2015年10月1日 第201話             

良寛さんの幸福観


     生涯立身  生涯、身を立つるに懶(ものう
     天真  (とう)々、天真に(まか)
     曩中三升米  (のう中三升の米
     炉辺一束薪  炉辺一束の薪
     誰問迷悟跡  誰か問わん、迷悟の跡
     何知名利塵  何ぞ知らん、名利の塵
     夜雨草庵  夜雨、草庵の(うち)
     双脚等閑伸  双脚、等閑に伸ばす   良寛   
            

幸福度指数

 国連は、2012年から今年で3回目となる世界幸福度レポートを発表した。このレポートはいろんな指標、例えば、国民一人あたりのGDPの値や、寿命、汚職の無さ、社会の寛容さ、人生の選択をする自由がある、などを考慮して順位を決めたものです。

 調査対象となった158ケ国中、1位はスイス、2位はアイスランド、3位はデンマークで前回と同じ、次いでノルウエー、カナダとなっており、日本は46位で昨年の43位から順位を下げた。順位に変動はあるものの上位13ケ国の顔ぶれは昨年と変わらず、ロシアは64位、中国は84位だった。

 国連は、「国民総幸福量」で発展の度合いを測るブータンの提言を受け、2012年の国連総会で3月20日を「世界幸福デー」に指定すると宣言。各国政府に国民の幸福度向上を目指してもらう目的で、毎年報告書を発表している。国民総幸福量を自国の指標とするブータンは、この国連レポートでは79位でした。

 日本では平成23年より内閣府経済社会研究所が試案をつくり、幸福度を具体的に見えるように各種指標で表そうとしています。日本人の主観的幸福感を把握する基本として、経済社会状況(基本的ニーズ、住環境、子育て教育、仕事、制度)、心身の健康(身体的健康、精神的健康、身体精神共通)、関係性(ライフスタイル、個人・家族のつながり、地域・社会とのつながり、自然とのつながり)を3本柱として、子ども、若者、成人、高齢者というライフステージとの相関を指標化して幸福度を表そうとしています。

幸せの条件

 人は幸せを求めますが、人生に浮き沈みはつきものです。人は上昇気運にあるときはさほど思わないけれど、何ごともうまくいかなくて、逆境にあると心底幸福を願うようです。そして幸福の条件を自分の外に求めがちです。しかし、それは不安定なものだから、さらに不安が増すことになります。

 つかの間の幸せということもあるから、つかんだ幸せを手放したくないと思えば、執着心で苦しみます。欲望に限りがないから、もっと新たな幸福を求めます。そうすると、つかんだ幸せが色あせて見えてくるから、新たな不安とさらなる欲望が生まれてきます。

 それでは幸せの条件とはなんでしょうか。まずは精神的、肉体的に健康であること、そして長寿であれば最もよしということでしょう。次に、いい仲間いい家族がいる、職場の人との交わり、社会的結びつきにおいて、良好な人間関係を望む。さらには、経済的に安定している。自分のスタイルに合った居場所・住環境があればよい。これらは一般的に共通する幸せの条件でしょう。そして仕事や趣味が充実している、仕事や時間を自分でコントロールできる、将来の見通しが立っている、社会的貢献ができる等、幸せの条件とは、こういうところでしょうか。

 人間という言葉を広辞苑で見ると、まず最初に「世の中」と意味が書かれています。だからだれにも束縛されず、一人で生きていけると考えている人があっても、それは個人的な思い上がりです。人は一人では生きていけないので人と間と書いて人間という、それで社会を構成して生活をしています。だから、自分一人では満足できる幸せは得られないということでしょう。

幸福度を上げる

 NHK朝のラジオ番組・健康ライフで、予防医学研究者・石川善樹さんが興味のある話をされていました。人とのつながり方が寿命に関係しているというのです。なぜならば、人とつながりを持っていると、会話することでストレスが解消する、はりあい、生き甲斐、やりがい、責任感が出てくる、情報も得やすい。これが元気と長生きにつながるから孤独は健康に悪いという。

