百億の言葉、ひとつの存在。




「眠らない音」を観ました。
絶望や諦めを抱えた詩人の魂が、お月さまとのオムニバス形式の対話を通して、最終的には癒されるという愛と救済の物語だと思ったのですが、見終わって感じたものは、ちょっと逆の、よくわからない空しさみたいなものでした。素晴らしい歌声をたくさん聴いたにもかかわらず、おいらの胸には空虚感が漂ってたりしたのです、、、いかんなぁ(苦笑)

この妙な空しさは何だろう?  ものすごく意欲的な作品だということはわかったんですけど、感動という点では
「私だけの輪舞が生まれる」には及ばなかったかなぁと、、、でも何故?
う〜むぅぅぅと考えていて、ぼんやり思い浮かんだのが「百億の言葉、ひとつの存在」。「
百億の言葉より、ひとつの歌声」だったり「百億の言葉より、ひとつの肉体」を意識させられた舞台だったかなぁ・・・と。出演者が素晴らしかったから、なおさらなのかなぁ。。。特に、姿月さんの歌声、岡さんの歌声、森山さんの踊り。圧倒的な存在は百億、千億の言葉もサクッと凌駕するのかなぁ、などと思いました。だったら出演者に感動した!で済むところなんでしょうが、おいら、個人的に構成・作詞の小林さんにものすごーく期待してたもので・・・。

小林さんはよく頑張ったと思います。むしろ頑張り過ぎちゃったのかも? 言葉を連ね過ぎてたような気が。。。過剰は無きがごとしに等しいと思うんですよ〜。過剰な言葉(歌詞)が消化されずに劇場内に漂っていたような気がします。。。てゆーか、他のお客さんは違ったのかもしれないんですが、おいらは
言葉の洪水にあっぷあっぷ状態で、ほとんどの歌詞が聴き取れなかった、わからなかった、残らなかった。何回か観れば違うのかもしれないけど、たった一回の観劇だったので、、、(本当はもう一回行けたはずなんですけど、体調不良で途中で行き倒れてしまって会場まで行き着けなかった、、、悲しい。超悲しいぞい)
それにしても、人間が処理できる情報量って、たかが知れてますね。集中力は持ってせいぜい20分と言われます。おいら、けっこう集中力が持続する方だったりするんですけども、それでもガーーーッと集中したら、ふわ〜っと息抜きできるところがないと、もー疲れちゃって疲れちゃって次の集中ができない。これって年のせいすかねー? 音楽的には姿月さんが選曲した曲があまりに気持ちが良すぎたのか、コクッと眠りこけそうになる瞬間がいくつかありました。うぅ、すまんですぅぅぅ。やっぱ、これも年・・・のせい? いや〜ん!(苦笑)

あ、もしかして、今回のステージがな〜んとなく物悲しく感じてならなかったのは、自分の情報処理能力の低下を如実に感じてしまったからなのかもしれない? つまりは「
百億の言葉と音、情報処理能力の限界」ってことかいな? な〜んだ・・・そんなことか。って、なはは、、、さ、サビシーーーーッ!
てぇことなのかもしれないんですけども、己が無能さをヨッコラショと棚にあげて言っちゃいますけど、たぶん歌詞を文字テロップなんかで読むことができたら、もうちょっと、ひとつひとつの歌を咀嚼して呑み込むことができたんじゃないか、と。まー、それはそれで舞台全体が観られなくなっちゃうので困りものですが。。。なので、
DVDにするときは、ぜひぜひ字幕スーパー付きで頼むですぅ〜!(平伏)

そうそう、出演者について語りますと、やっぱり姿月さんの歌声はよかったです! それを上回るか!ってな迫力の岡さんの歌声も! 両者にらみ合い・・・じゃなかったデュエットは、
蛇とマングースに近いところを感じて(笑)第1幕と第2幕の最後は鳥肌が立ちました。いいっ! で、そのふたりのデュエット曲が入った付録CD付きだというので、今回は積極的にパンフレットも購入して聴いたんですけど、ほんとーに素晴らしかったです。聴いてるうちに、涙がぶわーっと込み上げて来て、こぼれ落ちました。CD聴いて涙したのは久々かもしれない。。。こうして聴くと歌詞もよくわかりますね。小林さんの詩もとてもいい。やっぱりDVDにするときは歌詞を字幕スーパーにして欲しいなぁ。
あ、あと、姿月さんが女形じゃなくて・・・娘役?で出て来たときの歌がとても気に入りました。姿月さんって、もしかして、これが初のヒロイン役ですかねー? やけにデカいヒロインでしたけど可愛かったですね。それにしてもデカい姿月さんと釣り合うなんて、岡さんもデカいですねぇ。歌は上手いわ、素のおしゃべりはおもしろいわ。。。人気が高いのも頷けました。
また、おふたりの共演があったらいいなぁ。
でも、そのときは、できれば
姿月さんは男役で、恋敵とか親友とかの間柄で
って何じゃそりゃ!ですかねー?(笑)

2005.10.18


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