プローブ七変化? (作成中です)  2007.05.07〜 2007.08.05



1.ブローブ、ちゃんとあててますか?

オシロの波形を信じて…回路を追いかけて・・・気が付けば「ウソ」の波形を見ていた・・・なんて事、ありませんか?

スピードの遅い信号では問題にならなくても、最近の高速ロジックICでは、プローブの状態とか、プローブを当てる場所で 観測波形 が大きく 異なって 見える時があります。

この問題、慣れないとなかなか気が付かなかったりして、落とし穴?というほどではないにしても注意が必要なポイントには違いなさそうです。どういうケースでどういう波形が「見える」のか? 少しだけ調べてみました。

 ・ INDEX

2.ブローブのセッティングによる波形の違い
3.プローブの 位相調整
4.プローブの 耐圧
5.プローブの 電圧減衰比率
6.調べたプローブ
7.プローブの当て方?
8.色々な 信号を観測してみる
9.GND側の接触手段
10.秋月のプローブ TEXAS250 のトリマ


2.ブローブのセッティングによる波形の違い

 ・ 極端な例…

次の二つの波形は、同じプロープ同じ信号 を観測したものです。
(プローブのセッティングでこれくらいは「見え方」が変わります)
波形は 74AC04 出力(無負荷)の 12MHz 方形波で 10nS/div, 1V/div です。

普通に・・・ 注意して・・・
Probew062s.PNG Probew082s.PNG

両方ともに、ICのGNDピンのすぐ近く(約10mm)へプローブのGNDを接続し、プローブ先端は信号ピンのすぐ近く(約10mm)で信号ラインへ接続してあります。

プローブは、秋月で売っている TEXAS250 (通販コード M00241 : \2,500 : 2007.05.07 現在) です。

 ・ なぜこんなに変わるのか?

なかなか難しい問題ですが、観測装置(今回は主に「プローブ」)を、観測対象に「接続」する事で、観測対象そのものが変化するのがひとつ。次に、観測波形が「プローブ」経由でオシロスコープへ伝わるわけですが、その「伝播経路」(プローブ)が波形に影響を与えているのがもうひとつ…と思われます。

上の波形、左側のものは「普通に」プローブをあてたものですが、右側の波形は、プローブの先端キャップと GND ケーブルの両方を外して、 GND と信号の両方を「最短距離」で観測対象へ接続したものです。

また、多くのプローブでは「電圧減衰比率」が変更可能になっていて、10:1 と 1:1 が切り替えられるようになっています。
しかし、それらのプローブでは、 10:1 の時に 200MHz の帯域であっても、1:1 の時には 5〜10MHz の帯域しか確保できません。周波数的には一桁落ちてしまいます。(プローブの仕様をご覧下さい)

更に、「プローブの位相調整」の要素もあります。(コイツはかなり効きます!)

3.プローブの位相調整

 ・ オシロスコープとか、プローブの取説には必ず出てくるヤツ

プローブをオシロ本体の「補正」用波形出力(calibration とか compensation:(略)comp) 端子へ接続し、プローブの位相調整用トリマを回して「正しい」状態に合わせる…というものです。

NG OK NG
Probew154s.PNG Probew164s.PNG Probew174s.PNG

この調整は 最低限 必要な作業で、波形の観測に大きな影響があります。ちゃんと調整していないプローブでは正しい波形の観測は望むべくもありません。

この「位相調整」は、オシロ本体の入力回路の定数も調整範囲に含まれるため、例えば、チャネル1で調整済のプローブをチャネル2で使う時は、再度、位相調整が必要になります。
というか、プローブは各チャネルへ固定的に割り付けられた(そのチャネルで位相調整した)モノを固定的に使用するわけで、チャネル1で位相調整したプローブをチャネル2で使うなんて言語道断!ということです・・・

・・・と、古い人間は教えられてきたのですが・・・、最近はオシロ本体もプローブも精度が上がって(特性がそろって)きたようで、普通の計測なら、ちゃんと調整したプローブであれば、チャネルを変えても大きく波形が乱れる…なんて事は無いようです。(速い信号は無理でしょうが…)

