essay


2007年07月〜09月

2007年07月〜09月
<原爆記念日>
8月6日は原爆記念日。 今年、広島を離れて、20年ぶりぐらいに初めて、8時15分に テレビの前で、黙祷した。
広島を離れると、何と8月6日が、普通の日であることか。 広島の実家では、仏壇に線香が焚かれ、テレビの前にすわり、その時刻には、テレビの前で手を合わせる。
TVもアニメとか無くなり、特別番組でうめられる。子供心に面白くない日だった。 ここ数年、お袋は、原爆体験を話す事が多くなった。 「あんた達には、元気なうちに話しておこうと思うんよ」

お母さんが、その日、広島中心地に、建物疎開でかり出され、正面から爆風を浴びて、お化けみたいに火傷をした事。 安古市の疎開先にお父さんが、大八車で迎えに来た事。「避けとれんけん、死体はいっぱい轢いて来た。」と言われ「帰りとうない」と泣いた事。 お母さんが、やけどの薬を「また、落ちたらいけんから、塗らんで、とっておきなさい」と言った事。と言ったが、「何バカなこと言うとる!」と言って塗った事。 宇品は、幸い焼け残ったが、近所の僕の行ってた小学校にお化けのようになった人が一杯来て、水を飲ませたら死んだ事。 山のような死体に灯油をかけて焼いた事。頭が先に落ちてくるので、手でつかんで、上に乗っけた事。臭かったこと。 お母さんは、数日後に亡くなり、お父さんも、翌年8月1日に亡くなったこと。
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「大変じゃったよー。」と一言で言う母。 昨年、気がついたら8月6日は、過ぎていた。 朝、ごみ収集車が、大きな音をたてた。 うちの親は、黒いビニール袋の山、すべてが死体だった経験をしたのだ。そう想像すると、目がくらくらした。 昨年、夏、暑い日に照らされたゴミ収集の山を見ると、 その幻想に悩まされた。
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今年は、久しぶりに手を合わせた。 広島生まれの責任をちょっと、果たした気がした。
(2007.08/06)

<ツアー報告>
広島から始まったツアーは、京都Live Spot RAGまで、一気に駆け抜けて終わりました。

広島ジャイブ:小学生の頃の同級生から、中学、高校の同級生まで、沢山の旧友に囲まれ、
また、うちの両親も沢山の知り合いを呼んでくれました。おかげで前の方の席は、老若男女。
議員さんから70代のおじいさん、おばあさんでいっぱいに。
全員が爆音に耐えられるか気が気じゃなかったけど、相当気に入ってくれた様子。
「今回のが一番良かった。」「だんだん、上手になってくるね。また、来る時にはおかあさんに知らせてください。」
と親、親戚目線の両親の友人達。ありがたいことです。
りこさん、情報誌とかいろいろ動いていただいた広島のドン瀬川さん。広島のあねき、れいちゃん。
登場しただけでうちの外人勢が、どよめいたゆみこさん。みんなお世話になりました。
酔っぱらってうわ言のように「おかもっちゃん、良かったよ。いや、最高。またやろう」と繰り返していたお店の支配人河村さん。
見ててとても嬉しくなった。この日、訪れた人の数だけCDが売れたのでした。さ、さすが地元。ありがとうございました。

倉敷ペニーレイン:ここもいつもお店の人と盛り上げるスタッフの人たちが、一丸となって迎えてくれる店なのです。
         ヘノチーニョさん、ロドリーゴさん、ママ,ひろこちゃん、本当にありがとう!
         店の看板娘、rythmさんは、都合で欠席。うーん。残念。あれだけ、がんばって動いてくれたのに。お陰で店は満杯。
         ママもがんばって友人達を呼んでくれた。前の方に、今日も中高年がいっぱい。しかし、ここは手を抜けません。
         と、いうかいつもの調子になってくる私たち。
         ここでも「めちゃくちゃ感動した!」とお礼を言って帰るおばちゃま続出。
         『中高年の為のフュージョン』というジャンルを編み出したかも。(爆)
         このツアーからラテンの「ベラーノ」という新曲をやってるんだけど、佐伯準一(キーボード)さんが、
         どうもこの曲、絶好調!ツアー前までは、「うーん。やったことないし、難しいなあ」とか言ってたけど、
         今回、佐伯さんのこれのソロすごく良い。
         ステージ2曲目にいつもやるファンキーな「マーカスマガサス」は、
         佐伯さんの熱いソロが、黒人リズムセクションと相まって、それ以降、盛り上がる大事な要素になっている。
         打ち上げで「何だか外人のバンドみたいでした」って言われたけど、うち、メンバー半分は、外人ですから。(爆)
         すべて、終わって、佐伯さん、マーティーと佐伯さんの知り合いのバーに。
         ここで大論戦になり、メンバーいたく結束する。

神戸メイデンボエッジ:中島岳くんのバンドと対バン。彼も最高のメンバーを集めた様子がうかがえる。気合入ってるやんか。
           僕もがんばる!が、正直知らない間に疲れが出たのか、最初少し空回り。
           こんなとき、元気印のマーティー=ブレーシー(ドラムス)イスラエル=セデーニョ(ベース)の
           リズムセクションと佐伯さんのソロが炸裂する「マーカスマガサス」に救われた。バンドは良いのう。
           終わるや否や、ここを撤収。メンバーは、それぞれの家に。

