Home
Q4
アクセルを踏んで行くとエキゾーストテンプ(排ガス温度高)が点く、
アクセルを戻し1分くらいで消えるのは?

XJ6・Sr3

  • 排ガス温度高が点くのはジャガーに特有の故障ではと言うお話を聞きますが別にジャガーにありがちな故障と言うのではなく個体毎の問題と思われます。

  • 私の車もこれに悩まされていました、あれこれと点検してみましたが今のところこれと言った原因の確定には至っておりません、今までの点検状況をふまえて要因を考えてみました。

  • 要因として考えられるのは空燃比の異常かと思うのですがそれに至る原因として良好な燃焼をさせる3要素の

    1. 燃料&空気系の異常(適切な空燃比)
    2. 点火系の異常(良好な点火火花)
    3. 圧縮の異常(良い圧縮)

    が考えられます、これらの内の単独若しくは複合した要因により

    1. シリンダー内で不完全燃焼した未燃分がキャタライザー(触媒)で酸化されて発熱する
    2. 燃料が極端に薄くなり排気温度が上がる

    とか、一時的な高負荷により排気温度が上昇し排ガス温度高の警報が点くものと思われます。

  • まず燃料&空気系が異常になる要因としては

    1. ECUの不調
      • あまり考えられないと思いますがなきにしもあらずです
      • ECUはリコンディション品でも200〜300$程しますので簡単に買って交換とはいきません
      • 身近に同じ車に乗っておられる方がおられたら正常なECUを拝借してテストしてみてください。

    2. エアーフローメーターの異常
      • Sr3はフラップと連動した可変抵抗による流量計測のため、フラップの引っかかりや可変抵抗部分の接触不良等により異常な空燃比になることがあります。
      • エアークリーナーを外すとエアーフローメーターのフラップが見えますので手で動かしてみて引っかかりなどがないことを確認して下さい、長年乗っていると軸受け部の摩耗などで擦っている場合があります、実例もあります。
      • 可変抵抗部分は黒いカバーを被せてありますがシリコンシーラントでシールしているため剥がしにくいかも知れません、中のセラミック基板と摺動ブラシの汚れがないか点検して見てください。
      • 一応防滴構造のようになっていますが水やらゴミが入ってひどい状態になった事例もあります。

    3. アイドリングミクスチャーコントロールアジャスター(スクリュー)の絞りすぎ
      • Sr3の場合エアーブローメーターのボディーに付いています。
      • ここを絞りすぎると空燃比が濃くなりプラグがかぶってミスファイアーの恐れがあります、また逆に開けすぎると薄くなってミスファイアーし易くなります。
      • どれくらいの開度が良いのかは個体により異なります、右回しで全閉にしてから何回転ほど開けた位置が良いとか言いますが本来なら排ガステスターでCO2やHCなどを測定しながら正常なところに調整するべきでしょう。
      • またフラップに付いているテンションスプリングのヘタリなどにより空燃比が濃くなっている場合がありますがこの場合も排ガステスターなどにより最適位置を見つけ出す必要があるでしょう。
      • メンテをする場合他のところも同じですが必ずさわる前に現在の開度や位置などをよく見てメモをする習慣を付けて下さい。

    4. バキューム不良
      • バキューム取り出しのゴムホースが外れているとか、インジェクターのシールが悪いとそこからエアーを吸い込み、ひどいときにはインテークマニホールドのバキュームが下がることもあります。
      • 漏れ量にもよりますがアイドリング時など空気量が少ない場合に影響が大きいです、高速など負荷が大きくなった場合は必要な空気量に比較して漏れの量は小さく影響が少ないので、どう言ったときに不具合になるのか状況をよく調べておくと後々のチェックに役立ちます。

    5. インジェクターの不良
      • コイルの断線やノズルの詰まりなどでガソリンが噴射しなかったり垂れ流しになったりすることがあります。
      • 消耗品的なものである程度の年数というか走行距離になれば取り返えた方がいいような事をお聞きしましたが、取り外して噴霧状態の確認をして良好であれば使えます、私の車はいまだに使っています。
      • コールドスタートインジェクターが不良になり燃料が垂れ流しで無茶苦茶濃い空燃比になった事例もあります。

    6. O2センサーの異常
      • O2センサーはある程度消耗品的なパーツです、センサー異常で燃料の増減制御が上手くゆかず異常空燃比になります。
      • リッチであれば燃料を薄くなるように、リーンであれば燃料を濃くするように燃料量制御を行います。