もっとも、秋月で売られているプローブなんかは、たとえ 500MHz の帯域を持ったものでも「手で組み立て」られているようで、チャネル固定で調整したものを使うのが安全な気はします…。

秋月で売られているプローブで周波数帯域が 250MHz 以上のものは、位相調整のトリマが複数ヶあって、いったいどのトリマを回せばナニがどうなるのか?不明です。付いてくる取り説(A5 一枚!)にも一切説明がありません! まぁ \2,500 で 250MHz 帯域のプローブが買えるわけですから贅沢?は言えませんが、それにしても・・・。
で、このプローブ TEXAS250 (通販コード M00241 : \2,500 : 2007.05.07 現在) は後でそれぞれのトリマを回した時、波形がどう変化するのか?調べてみる予定です。
 ・ プローブの「等価回路」

取説には必ずでてくる「位相調整」ですが、いったい何のためにそんな作業が必要になるのでしょう? 確かに、位相調整用のトリマを回すと波形が変わりますが、なぜ?
何がどうなっているのでしょう???(ちょっと、Webで調べてみました)

「位相調整の理解」には、なんだか…、プローブの 等価回路 が必要になりそうです。

位相調整から見ると、プローブは大きく分けて二つの種類になります。

a.位相調整トリマが(BNC)コネクタに付いているタイプ

Probe_P2200_1.jpg Probe_P2200_2a.jpg
テクトロのオシロ(TDS2024) に付属していたヤツです。トリマは赤丸のところに付いていて、ブローブの先端(ヘッド)部には 10:1 の切替スイッチしか付いていません。

このタイプは、次のような 等価回路 になるようです。
(オシロスコープへ接続したとき:主要な回路のみです)

Probe_fig03.PNG

b.位相調整トリマがプローブの先端(ヘッド)部分に付いているタイプ

Probe_TEXAS250_1.jpg Probe_TEXAS250_2a.jpg
これは秋月で購入した TEXAS250 (通販コード M00241 : \2,500 : 2007.05.07 現在) です。
トリマは赤丸のところに付いています。

このタイプの「等価回路」は次のようになっているようです。(同じく)

Probe_fig01.PNG

以後、この等価回路で続きを進めます。(両方とも基本は同じなので)

でも、なんだか、ちょっとゴチャゴチャしていますね。主だった部品を抜き出してみます。

Probe_fig02.PNG

プローブの先端(ヘッド部分)の 9MΩ は、オシロスコープ本体の 1MΩ と合わせて、波形の電圧を 1/10 にします。また、TC位相調整用のトリマ です。(その役割は後で)

オシロスコープ本体の入力には、抵抗 1MΩ負荷 として接続されています。

その右側に書いてある Cin は、実際に部品としてのコンデンサではなく、オシロ側の入力回路に付属する 浮遊容量 (stray capacitance) です。

この 浮遊容量 、複数の導体があれば必ずそこに存在するというやっかいなヤツでして、オシロの入力コネクタの信号引き出し部とケース(GND)の間とか、入力コネクタから入力回路のICまでの配線パタンとGNDパタンの間とか… もう、ありとあらゆる所に存在します。

で、周波数が高くなると、この 浮遊容量 Cin が「悪さ」を始めます。
Cin のインピーダンスが無視できなくなる!のが原因です。
この 浮遊容量 Cin は、通常、5〜30PF 程度のようです。

コンデンサのインピーダンスは Z=1/2πfC ですので、仮に、Cin10PF なら、そのインピーダンスは、右のグラフのようになります。

周波数の上昇と共にインピーダンスは低下するわけですが、その変化は「想像を超える!」値です。1MHz では、なんと 16KΩ しかありません。
impedance_10P.PNG
この 浮遊容量 のインピーダンスが、オシロスコープの入力抵抗 1MΩ と並列に接続されるわけで、オシロスコープの入力インピーダンスは、直流の時の 1MΩ から周波数の上昇とともに「どんどん」下がっていき、1MHz では 数十キロΩに・・・、それを超えた周波数域では想像を絶する入力インピーダンスになってしまいます。

