立正安国論

1999年 「地震の前兆」 耕文社より

(ぞく)及び()(しゃ)等斯くの如き事を見て其の国土を捨てて擁護(おうご)の心無けん、但だ我等のみ是の王を捨棄(しゃき)するに非ず必ず無量の国土を守護(しゅご)する諸大善神有らんも皆(ことごと)捨去(しゃこ)せん、既に捨離(しゃり)(おわ)りなば其の国(まさ)に種種の災禍(さいか)有って国位を喪失(そうしつ)すべし、一切の人衆皆善心無く唯繋縛(けいばく)殺害(さつがい)順諍(しんじょう)のみ有って互に(あい)讒諂(ざんてん)()げて(つみ)無きに(およ)ばん、疫病流行し、彗星(すいせい)(しばし)ば出両日並び(げん)薄蝕(はくしょく)(つね)無く黒白(こくびゃく)の二(こう)不祥(ふしょう)の相を表し星流れ地動き井の内に声を発し(ぼう)()悪風(あくふう)時節(じせつ)に依らず常に飢饉(ききん)()って(みょう)(じつ)(みの)らず、多く他方の怨賊(おんぞく)有って国内を侵掠(しんりゃく)す人民諸の苦悩(くのう)を受け土地(しょ)(らく)の処有ること無けん上巳

 (だい)(しつ)(きょう)に云く「仏法実に隠没(おんもつ)せば(しゅ)(ほつ)(そう)皆長く諸法も亦忘失(もうしつ)せん、()の時虚空(こくう)の中に大なる声あって地を震い一切皆(あまね)く動かんこと(なお)水上輪の如くならん・城壁(じょうへき)(やぶ)れ落ち下り屋宇(おくう)(ことごと)?(やぶ)()樹林(じゅりん)の根・枝・(よう)()(よう)()・薬