    7. 水温センサーの異常
      • 水温が正常であるにもかかわらずセンサー異常で水温が低いと判断された場合、燃料の増量補正が働いて空燃比は濃くなります。

    8. オキジャリエアーバルブの異常
      • 動作原理的にヒーター・バイメタル・タイプとワックス・ペレット・タイプがあります。
      • Sr3の6気筒にはヒーター・バイメタル・タイプが(12気筒にはワックス・ペレット・タイプ)が使われています。
      • これはスロットルバルブのバイパスをする物で暖機完了でバルブがちゃんと閉まっていない場合アイドル回転数が上がりますが、エアーフローメーターを通って計測されているため異常空燃比にはなりません。

    9. 外気温度センサーの異常
      • 吸入空気の温度を測り燃料噴射量の増減を行っていますので断線等になると温度が低いと判断して燃料を増やしますので濃い空燃比になることがあります。

    10. 燃圧(燃料圧力)の異常
      • 正規の燃圧は 2.55±0.05kg/cm2 です。
      • インジェクターによる燃料噴射量は燃圧と噴射時間で決まるので燃圧が変動すると安定した制御が行えません。
      • インテークマニホールドは真空であるため、そこを基準として燃圧を見ると正規の燃料圧力より高くなり、噴射量が増えるます。
      • インテークマニホールドのバキューム分のマイナス補正を行い、インテークマニホールドを基準とした正規の燃圧になるようにプレッシャーレギュレーターで制御しています。
      • 燃料ヘッダーに付いているプレッシャーレギュレーターが不良になった場合正しい燃料噴射が行われません。
      • プレッシャーレギュレーターはインテークマニホールドの真空により圧力をコントロールするようになっています。
      • インジェクターから噴射される燃料量は開弁時間と燃料圧力により決まります。

  • 次に点火系(良い点火火花)が異常になる要因としては

    1. 高圧が出ていない
      • コイル、デスビ、アンプ、ピックアップコイル、高圧ケーブルの不良
      • この場合はエンジンが掛からない

    2. 高圧は出ているがプラグでスパークしていない
      • デスビ、高圧ケーブル、点火栓のリーク、点火コイルのレアーショート

    3. クランク角センサーの異常(XJ40)
      • センサーの断線
      • 点火のタイミングがおかしくなる

     などが考えられますが特定のシリンダーで異常になっている場合はコイルやアンプ、ピックアップコイルなど共通部分のパーツは関係が無いでしょう。

  • 点火栓などを個別によくチェックし問題のありそうなシリンダーを特定出来れば何とか解決の糸口がつかめると思います。

  • チェックポイントとしては

    1. プラグの状態
      • 点検清掃
      • 特定のシリンダーが汚れていないか、碍子が割れてないか
      • 不具合があれば全数交換

    2. デスビ(ディストリビューター)
      • 点検清掃
      • ローターとピックアップのギャップが適正か
      • ローターが割れていないか
      • キャップが割れてないか

    3. プラグコード
      • 点検清掃
      • リークしていないか、夜間点検するとリークしている場所を見つけやすい
      • 点火コイルやプラグにちゃんと挿入されているか

    4. イグニッションアンプ
      • 外観点検
      • 不良かどうかの判断は目視では難しいでしょう
      • 特にDD6の場合は不良になる定番部品と言っても良いので必ずスペアパーツを用意しておきましょう

    5. イグニッションコイル
      • 外観点検
      • これも不良かどうかの判断は目視では難しいでしょう
      • アンプと同じくDD6の場合は不良になる定番部品です、断線していなくてもレアーショートしていて正常な出力がでなくなります、これも必ずスペアパーツを用意しておきましょう

    などを見てください。

  • 圧縮の異常になる要因としては

    1. ピストンリングの異常
      • 固着、折損等による圧縮不良
      • コンプレッションゲージで各シリンダーの圧縮圧力測定

    2. ピストンの異常
      • 異常燃焼によるピストンの穴あき
      • コンプレッションゲージで各シリンダーの圧縮圧力測定

    3. バルブの異常
      • バルブまたはシートリングの摩耗等による圧縮漏れ等
      • コンプレッションゲージで各シリンダーの圧縮圧力測定

  • 考えられることは大体以上でしょうか。

  • 私は空燃比計を付けていますがこれの動きを見ると正常なときは目盛りの10〜90%位の範囲で滑らかに上下を繰り返していますが、ミスファイアーなどを起こした場合には指示がギクシャクした動きとなるので燃焼監視に非常に役に立っています。

  • インジェクター内部のピストンはストロークが僅か 0.1mm しかないため、スケールなどの影響により調子が悪くなることも考えられます。

  • 市販のインジェクタークリーナーなどを使って見ましたが効果は判りませんでした、と言うかインジェクターは異常なかったようです。