この事は、何を意味するのか? 位相調整トリマ TC が無い場合を考えてみます。

Probe_fig04.PNG

直流では 10:1 の電圧減衰率ですが、周波数の上昇とともに Cin の影響でオシロスコープ側の入力インピーダンスはどんどん下がっていきます。
しかし、プローブの先端(ヘッダ)部の 9MΩ がそのままですと、周波数の上昇とともに 1/100 いや 1/1000 以上の電圧減衰率になってしまい、正しい波形の表示は望むべくもありません。

本来なら、どの周波数であっても同一の電圧減衰率にする必要があるわけです。

で、 TC の登場となります。TC を調整して Cin9倍 のインピーダンス にしておけば、周波数が高くなって Cin のインピーダンスが下がっても、同時に( Cin の 9倍のインピータンスを持つ) TC のインピーダンスも下がるので、結果、10:1 が保てる…ということになります。

でも、また新たな問題が・・・ 次の項で。

4.プローブの 耐圧

 ・ プローブが耐えられる電圧は?

こういうグラフ、見たことありませんか? (TEXAS250 の取説?より拝借)

  Probe_fig05.PNG

これは、プローブの 「耐圧」 を示したものです。

実際には、この電圧以上なら壊れる?「耐圧」…というよりも「使用可能範囲」ととらえるのが正解かも知れません。もちろん、直流領域で 600V 以上をぶっかけた場合は壊れる可能性も充分にあると思いますが・・・。

直流領域から 30KHz弱 までは 600V の「耐圧」があるのですが、そこから周波数の上昇とともにあれよあれよ?と耐圧が下がっていきます。10MHz だと、もう 50V 程しかありません。

なぜ???

前項の「等価回路」で プローブのインピーダンス を調べました。
そこで、オシロスコープの入力に寄生する 浮遊容量 を検討しましたが、その値が仮に 10PF とすれば、そのインピーダンスは 10MHz に対して 1.6KΩ ほどです。プローブの設定が 10:1 の場合、その先端には、この9倍のインピーダンスが入っていますので、全体としては 16KΩ ということになります。

上のグラフだと、10MHz で 50V 程度ならば計測可能ですが、その時「測定される回路」にとって 16KΩ というのは「大きな負荷」になります。
50V / 16KΩ = 3mA の電流がプローブに流れるわけですから、よほどの大電力回路でも無い限り、その回路にほとんど影響を与えずに計測する…なんてのは難しそうです。

これが 100MHz になると、もっとスゴイ状態になります。
グラフから読み取れる耐圧は 15V 前後といったところでしょうか?
100MHz だとトータルの入力インピーダンスが 1.6KΩ ですから、15V がかかると、約 10mA もの電流がプローブに流れることになります。

ここまでくると、プローブケーブルの芯線の抵抗が問題になってきます。
芯線は非常に細く、思った以上に「抵抗値」が大きくなっています。
1:1 の設定ができるプローブなら、1:1 に設定して、プローブの先端と BNC コネクタの部分へテスタをあてれば簡単に芯線の抵抗値が測れます。

今回、使用している2種類のプローブの芯線の抵抗値は次の通りです。
  テクトロの付属品  P2200    約340Ω
  秋月からの購入品  TEXAS250  約360Ω

ここに 10mA が流れると 3V 以上の電圧降下が(芯線で)発生してしまいます。
15V の観測対象で 3V も「誤差」が出たのでは、ちょっと使い物になりませんよね。

プローブ内部では芯線と BNC コネクタやヘッド部との接続構造が「単なる接触」になっているものも多いようで、その面からも電流値が大きくなるのは問題がありそうです。

