『北斗の拳』かよ・・・

えーーー、石井竜也さんと姿月あさとさんのユニット、ツキノイシケイカクの舞台(とゆーのかな?)『SUN』から『桜二号』を見ましたので、ま、感想など。。。

姿月さんが
海軍兵士役(もちろん男!)で主演するという触れ込みだった『桜二号』なんですが、幕があがったら、姿月さんがお色直しのときに着るような?ドレスを着て立っておりまして、まず歌に。桜をイメージしたドレスでしょうね、きれいだったんですけどぉ、そのとき、わたしの脳裏には「ま、まさか、、、本気で『サクラ大戦』なのか・・・?!」とゆー疑問符が点滅。アタマの中では「帝国歌劇団〜♪」と歌まで鳴る始末。をいをい、、、

しかーし!
歌が終わって姿月さんがクルリと背中を向けたそのとき、姿月さんの
麗しの肩甲骨にノックアウトされました。実は、わっちゃぁ、骨フェチでもあるんですよね。くっくっくっ(危ない・・・)。肩甲骨は別名「天使の羽」と呼ばれる骨なんですけども、これが実に美しかったんですわねー。うっすらと筋肉をまとった肋骨の上に惚れ惚れするような「天使の羽」を浮かび上がらせた、その背中。。。いやー、いいもの見ちゃったな。。。

と、うっとりしていたら、お芝居がはじまりました。
水兵帽をかぶりスーツを着た姿月さんが登場したとたん、またイヤ〜ンな思いが頭をよぎってしまった。
「ま、まさか、、、
『耳なしほういち』なのか?!」
どう見ても衣装には経文が書いてあるじゃーないですか。般若心経なのか法華経なのか、経文の種類までは確認できなかったけど、ありゃ絶対に経文です。
・・・ってぇことは? 経文の書かれた服を着てさえいれば、敵から攻撃されても絶対に当たって死ぬことはない、とゆー
マトリックス状態を信じ込んで皇軍として死出の戦いに出向く男達の物語なのかっ?! ふむ。それはそれでおもしろいな。本気で信じている演技をすればするほど、おもしろい風刺劇になるし。。。と突然、名探偵モードに突入。歌舞伎とゆー図式化を得意とする演劇を長年観てきた者のサガでしょーか(苦笑)

でも、、、どーも様子がおかしい・・・。
ん? ま、まさか、こいつら、、、
『北斗の拳』なのかーーーっ?!
(わからない方のために付け加えれば「お前はすでに死んでいる」)
をいをい・・・そりゃーねーでげしょ・・・。
それとも、どっかで、いい具合に裏切ってくれるんだろーか・・・?
最初の芝居部分で先が見えちゃったも同然のおいらの関心事は、いつ戯作者に気持ち良く裏切られるかという点と、あとは姿月さんの歌とダンスに絞られたわけです。で、結論から言っちゃうと、お芝居に関しては最後まで裏切られることはなかった、という、、、何だよ、それ状態。ガッカリじゃん。
前回の『MOON』のときも、貧しいから云々とゆー理由で極悪非道に身を落としたとゆーよーな、今さら何言ってんだか、、、な話がありましたが、ごめん、悪いけど、石井さん、戯作者としては安易すぎるぜ。もっとも『桜一号』は見ていないし『桜三号』はこれからだから、結論を急いじゃいけないたぁ思うけど、『桜二号』の芝居に限って言えば「こりゃC級」でR。わっちは芝居好きだからなぁ、安易な戯作は許せんのだよ。

『北斗の拳』よりは、まだ『耳なしほういち』の方が、おもしろかったと思うけどなぁ。って、わっちの案だが(笑)ばかばかしいことに心底から妄信し猪突猛進する者ほど、はた目に笑えるものはないし、また怖いものもないからな。

「行けーーーっ! 突撃だーーーっ!」
「し、しかし、本艦の主砲はすでに玉が尽きかけておりますっ!」
「ふん。何を怖れることやある。我々は皇軍だぞっ! 神がついているのだぞっ! 鬼畜米英のヘナチョコ玉など当たるわけがないだろーがっ!」
「し、しかしっ!」
「口答えするかっ。貴様ぁぁぁ! そこへ直れぇい!」
「はっ!」
(ボカッ!)
「うぐっ・・・」
「貴様は、『耳なしほういち』作戦敢行のために、恐れ多くも陛下が直々に賜れたという言われ、カッコ、それを人は根も葉もない噂・デマ、根拠のない迷信と呼ぶ、カッコとじ、のある兵服の神通力をバカにしているのかっ!」
「い、いえっ! 決してそのようなことはっ!」
「だったら、四の五の言わずに行くんだっ! それが神の使徒たる皇軍のあるべき姿だっ! 信じる者は救われるのだっ! そうではないのか? な、そう言うじゃないか・・・」
「は、はい・・・」
「我々はーーーっ、ただ、ひたすらにーっ、敵艦に向かって突っ込むんだーっ! いいなっ! それでこそ男の花道なのだーーーっ! よーーーし、突撃ラッパを鳴らせーーーっ!」

てな感じ。たとえば、だけど。
自分たちの煙草の不始末が原因で爆死してたって設定よりゃいいと思うのだが、どーだろう?(どこぞから抗議はあるかもしれないけどな・笑)んでもって、この場合、士官の役は姿さんにやっていただきたい。殴り倒される役は何ならわたしが・・・ってマゾだな、ほんと(大笑)

まー、しかし、『SUN』は芝居のようで芝居じゃないから仕方がないかな、とも思う。同様に、石井さんはアーティストであって戯作者じゃないから仕方がないとあきらめよう、とも思う。が、野田秀樹を戯作者に迎え、勘九郎さんがイキイキと歌舞伎座の広い舞台を飛び回っている納涼歌舞伎の一等席とほぼ同等の値段をチケット代として払っているんだよなー、、、と思うと、やっぱり不満の大きい舞台であったことは否めない。何より、役者の使い方がもったいなさすぎる。せっかく姿月さんに男役をやらせるのなら、その魅力を120%以上は引きだしていただきたかった。前回の『MOON』が90%近かったとしたら、今回はせいぜい60%止まりだろう。あくまでも、わっちの見立てですが。

と、芝居には不満たらたらだったんですけどー、
姿月さんの歌はよかった。前に「生がサイコー」と書いたけれど、今回も同様でした。「彼を返して」と歌うときの声量はすごかった。今回も鳥肌立った。いちばん「好きだっ!」と思ったのは、「ワォワォー!」と吠えてた歌です。誰の何という歌なんだろう? 美空ひばりさんの『真っ赤な太陽』も良かったですけどね。

さて。次は『桜三号』に行く予定ですが。。。どんなもんでしょうかね?

(2003.08.23)

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