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Q21-1 ATFは何を使えば? XJ6・Sr3
DD6・Sr3

  • まずATFですが鉱物油をベースオイルとして以下の特性が満足できるように各種の添加剤や色素を加えたものです。

    1. -30℃から140℃までを使用範囲として低温時にも固化せず高温でも適当な粘度を維持(粘度指数向上剤)
    2. 高温での酸化劣化を防止(酸化防止剤)
    3. 歯車やベアリングなど高面圧部の潤滑性を確保(極圧添加剤)
    4. 湿式クラッチの摩擦係数のばらつきを少なくすると共に滑り速度の増大に対して摩擦係数が増大しないようにして、対ジャダー性能を確保(摩擦特性安定剤)
    5. 使用中、あぶくだらけにならないように消泡性を維持(消泡剤)
    6. スラッジ、ワニスなどの化学的異物の生成を防止(清浄分散剤)
    7. エンジンオイルなどとの誤用を防止するため、赤色に着色(着色料)

    上記の機能はどれも大切で特に以前は 4.(摩擦特性安定剤)の耐久性が問題でしたが、96年以降のATFではどのメーカでも16万km無交換が可能なように耐久性が確保されています。

  • 次にATFの役目は

    1. トルクコンバーターの動力伝達
    2. ギヤーや軸受けの潤滑と冷却
    3. クラッチやブレーキを動作させる油圧回路の作動油
    4. クラッチやブレーキに安定した摩擦係数となる働き

    などなど盛りだくさんの役目があります。

  • これらの機能や特性を長期にわたって提供する必要があるため個々のATに合わせて上記のように種々の添加剤が使われています、そのため原則メーカー指定のATFを使う必要があるのです。

  • また、使用状態により油としての基本的な性能の劣化や添加剤の劣化損耗などがあるため無交換と言われているATF以外は指定のインターバルで交換することも必要です。

  • であれば無交換と言われているATFは劣化はしないのかと言う疑問が出てきますが程度の差は有れ劣化はします、聞いたところによるとせっかくメンテナンスフリーにしたATを間違ったATF交換で正常に動作しなくなるおそれが有るためレベルゲージや給油口、排油口をわざと無くしたとか。

  • 従ってATFを交換するときには基本的にATの特性に合わせてあるメーカー純正品がよいのです、特に最近のスリップロックアップ機能が付いた高性能のATはそれに合わせたATFが設計開発されているため純正のATF以外を使うと満足に機能しない場合があったりATを壊す恐れがあります。

  • 前記は高度な制御をしているATですが難しい制御をしていない油圧制御式ATの場合も本来はメーカー指定品の使用が原則です、しかし今更古い規格のATFを使う必要性は疑問ですしだんだんと入手が困難になってきているのが現実で、ならばどうするのかというのが悩みの種なんですね。

  • 異なるメーカーや規格のATFを使うと何が問題なのかというと諸特性の中でも特に重要な摩擦係数の大きさや特性が異なり、変速ショックが大きくなったり、クラッチやブレーキの信頼性に悪影響が出てくる恐れがあるのです。

  • サービスマニュアルによると XJ6 の BW65/66 には Type G(M2C33G) を、DD6 の GM400 には Dexron 2D を使うように指定されています。

  • あるショップでは BW65/66 用純正(と書いてあるだけで中味は何かは判りませんが)ATFを扱っておられます、GM400 用には Dexron3 しかなく、2D はもうカタログ落ちしてます、一昔前の規格品では需要も少なく商売として成り立たないのでしょうね。

  • ATの専門家に伺ったところ古い油圧式のATの場合は Dexron3 を使用し、メーカー指定交換周期できっちりメンテすることだそうです、まあ実際に私も激安の Dexron3 を使っていますが今のところ特に問題は出ていないのでこれで大丈夫でしょう。