<サッカー>W杯予選 日本、オマーンを破り最終予選進出
【マスカット(オマーン)安間徹】サッカーの日本代表は13日、当地のスルタン・カブース競技場で、06年ワールドカップ(W杯)ドイツ大会アジア1次予選3組のオマーン戦を行い、鈴木隆行(鹿島)のシュートで1―0で勝利。5連勝で勝ち点を15に伸ばして同組1位を確定し、来年2月に始まるアジア最終予選への進出を決めた。
日本と2位オマーンの勝ち点差は「6」となり、11月17日の最終戦で日本がシンガポールに負け、オマーンがインドに勝っても、日本の1位は変わらない。最終予選では、1次予選を勝ち抜いた8チームが2組に分かれてリーグ戦を行い、各組2位までがW杯への切符を獲得。各組3位はプレーオフに回る。
○日本1−0オマーン●
要所を締めた中沢ら守備陣の踏ん張りが、日本を勝利に導いた。
立ち上がり、人数を割いたオマーンの猛攻に苦戦を強いられたが、慌てることなくゴールを守った。相手の運動量の失速とともにペースを奪い返し、後半7分に小野のロングパスから左サイドのスペースへ抜け出した中村が巧みなドリブル突破で中へ折り返し、鈴木が頭で合わせて決勝点を奪った。
▽日本・ジーコ監督 オマーンが序盤から攻めてくるのは分かっていた。ハーフタイム、引き分け狙いでは苦しくなると思ったので、攻めるように言った。気合が前面に出ていた。
▽オマーン・マチャラ監督 内容的に3点は取れた試合だが、日本が勝った。これが我々と、W杯に出た日本との差だ。
▽日本・鈴木 非常に大事な試合と理解していた。そこで、いい仕事ができた。苦しい試合が何試合かあった。とりあえず突破できてよかった。W杯に出場できるように全力で頑張る。
▽日本・宮本 引き分けでもいいと考えて、現実的な試合運びができた。アジアカップ後、チームとしてまとまり、これからもいい戦いができると思う。
◇アウエー戦を乗り越え、たくましさ増す
待望の先制点が、後半7分に生まれた。中村の左センタリングから、ゴール前に飛び込んだ鈴木が頭で押し込んだ。日本の最終予選進出を決定づける一発だった。
前半から、我慢の時間が続いた。チェコ人のマチャラ監督に鍛えられた若いオマーンに、スピード感あふれるドリブルで攻め込まれ、自陣でプレーする時間が長くなる。リベロのヌービの速いオーバーラップにピンチを招き、ユニホームの袖を引っ張ってもガイラニの50メートル独走ドリブルを止められず、辛うじて最終ラインで止めた。
だが、選手たちは落ち着きを失っていなかった。中村が「相手の動きを消しながら、こちらが攻められる状態になるまで我慢することも必要。自分たちのサッカーばかりをやろうとすると、やられる恐れがある」と語っていた通りの流れだ。
勝たなければ明日はないオマーンと、引き分けでもいい日本。立ち上がりからオーバーヒート気味に仕掛けてきた相手の攻勢に耐えてきたからこそ、疲労の影が見えた相手の一瞬の隙を見逃さなかった。
この日を、万全な態勢で迎えたわけではない。5日から始まった国内合宿では冷え込む日が続いて暑さ対策に微妙な影を落とし、台風22号で影響で現地入りが予定より1日遅れた。
だが、選手たちは苦しいアウエー戦を何度も乗り越えてきたことで、着実にたくましさを増していた。中国で行われた今夏のアジアカップで観衆のブーイングに負けることなくタイトルを獲得した。9月のインド戦ではハーフタイムの停電で30分以上、後半のキックオフが遅れたにも関わらず、平常心のプレーを展開した。この日もジーコ監督の専属通訳が退場を命じられるアクシデントもあったが、環境の変化に弱いかつての日本の面影はなかった。【安間徹】