と、周波数が高くなると「直流と同じようなわけにはいかない!」ということです。

 ・ 芯線の太さ

秋月で購入した TEXAS TX6150R (M-00793) の芯線の太さは(約) 8μm でした。

実は、少し前、買って3ヶ月ほどでこのプローブが断線しました。捨てようか?とも思ったのですが、仕事の息抜き?に修理しました。芯線が切れていたのですが、それは「切れやすい場所」では無く、応力にはほとんど無縁の場所!でした(組立時に「芯線」にダメージがあったのでしょう:日本のメーカなら不良品ですよね:TEXAS の本社は確か香港…)。

その時、芯線をマイクロメータで計ったのでした。
本当に「髪の毛よりずっと細い」ことに、ちょっとビックリ。
と同時に、「こんなに細いんやから、1m程で 300Ω でもしゃあないなぁ」と、妙に納得?してしまいました(笑)。

5.プローブの電圧減衰比率

 ・ 10:1 と 1:1 の切替

ほとんどのプローブでは「電圧減衰比率」が変更可能になっていて、10:1 と 1:1 が切り替えられるようになっていますが、それらのプローブでは、10:1 の時に 200MHz 以上の帯域であっても、1:1 の時には 5〜10MHz の帯域しか確保できません。

次の波形は、秋月の TEXAS250 (M00241) で 10:1 の時と 1:1 の時で、同一信号を計測した波形を比較したものです。1:1 の時、波形がかなり「なまって(周波数帯域が狭くなって)」いる事がわかります。観測波形は 74AC04 出力(無負荷)、約4MHzの方形波で 50nS/div, 1V/div です。
(250MHz / 10:1 , 10MHz / 1:1)

10:1 1:1
Probew052as.PNG Probew052ab.PNG

上と同一条件で、テクトロのオシロ(TDS2024)に付属のプローブも調べてみました。
(200MHz / 10:1 , 6MHz / 1:1)

10:1 1:1
Probew053as.PNG Probew053ab.PNG

うぅ〜む、どうやら 1:1 の時の特性は、定格通り、テクトロの付属品より秋月(TEXAS250)の方がいいようです。共に、プローブは「普通に(適当に?)」あてていますので、波形の変化エッジでかなりのリンギングが出ています。(実際の波形はもっとキレイです)

デジタル信号を観測する場合、普通なら 1:1 の選択は無いと思いますが、速くて微小なアナログ信号などを観測するとき、こういうプローブの特性を覚えておく必要がありそうです。

6.調べたプローブ

 ・ プローブ1
秋月で購入したプローブ TEXAS250 です。
(通販コード M00241 : \2,500 : 2007.05.07)

 10:1  Bandwidth  DC to 250MHz
     Rise time  1.4nS
     Input Capacitance Approx. 11PF

  1:1  Bandwidth  DC to 10MHz
     Rise time  35nS
     Input Capacitance 46PF + Cin

低周波領域の耐圧は 600V です。
ケーブル全長(端から端まで)は 1.35m です。
Probe_TEXAS250_1.jpg
 ・ プローブ2
だいぶ前に購入したオシロスコープ TDS2024 (Tektronix) へ付属していたプローブです。

 10:1  Bandwidth  DC to 200MHz
     Input Capacitance 16PF

  1:1  Bandwidth  DC to 6MHz
     Input Capacitance 95PF

低周波領域の耐圧は 350V です。

TWXAS250 に比べて 12cm ほど長くなっています。
ケーブル太さは TEXAS250 の 2/3 程度です。
Probe_P2200_1.jpg

7.プローブの当て方?

 ・ 普通に・・・
Probe_fig2.jpg
ごく普通に接続した状態です。

比較的遅い信号にはこれで充分なのですが、最近の速い信号だと正しい波形が見えない可能性が高くなります。

実際の波形は後にありますが、けっこうキレイな波形なのに、大きくリンギングしているように見えたりします。
 ・ 最短距離で・・・接続

次に、ブローブの先端と被測定回路を 最短距離 で接続することを考えてみます。
まずは、プローブの先端(ヘッド)部に付いている「キャップ」を外してみます。ついでにGNDのワニ口クリップも外してしまいます。