 つながりの数と寿命とが関係しているから、仕事をずっともって暮らしてる人は長生きで、 世話役とかリーダーをすると責任やストレスも多いけれど、役員になると寿命が延びる。つまり、こうした自立性をもった生き方が寿命に効いてくるという。
 そして質よりつながりの量が多いほど幸福になれるという。幸福は人と人の間で伝染しやすいから、自分の友達が幸せになれば自分も9%幸福度がアップする、自分の友達が不幸になると、自分の幸福度は7%下がる。幸せの方が不幸せより感染力が大きい、だから、多くの友達に出合った方が幸せになる確率が高くなるそうです。

 幸せだと感じる幸福度、これと寿命とが関係しているという。幸福度の高い人ほど寿命が延びる。それは、幸せだと思っている人は友達が多いから、幸せな人・ポジティブな人は人の助けが得やすく、ポジティブだと視野も広がるので困難を乗り越えて行けるというのです。
 幸福度にはどういう要因が影響しているのか、統計的に導き出されたところでは、幸福度は生まれた性格で決まる、幸福のほぼ50%が遺伝が影響しているという。ご機嫌な人の家族はほぼご機嫌、不機嫌な人は家族も不機嫌な人が多いそうです。また遺伝以外の要因が50%だから、自分の努力や環境とか行動で幸福度は変えられるという。

 幸福度を上げるにはどうしたらよいのか。 環境よりも考え方を変えるのがよいというが、考え方を変えるのは難しいようです。それで環境や行動を変えることで、結果として考え方も変わっていく。だから、作り笑い、上を向く、ガッツポーズなど自分の行動それだけでも気分が盛り上がっていくということです。
 幸福度を上げるために何をしたらよいのか、国家として取り組んでいるのがイギリスで、5つの行動を提唱している。それは、「運動する、感謝する、人とつながる、何か新しいことを学ぶ、人に与える」だそうです。

良寛さんの幸福観

 生涯(しょうがい)()()つるに(ものう)し、(とう)々、天真(てんしん)(まか)す。
 曩中(のうちゅう)三升(さんじょう)(こめ)炉辺(ろばた)一束(いっそく)(たきぎ)
 (たれ)()わん、迷悟(めいご)(あと)(なん)()らん、名利(みょうり)(ちり)
 夜雨(やう)草庵(そうあん)(うち)双脚(そうきゃく)等閑(とうかん)()ばす。

 自分の生き方として、財をなすことや立身出世などということは、性にあわないから、気ままに自然の摂理に順って生きている。頭陀袋には托鉢でいただいた三升の米があり、当座の暖をとるに足るだけの薪もある。ことさらに迷いや悟りにこだわることもなく、まして俗世の名利など私には関係のないことです。おんぼろ屋根の草庵に、夜雨のしとしと降る音を聞きながら、両足をきままに伸ばし静寂を楽しんでいる。

 良寛さんは越後の人で、1758年に生まれ1831年に74歳で没した。逸話が多く、清貧で無欲の人としてよく語られる人気のあるお坊さんです。「生涯、身を立つるに懶し・・・」良寛さんの生活ぶりが偲ばれる詩です。
 良寛さんにとっては、日常が修行であり証(さとり)であるから、何ごとにもこだわらず、とらわれず、身をつつしみて欲におぼれず、真実に随い、真実に生きることを発願し日々行ずる、すなはち菩提心を発(おこ)し、向上心を鼓舞して生活することにより幸福度が高まる。幸福度を高めようとするならば、それは他(外)に求めず、自ら(内)に求める。これが良寛さんの幸せの条件でしょう。

 自らが幸せになろうと欲するならば、他を幸せにしない限り自らは幸せになれない。日々の生活において、他を幸せにせんとの願いを持続して、利他を行ずるところ、自ずと幸福度が高まる。他を幸せにせんとの願い、すなはち菩提心を発露し生きることによって、自ずと幸せが自分についてくる。発願利生とは他を幸せにしようとの願いに生きることで、これが良寛さんの幸福観でしょう。
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