪平野が一望できる高台にある洋風の家。
88歳になるSさんはここで元気に独り暮らしをしている。
しかし、年老いたSさん独りでは手入れが出来ないため
築50年近く経つ家は至るところで傷みが目立ち、
確実に劣化が進んでいるのである。
この家のお風呂は、現在ではほとんど見ることができない
総タイル貼りで、腰掛の部分はホンモノの大理石が使われている。
そのタイルの一部が割れてしまい、浴槽に水を入れても
下に漏れてしまう。
このままではいつまでたってもお風呂に入れない状態なのである。

そこで一人の"プチリフォームの匠"が立ち上がった・・・。

お風呂をリフォームするにあたりSさんは、
以前のイメージを残すこと、手入れがしやすいこと、そして
安っぽくならないようにエレガントであることの3点を希望した。
そこでいちばん肝心な浴槽は輸入モノのように見えるが
実はTOTO製のオーバル型の浴槽を提案。
Sさんは一目で気に入ってくれた。
しかしこの浴槽、据え付けるにあたり、角がなく丸いために
職人にとっては熟練の技と勘が必要であった。
さらにタイル職人にもいつもより時間と労力を使って
丁寧に仕上げてもらった。
以前のイメージをなくさないように
腰から下の部分は同色のタイルで補修し、
タイル貼りの船底天井はカビキラーを吹き付け、
見事によみがえったのである。

以前の暗く冷たい印象の浴室が、明るく清潔感にあふれる浴室になった。
Sさんは今日も、足を思いきり伸ばしてお風呂を満喫していることだろう。

CASE 004  「お風呂が臭う家」

ここにある問題を抱えた一軒の家がある。
それは・・・「お風呂が臭う家」

昭和40年代に建てられた建売住宅を20年前に中古で購入したBさん。
住み始めた当初から気になっていることがあるという。
それは写真では分からないが、お風呂に入るとかすかにトイレの臭いがするのである。
家庭から出される排水は、雨水、汚水、雑排水に分けられ、
トイレは汚水、お風呂や洗面所は雑排水で、それぞれ
悪臭の逆流を防ぐためにトラップが設けられている。
しかし、この家はそれが機能していないのである。

そこで一人の"プチリフォームの匠"が立ち上がった・・・。

排水の経路がどうなっているのか・・・まずはそれを調べる必要がある。
ちょうどお風呂も40年ちかく経って老朽化していたため取り壊すことにした。
そしてトイレから洗面、浴室、台所と続く排水の経路であることが分かった。
しかし、通常1/100以上の勾配をつけなければならない屋内排水管は
ほとんど勾配がなく、汚物が留まり、お風呂のお湯を流したときの勢いで
流される状態になっていたのである。
なにしろ建てれば売れた時代に売り出された家、床下の排水管のような
見えない部分は、いい加減に造られたのであろう。

問題の排水管は屋外の会所をすべてやり直し、勾配もつけた。
そしてお風呂もユニットバスになり、Bさんはやっと
気持ちよくお風呂に入れるようになったのである。

CASE 003  「いきなりお風呂がある家」

ここにある問題を抱えた一軒の家がある。
それは・・・「いきなりお風呂がある家」

Kさんの家は築50年、閑静な住宅街の一角にある。周りの家々が
次々と建て替えられていくなか、そこだけが取り残されたように
50年前の姿を残している。
玄関から廊下を進むと右手に引違いのアルミ製の建具があり、そこを開けると
なんと、いきなりお風呂の洗い場になっている。しかもその洗い場には
洗濯機が置かれ、タイルの壁には洗面ボウルが掛けられている。
つまり洗面脱衣室がないのである。

もともとは木風呂で、Kさんはお風呂に入るというのは
湯船に浸かる程度で十分なのだそうだ。
しかし年老いた今となっては、その小さな浴槽に入ることさえ
億劫になっているという。

そこで一人の"プチリフォームの匠"が立ち上がった・・・。

今さら浴室と洗面脱衣室に分けてもそれぞれが狭くなるだけだ。
しかも環境の大きな変化は、思わぬ事故にもつながりかねない。
そこで、同じサイズのステンレス浴槽に入れ替え、
洗い場の床も掃除がしやすい大きめのタイルにした。
お風呂に入るときにタオル掛けを握って身体を支えていたので、
新たに浴室用の手すりを付けた。
そして、築50年にしてはじめてシャワーが取り付けられたのである。

何もかも新しくすることが快適とは限らない。
住環境が変わり、生活パターンを変えてしまうと、
かえって負担になることもある。

CASE 002 「トイレが細長い家」
   

ここにある問題を抱えた一軒の家がある。
それは・・・「トイレが細長い家」

Sさん夫婦は独身の長女と3人暮らしで、静かに老後を過ごしていた。
しかし突然、奥様が倒れ入院。足が不自由になった。
Sさんの家は築45年、トイレは手前に男子小用のスペースがあり、
奥に和式便器がある細長いトイレである。
このままでは、退院して自宅に帰ってきた奥様を介助することができない。
Sさんが用意できる予算は20万円。

そこで一人の"プチリフォームの匠"が立ち上がった・・・。

まずはトイレを二つに隔てる壁と建具を解体。
玉石の床とタイルの壁も撤去し、冷たい印象を払拭。
ただし、上下にある窓は残して、趣きはそのままにした。
足が不自由な奥様が躓かないように
また、ご主人や長女が介助しやすいように
バリアフリーにして、十分なスペースを確保して無事リフォームは完成。
総額は37万円もかかったが、介護保険の住宅改修補助を使い
(20万円までは1割負担で済む)なんとか予算内に納まった。

3ヵ月ぶりに自宅に戻ってくる奥様は、果たして喜んでくれるでしょうか・・・。

CASE 001  「トイレが傾いた家」

ここにある問題を抱えた一軒の家がある。
それは・・・「トイレが傾いた家」

Hさんは70歳を過ぎた現在も執筆活動や講演会で
忙しいジャーナリストである。
築40年を超えるHさんのお宅。
土台の老朽化と近隣のビル工事の振動の影響で
トイレは手前に傾いている。
つまりしゃがむと後ろへ倒れそうになるのである。
これは非常に危険である。

そこで一人の"プチリフォームの匠"が立ち上がった・・・。

まず和式トイレを撤去し
FLより約50cm下げたところまで土を掘り出し
床下の換気を確保。
廊下とバリアフリーにした床面を
クッションフロアにして
タンクレスの洋式トイレを設置した。
手すりも付けて、安心して用を足すことが
できるようになった。

そして何よりもトイレ全体が明るく清潔になり
家の中でいちばん快適な空間が
できました。