キャップを外すとプローブの先端はとがっていますので、簡単に被測定回路へ押し当てる事ができます。

でも・・・、GNDはどうするんだ?
と、ちょっと考えてしまいますね。

大丈夫、スズメッキ線などをプローブのGND部へ何回か巻きつけて、その端を測定回路の(計測点に一番近い)GNDへ接続すればいいんです。
Probe_fig3.jpg
でも、「そう言われても・・・」というのが普通ですよね。
ところが、世の中はよくできたモノ?で、ちゃんとそのためのアクセサリーがあります。
これは秋月のプローブ(の高いヤツ)に付属しているスプリングです。

TX6150R(M00793 500MHz \5,500)とか
TX3125(M01176 250MHz \3,650 100対1)
などに付属しているようです。

以前に売られていたプローブで
M-0110(200MHz \2,700) には付いていたのですが、現在は通販リストに無いようです。先日(2007.05.18)、秋月に行った時、店頭に3本ありました(在庫限り…?)。でも、店頭で買うなら TEXAS250 の方がいいかも?
Probe_fig4.jpg
TEXAS250(M00241 250MHz \2,500)には、付いているのか?いないのか?微妙なところです。通販の「写真」には「スプリングは写っていません」ので、付いていなくても文句は言えない気がしますが、店頭に並んでいるヤツにはちゃんと付いていました。(2007.05.18)
でも・・・、数年前、私が買ったヤツ (TEXAS250) には付いていませんでした。

このスプリング、 TEXAS 社 のカタログでは PROBE ACCESSORIES のページに 「 GROUND SPRING PA007 」という名称/型式で掲載されています。ただ、単独で売られているかどうかは???ですが。

待て待て、ちょっと待て! コレ、なんやねんな!???
こんな感じで、プローブの先端に取り付けます。

で、スプリングの端を「近くの」GNDへ接触させるわけです。

これで、ほぼ最短距離でプローブの先端を被測定回路へ接続できる…というわけです。

近くに GND が必要です!
Probe_fig5.jpg

実際にICのピンにあてると、こんな感じになります。

Probe_fig6.jpg Probe_fig7.jpg

古いデジカメに適当なマクロレンズ?を付けて撮ったので、デキの悪い写真ですが、雰囲気は伝わるでしょうか? チップ部品の基板だとサマになるのですが、DIP部品だと何だかちょっと間の抜けた感じの写真になっちゃいますね。

GND の接続は 計測信号の近くに確保 する必要があります。
出力信号を計測する場合、GNDは計測する信号を出力しているICの(GNDピンの)近くへ接続します。入力の場合は、その信号を入力しているICの(GNDピンの)近くへ接続します。
(もっとも、このピンじゃ遠くへ接続しようとしてもできませんが…笑)

8.色々な信号を観測してみる

 ・ 74HC(04)

まず、74HC04(DIP) の出力(無負荷)を見てみます。12MHz の方形波で 10nS/Div, 1V/Div です。

普通にプローブを当てた波形です。
CH2 (青) が TEXAS250、 CH3 (ピンク) がテクトロの付属品 P220 です。
いちばん右の波形は CH2 と CH3 を重ねたものです。(以下、同様)

Probew012s.PNG Probew013s.PNG Probew010s.PNG

プローブを 最短距離 で当てた波形です。

Probew202s.PNG Probew203s.PNG Probew200s.PNG

74HC の出力でも、コレくらいは「見え方」が変わります。
本当は下側の波形なのですが、プローブの当て方で(GNDなどが長いと)、上側のように「見える」わけです。

プローブを、もっとちゃんと当てればもっとキレイ?・・・になる???
でも、所詮、DIP パッケージの 74HC ではこのあたりがせいぜい?なのかも知れません。
 ・ H8Tinyのポート出力

H8Tiny のポート出力も見てみました。H8/3694 の P81(27pin) 出力(無負荷)です。
まず、普通にプローブを当てた波形です。1V/Div, 10nS/Div です。

