「鐘の音」   和尚の一口話               2002年4月1日
 
         第三十九話   
一期一会    
  
     一期一会とは、一生に一度の出会いということです

 出会い という言葉であなたは何を連想されますか、親友との出会い、恩 師との出会い、夫婦の出会い、等々、若い人達は、友達や出会い系サイトを連想するかもしれません。出会いという言葉からの連想は人によって、さまざまちがいがあるでしょう

 は出会いの月かもしれません、人生の新しい1ページの始まりだいう人が多いからです。 学校での新しい友達との出会い、職場の人との出会い、ご近所や地域の人々との出会い、さまざまな人との出会い。出会いこそ人生
の始まり、生きていく上での新しい展開のきっかけとなることから、人生の悲喜こもごもは、出会いからだと、人は言う。

 人にとっての最大の出会いの始まりは、自分との出会い、すなはち、我が命の誕生です。この世に三千万種もの生き物が生息している中で、ヒトに生まれるということは、まさに受け難し人身を得たということです、そして、自分の誕生には、父母の出会いがあったからです。

 命は尊くて重いものであります、 自分のいのちが尊き重きものなれば、他の命も同じであります、 自分が大切であるからこそ、他の命も大切であります。 自分が大切であるから、他人はどうでもいいのだという理屈は成り立ちません。 自分の存在は他が支えている、人は互いを大切に思い、必要とするからこそ、出会いがあるのです。


 茶人は客との間柄を大切にします、主人はお客さまを迎えるにあたって、たとえ何度もお会いしているお方であっても、 無常の世です、いつお別れとなるかもしれません、 誠心誠意お客さまにつくしてゆくことが、茶人のたしなみです。

 そのために、お客さまが、路地に入るより 出ずるまで 心をくばる、その心遣いが 無言のうちにも通じていきます。 今日 今席しかないという気持ちで相手に接していく 生き方であります。 すばらしい心くばりです、自分に対する心くばりも、かくあらねばなりません。

 毎日が新しい日、はじめての日、毎日が新しい私、はじめての私です。一期といえば 、人生の一生涯、一会といえば その時、その場、はじめての日のはじめての人との、一度きりの出会いですから、一期一会とは、一生に 一度の出会いということです。
 一期一会は、自分自身への 最高の心くばりでもあります。


 我が命との出会い、自分の誕生を、自ら喜びとして受けとめようとしないで、自分の生まれに不満を抱く人もある、けれども、勝手に生まれてきたのではない、どんな人でもみな、この世に必要だからこそ、望まれて生まれてきたのです。二度とない人生を喜びとしないで、他にどのような喜びがあるというのでしょうか。 

 4月8日はお釈迦様のお誕生日です、天上天下唯我独尊、受け難し人身を受けることができた、 人みなに、今、たった一つの、一度きりの尊き命ありと教えられました。
 さまざまな出会いのもとに 人は生まれてきました、そして、人にはさまざまな出会いがあります、 どんな出会いでもありがたきことと喜びたいものです。


     ありがたし ありがたしとて 世に住めば 
             皆ありがたき ことばかりなり


 四月は花の季節です、さまざまな生き物が生きるいとなみを活発にする時節です、新しい命が躍動する、さまざまな生き物も 出会いの季節をむかえたのです。 

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