10数年、お正月やお盆休みにノンビリさせていただいている北海道の道北のサロベツにある常宿 『 あしたの城 』 では暖房の薪ストーブの燃料として備蓄している薪には燃やしてしまうには惜しい木があるそうです。 北方の落葉広葉樹ですから北海道家具に使われるミズナラやカバなどの銘木がほとんどです。
数年前に泊まった時に木工が好きな私を知っていてか、宿主から 『 いい木があるから持って帰って何か作ったらええべさぁ〜 』 とナラの板を数枚いただいて帰りました。 しばらく乾燥も兼ねて放っておいたのですが、以前結婚祝いに宿主から贈ってもらった掛け時計を真似て作ることにしました。
まずは時計を作るには時計の部分、ムーブメントと言いますが時計の心臓部となる機械が必要です。 現在はほぼ100%がクォーツのコンパクトなものが東急ハンズや手芸洋品店で1000円弱で売られています。 針が別売りで300円くらいです。今や100均で完成された時計が売られているので随分割高な気がしますが、オリジナル時計製作のためなので背にムーブメントは代えられません。 文字盤の板の厚みに応じてムーブメントの種類があるので、あらかじめ文字盤の厚さを測っておきます。 今回の場合18mmだったので18mmに合ったものを購入しました。 元々20mmくらい有ったのですが、宿に再訪したおり自動カンナで少し薄くしてもらいました。
文字盤を市販のムーブメントに適合する厚さにカンナ掛けして、サンダーや紙ヤスリで表面の仕上げをしてムーブメントの軸が通る穴を空けます。 今回、置時計になることも考えられたので少し重心を低くして幹から枝分かれする辺りに位置決めしました。 10mmのドリルを用い、ボール盤でまっすぐ垂直に穴を空けます。 ナラの木は固いのでドリルで穴を空ける途中に木が焦げて煙が出てきます。金属なら切削油を注したいところですが、木材では仕方がありません。 あまりドリルが熱くなっては刃先の焼入れが鈍ってしまうので休み休みドリルを先に進めます。
板の上下の端が切りっ放しでは締まりが無いのでストックしてあった厚さ5mmのチーク材を板の幅に合わせて組み木のように張り付けました。
ムーブメントと別売りの針のパッケージを出したところです。
右上が時計の心臓部のムーブメント、その左がムーブメントと文字盤の間に挟む滑り止めのゴム板、針との間にある丸い金色のパーツがムーブメントと文字盤を固定する特殊ナット、その右にある六角ナット、ワッシャ、一番左の吊り下げ用の金具は今回使いませんでした。 右下にあるのはナットを締め付けるスパナです。針は色や形、大きさなど何種類もあるので好みや文字盤の大きさに合わせて選びます。
写真左)10mmの穴を空けた文字盤の裏面からムーブメントのネジ部分を差し込みます。 廻り止め? 滑り止め? の丸いゴム板を間に入れるのを忘れないようにします。 掛け時計にする場合、吊り下げ用の金具をゴム板とムーブメントとの間に挟みますが、今回は重心も高いので使いませんでした。
写真右)文字盤の表側から丸い金色のナット(真鍮製)で締めこみます。 特殊な形をしていますので、ムーブメントに付属しているスパナで回しますが、スパナの強度はそれほど強くは無いのでそこそこ止まっていればヨシとします。 そんなに振動もチカラも加わらないので心配無用です。
いよいよ最終段階の針の取り付けです。
と言っても工具もコツも不要で、短針、長針、秒針の順で挿し込んでいくだけです。
すこし工夫と言えば、時計を置く状態にして12時の位置になるようにして針を重ね合わせて組み付けていけば針がズレルのを防げます。 但し、秒針が1秒間間隔で動く角度(6度)ずつの停止位置で止まってしまうので、短針と長針にきっちり重ならないようであればホンの少し短針長針を 『 ギュッ 』 と回してみて調整します。 針は曲がりやすいので無理は禁物ですが、自信が無い時にはもう一度針を抜いて入れ直します。
針が真直ぐ付けば電池を入れて完成です。 好みに応じて正時の位置や1時間毎にメモリやワンポイントを入れても良いですし、今回のようにシンプルに何も付けないのも手作りらしさがあって良いかも知れません。
宿主に初めていただいた時計では毎時に小枝で作った目盛りが張り付けられてありました。
完成した勢いで玄関から正面に見える壁面に取り付けてみました。 付属の吊り下げ金具を使用しなかったので、文字盤裏の上の方に金具をビス止めしました。
以前から飾ってある丹頂鶴の帰巣の写真の上で同じ北海道のナラ材の文字盤で作った手作り時計。 自分的にはOKなのですが奥さん曰く、ちょっとクドイそうです。
文字盤の材料費がタダなので製作費用1100円くらいでしょうか?