Probew022s.PNG Probew023s.PNG Probew020s.PNG

こう言うとルネサスに怒られるかも知れませんが…、
「意外と」H8Tiny のポート出力は速い!ようです。

次に、プローブを最短距離で当てた波形です。

Probew032s.PNG Probew033s.PNG Probew030s.PNG

同じ信号でも、プローブの当て方の違いで、これだけ「見え方」が変わります。
 ・ 74AC(04)

次に、74AC04(DIP) の出力(無負荷)を見てみます。12MHz の方形波で 10nS/Div, 1V/Div です。

まずは、普通にプローブを当てた波形です。

Probew062s.PNG Probew063s.PNG Probew060s.PNG

流石に 74AC は速いようで、リンギングが 74HC の波形より相当大きくなっています。

次に、「プローブ先端キャップ」を取り外した状態でプローブ先端を測定信号へ当てた 時の波形を見てみます。GNDはプローブ付属のワニ口クリップで接続しています。

Probew072s.PNG Probew073s.PNG Probew070s.PNG

少し(気持ち?)だけリンギングが小さくなっているようです。
下の波形と異なるのは「ブローブ付属のGNDケーブルで接続」していることだけです。
長い(?)GNDケーブルの影響がいかに大きいか?よくわかります。

続いて、プローブを 最短距離 で当てた波形です。

Probew082s.PNG Probew083s.PNG Probew080s.PNG

流石に 74AC では最短距離でプローブを当てても多少のリンギングは避けられないようです。もっとも、パッケージがDIPなので、一概にプローブのせいにはできません・・・。

9.GND側の接触手段

 ・ 市販品?

「7.プローブの当て方?」で出てきたGND接続用のスプリング、
『どっか、売ってるトコ、ないんか?』という事なのですが、
うぅ〜ん、ちょっと困りました。

私自身は単独で「GND接続用スプリング」の類を買ったことが無いし・・・
で、とりあえずwebでは売っているのか?ということですが、正直、よくわかりません。
秋月で売っている TEXAS社プローブ の付属品(アクセサリ)をメニューに載せているのは
ここ( REPLACEMENT ACCESSORY / 交換保守部品 \525 ) ですが、このページの写真(一番下です 2007.08.04)ではGND接続用スプリングが写っているように見えるのですが、その写真をクリックして出てくる明細にスプリングは入いっていません。

ということで、単独でGND接続用スプリングが売られているのか?
・・・というのは解りません。m(_ _)m

まっ、大手メーカの (アジレントとかの)プローブ を買えば付いているようなので問題は無いのですが、私のようなビンボウ人には別の問題が発生してしまいます(笑)。
(何万円もするプローブ・・・妻への言い訳…を考えると・・・)
どんなに頑張ってもせいぜい秋月の \2,500 のプローブがやっと・・・。
 ・ じゃ、どないすんねん?

ここで「苦し紛れ」に・・・
まず、とことん使って書けなくなったポールペンをバラして、スプリングを取り出します。
黒とか茶色とかの色が付いているヤツはパスして、銀色に光っているヤツにします。

Probe_fig15.jpg

スプリングが確保できたら、ラジオぺンチなどで「無理やり」曲げて、直径を広げ、オシロのプローブ先端の GND 部分の直径より少し小さいくらいまで広げます。プローブ先端より大きな直径だとブローブ先端に固定できませんので、少し小さい直径(おおよそ)にしておきます。

普通は3ターン程度もあれば何とかプローブ先端に固定できると思います。スプリングはまだだいぶ残っているハズですが、後は次の写真のように曲げた後、残りはカットしておきます。(回路の GND へ接触させるため)

次の写真は、かなり「みっともない」感じになっていますが、これで充分に機能します(外見じゃぁありません!)。まぁ、見た目も大切ですのでキレイな状態に曲げるる方がいいとは思いますが、こんな感じで「グニャグニャ」でも問題なく動作しますので、チャレンジ!!!して見てください。

右の写真は、プローブ先端に取り付けたものです。
(思わず「大丈夫かいな?」と思える写真ですが、No problem ! です)