○…値千金のゴールを決めた鈴木は「落ち着いてできた。(最終登録で)ベンチに入れなかった選手のためにも、強い気持ちを持ってプレーした」と語った。運動量の多い鈴木にとっては、温度、湿度が予想より上がらなかった気候も味方した。「意外に涼しくて、(アジア・カップを戦った真夏の)中国や、(W杯予選の)インドの時みたいに苦しくなかった」と笑顔を見せた。
○…日本は後半19分、鈴木国弘通訳が主審の指示に従わなかったとしてベンチから退席を命じられ、残り時間を通訳不在で戦った。
ジーコ監督は「判定にアピールをした時、一緒にいた鈴木通訳が前に行き過ぎた。幸運なことに、ピッチにはポルトガル語の分かるアレックス(三都主)がいたし、イタリア語も交えたりして乗り切った。あまりこういうことは起きてほしくないけどね」と苦笑い。後半は、三都主がベンチのある側のサイドプレーヤーだったのも幸いした。
■試合経過■
日本は中盤に小野と中村、FWに高原など海外組が先発した。立ち上がりから攻めに出たオマーンに対して劣勢に回った日本。オマーンのサイド攻撃にあい、ボールを支配される時間が続いた。しかし徐々にボールが回り始めた日本は前半31分、高原がドリブルシュートを放ったが、GKにはじかれた。その後はDFラインでボールを回すことが多く、攻めのリズムがつかめなかった。前半は両チーム無得点。
日本は後半7分、FKからの小野のパスを、左サイドに流れた中村がゴール前にセンタリング。反対サイドに走り込んだ鈴木がヘディングシュートを決め先制した。
日本は11分、ゴール前へのクロスに対し、GK川口とDF宮本が接触してボールがこぼれるピンチ。ホスニが川口の飛び出した日本のゴールを狙ってシュートを放ったが、カバーに入った田中がゴールライン上でクリア。かろうじてピンチを防いだ。日本の鈴木国弘通訳が19分、主審の指示に従わなかったと判断されたのか、退席を命じられた。
落ち着いてパスを回しだした日本はセットプレーからゴールを狙うが追加点には結びつかない。守備ではオマーンにDFラインを崩されることがなく、要所で体を張った粘り強い守りを見せ、無失点に押さえ逃げ切った。
◇たくましさ身につけた日本代表
【マスカット(オマーン)安間徹】終わってみれば無傷の5連勝。日本代表は敵地での戦いで確実に勝ち点を獲得するたくましさを身につけた。しかし、来年2月から始まるアジア最終予選、さらにはその先のW杯本大会を見すえる時、課題も多い。
オマーン戦後、これからの強化ポイントについて、中村は「もっと強い相手とやるとき、どうするかが今後の課題。1人対1人ではブラジル、アルゼンチンにはかなわない。2人対2人、3人対3人の時にカバーしあって勝つ日本のいいところを伸ばさないといけない」と指摘した。
アウエーのオマーン戦で何度も崩されながら無失点にしのぐことができたのは、オマーンのシュート精度の低さに助けられた面も大きい。日本サッカー協会の川淵三郎会長は「信頼」を基本に置くジーコ監督の指導を称えたうえで、「運も味方した」と表現した。最終ラインで壁となった中沢ら個々の能力の高さもあって事なきを得たが、最終予選の相手は格下の相手ばかりではない。
慎重に戦ったとはいえ、ともすれば中盤で相手をフリーにする場面は多かった。90分間プレスをかけ続けることはできないが、しつこくチェックにいって自由を奪ってしまう時間帯を増やしていく必要がある。
今のチームには一体感があるだけに、故障していた中田英(フィオレンティナ)、稲本(ウエストブロミッジ)が戻ってきたとき、どうチームを作り上げていくかも課題となる。無条件でレギュラーに戻しては、融和した国内組と欧州組の間に新たなわだかまりを生むことにもなりかねない。ジーコ監督の手綱さばきが注目される。
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