さんじゃまつり
三社祭
【見どころ】
なんつーんですかねぇ、演出がですねぇ、シュールとでも申しましょうか。
空から善玉と悪玉が降ってきて、ふたりの漁師にのりうつるっつーのを
それこそまんまの演出でやっちゃうんですよ。
ひとりは丸善マークの面をつけ、もうひとりは丸悪マークの面をつける。
絵で描きゃすぐ分かるんですがね〜(苦笑)。
歌舞伎に限らず役者にとって顔は命だと思うんですが、
丸善と丸悪でもって顔を隠して踊るんですな。そらもう、ごっつう奇抜でやんす。
わっちゃぁ踊りが苦手なんざんすが、こいつぁ一度見たら忘れられん(笑)。
【あらすじ】
あらすじといっても、たいした筋はなし。
宮戸川に舟を浮かべているのは兄弟の漁師。漁に精を出してたと思ったら、
陸にあがってふざけあう。やがて、空に異様な雲が湧いて、
その中から善玉と悪玉という怪しい玉が落っこちてきた。
この不思議な玉がふたりにのりうつり、片や善玉に、片や悪玉になって
やたら軽快な踊りを見せていたが、そのうち正気を取り戻す、つーことらしい。
【うんちく】
天保三年(1832年)初演。
浅草寺の御本尊は、漁師の浜成と武成の兄弟が宮戸川ですくい上げた観音様。
その故事を記念して、三社祭の山車人形は、浜成と武成の兄弟を象ってるという。
で、その三社祭の山車人形に魂が入って抜け出してきたのが、
この踊りの兄弟漁師ふたりっつーことらしいのねん。だから「三社祭」。
でも通称の「善玉悪玉」の方が分かりやすいやね。
そんで、驚いたことに、この善玉悪玉って、突飛な演出かと思ってたら、
江戸時代の流行なんだってさぁ。う〜む・・・。江戸の人らって、いったい?!