Probe_fig16.jpg Probe_fig17.jpg

私はこういうのがあまり得意じゃないんですが、まぁ何度かやれば写真の程度なら何とかなるようです。なかなかうまく出来ないときは、スプリングを一度「直線」にしてみて、そのあとでもう一度曲げてみるのもいいかも知れません。(って、何度もやると折れますが・・・)

失敗しても「出費」はありませんので、私のようなビンボウ人にはチャレンジする値打ちのある手段です(笑)。

 ・ 余談…

むかし、むかし、テクトロのアナログオシロに付いていたヤツ(のハズ)です。

Probe_fig11.jpg Probe_fig12.jpg Probe_fig13.jpg Probe_fig14.jpg

プローブの先端にかぶせると、一番右の写真のようになって、なかなかイキなヤツでした。
でも、最近はあまり見ないような・・・私が知らないだけかな?

10.秋月のプローブ TEXAS250 (通販コード M00241)

 ・ 調整トリマ

このプローブには「プローブ先端」だけではなく、BNCコネクタ部分にも調整トリマが(2ヶ)付いています。

が、このBNCコネクタ側の2ヶの調整トリマについて、取説にも全く説明はありません。

でも、取説に何も説明が無いのは 工場出荷時に一応の調整をしてある からということなのかも知れませんから、ユーザーがむやみに回すのはマズイ という事も考えられます。この(BNC側の)トリマを回すにはそれなりの「覚悟」が必要かも・・・笑。

「プローブ先端側」の調整トリマは、プローブをオシロ本体の「補正」用波形出力端子へ当てた状態で、方形波が正しく表示されるように調整しますが、この時「BNC側」のトリマを回しても波形はほとんど変化しません!

・・・という事は、このままだと「BNC側」トリマが調整できない! わけです。

Probe_TEXAS250_2a.jpg Probe_fig18.jpg

何も情報が無いのは辛いので、大手メーカのサイトを探してみると、 アジレント社のプローブ に それらしい? 説明がありました。2ページ目の後半から「 High-frequency compensation 」という項です。

High-frequency compensation adjustment とあるので、周波数が高い領域の特性を調整するためのトリマのようで、説明によると、調整用の方形波は( 50Ω で終端された)10KHz - 1MHz を使え…とあります。けっこうシビアな様子です。

オシロの「補正」用波形出力端子に出力されているのは、通常、1KHz ですので、それでは用を成さないというわけです。

しかし、50Ωで終端された 1MHz の方形波発振器なんて・・・

 ・ 2ヶのトリマを回して波形の変化をみる

50Ω終端の方形波発振器…、まぁどう考えたって無いモノは無いわけで、ここは深く考えず、74HC の出力波形でお茶をにごす?事にします。

観測波形は 方形波 12MHz の 74HC04(DIP) 無負荷出力、10nS/Div, 1V/Div です。
プローブの GNDライン は、付属のワニ口クリップ付きの GNDケーブル ではなく、最短距離で接続できる GNDスプリング で接続してあります。

まずは、BNCコネクタに近い方のトリマを回してみます。
真ん中の波形は正しく調整してある状態で、左の波形がトリマを左側へ回した時、右の波形は右へ回した時です。(全て同一の方形波。違うのはトリマの設定だけ!)

Probew112s.PNG Probew110s.PNG Probew111s.PNG

次に、BNCコネクタから遠い方のトリマを回してみます。
真ん中の波形は正しく調整してある状態で、左の波形がトリマを左側へ回した時、右の波形は右へ回した時です。(これも全て同一の方形波ですが、これだけ異なって見えます!)

Probew114s.PNG Probew110s.PNG Probew113s.PNG

これから察するに、2ヶのトリマにはそれぞれに受け持っている(別々の)周波数領域があるようでBNCコネクタに近い方がより周波数が高い領域用のようです。

尚、この2ヶのトリマの調整を行う場合、GNDラインは 最短距離 で接続しておかないとシビアな波形変化が見えません。ご注意ください。

/// 以上、些細(ささい)な点ではありますが、オシロで「信用できる波形」を見る ために、ちょっとだけ気を付けた方がいいかな?というプローブに関するアレコレでした。


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