休みの日:僕は、夜焼肉を食べに行って、早々に睡眠。うちで寝るのが一番の休養。

名古屋キャバレロクラブ:マイミクりらくまさん、franさん、旧友多数が集って、再会を喜ぶ。名古屋の黒人シンガーと友達がやって来て、
            イスラエル=セデーニョ(ベース)もマーティー=ブレーシー(ドラムス)も休憩時間に盛り上がっている。
            遅くから来た人の為に、お酒もずいぶん入っていたけど、もう1ステージ。
            これが裏Okamoto Islandという出来で、普段とらないソロ廻しやサイズで、メンバー新鮮な気持ちでプレー。
            最後、「ベラーノ」で、とうとう全員総立ち。単にサルサクラブとなる。
            びっくりしたのは、franさん。めがねに萠えー。って感じの可愛い人なんだけど、
            踊りだすと急に一番ダンスのうまい人に!!意外な展開にステージから見てびっくりした。
            皆さん、ありがとう!!一味違う思い出の一日だった。

小松The mat's:着いてみると100人のキャパの小ホール。「これ、お客さん来るのかな」と心配してた。
        心の中で「たとえ5人ぐらいしかいなくても、僕は、ひるまず全力で演奏する」などと一人で考えていた。
        しかし!会場を埋め尽くすお客さん!さ、さすがマーティー=ブレーシー(ドラムス)の地元。
        照明もスモークまで炊かれてばっちり。音響もしっかりしたオペレーターで、演奏も繊細な所まで聞こえて、やりやすい!
        ありがとう!この日おかしかったのが「動かざる事山のごとし」のイスラエル=セデーニョ(ベース)が、
        序盤、緊張してるの。(爆)メンバーが笑ったら「えーい黙れ」とばかりにパワー全開に。
        そんな余裕の見えるOkamoto Islandは、もうバンドとして機能している。
        佐伯さんが、ステージ始まりでスモークの中、シンセで壮大なストリングスのSEを弾くが、
        それがかっこ良くその後定番に。
        終わった後、CDを買う列が出来る。スタッフが「終演後、列が出来るのを初めて見た!」って感激してた。
        スタッフ一同に「やって良かった」って言われた。それが、何より嬉しかった。
        終演後、マーティー=ブレーシー(ドラムス)の知り合いの和食の店に。
        事実上、僕らの打ち上げ。明日から関西に帰る。

大阪Ten-on:ここの奥さんが、開演まえに用意してくれる「おにぎり」が、絶品。
       ここんところ、外人勢が多いので、近くのベーカリーの美味しいパンだったけど、久々に食べる。奥さん!店開けますよ。
       今日は、mixi岡本博文コミュの管理人アキラさんが来る。会ってみるとちっちゃくて可愛いひと。
       パラオですれ違って、それが縁。とっても不思議な感じ。1時間ほどの予定がたっぷり1時間半。
       それでも、バンドのまとまりは、最高潮で、もっとも充実してたかな。

京都Live Spot RAG:とうとう最終日。リハーサル前から、ジャズライフが届き、Okamoto Island、岡本博文の記事が出ているのを確認。
          事務所のU氏が「とうとう、予約だけで、満杯。立ち見が出るかも」と興奮気味。
          「これは、ある種、事件だよ。」ふたを開けてみると立ち見の出る満席。
          知り合いも多いが、まったく見知らぬ人たちが、沢山。
          CDを録音し、制作し、一生懸命売り込みをかけてもらい、結果、知らない人がCDを買ってくれ、
          気に入ってもらい、それを生で聴きたくてやってくる。
          そういう当たり前の流れではあるが、初めて経験する状況に嬉しいやら、緊張するやら。
          メンバーも「昨日までやって来た事をやればいいのだけど、つい出来るかなとか、思っちゃうね」とか
          語り合っている。そう、昨日までやって来た事をやろう。心を込めてね。結果。とっても良い評判だった。
          「びっくりするぐらい全然違うバンドになったね。」ちゃんと、みんなに聴いてもらって嬉しかった。

そして:今回は、マーティー&イスラエルのリズムセクションが、一体感がさらに増して、
    佐伯さんもアンサンブルのみならずソロイストのオーラが、いつも以上に輝いていたと思う。メンバーに何よりも感謝したい。
    そして、今回、スタッフ、足を運んでいただいた皆さん、全員に感謝を表したいと思います。
    これからもOkamoto Islandをよろしく!
(2007.07/18)

<ベクトル>
熊谷美広さん(評論家)と対談したとき、「よく議論になるけど、結局『人気者になる能力』と
『良い音楽をする能力』は違うのよ」と言われた。
まさに、身近にも「プロになるには」という質問も受けるけど
「プロとして活躍する能力」と「良い音楽をする能力」も違うものではないかと思う。
これらは、良く似通った、複雑に絡み合う価値観の中で、これらの能力は、望むゴールの違う「ベクトル」を指し示しているような気がする。
少しづつ違う「ベクトル」の引力の狭間で、僕と言う人間の生き方は、決まって来てて、
自分以上にある「ベクトル」の矢印の強い人との仕事は、必ず、僕にインスピレーションを与えてくれる。
「お金を儲ける能力」「アートワークをする能力」「プロデュースする能力」
「その場をグルングルンにする能力」「居るだけで癒す能力」etc...........人は、一人では、生きて行けないな。
ある「ベクトル」は、必然的に、それそのものが望む「ゴール」をシンプルに強く持っている。
似ているが、違ったベクトルを同一線で語るから、話がややこしくなるのだろう。
(2007.07/05)


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