- 色々な方の伝言板などを御覧戴きますとジャガーの旧車について全体の傾向がよく判ると思いますが私の知る限りでは下記のような特徴があります。
- しかしこれらは何もジャガーだけに限ったことではなくヨーロッパをはじめとした輸入車全般にも当てはまる内容だと思います。
- ジャガーとて車である以上必ず故障しますが、オーナーの心がけ次第と思っています。
- トラブルを未然に防ぐためのちょっとした気遣い、特にオイル管理と水廻りに気を付け、日常点検・定期点検と消耗品の交換をしっかり行えばいつまでも良好な状態を維持できます。
- 幸いにも私は今のところ出先で止まってしまって困ったことは一度もありません、暑い夏も寒い冬も足代わりに乗り歩いています。
- 皆さんも適切なメンテで本物の車「ジャガー XJ6・Sr3」の醍醐味をお楽しみ下さい。
(注 意 点)
- オイル漏れしている車が結構多いので下回りのチェックを十分行うこと
ヘッドカバー、オイルパンのシール、ホース類、その他諸々、どこから漏れているか要チェック。
- 前記の原因の一つとしてホース類の継ぎ手部の処理がいまいちで漏れているのが多い
- ヨーロッパ車全体に言えるようです。
エアコン、パワステ、オイルクーラー等の継ぎ手の付いたホース類は継ぎ手類と組 み合わさった状態で購入していますが継ぎ手は流用してそれぞれの用途にあったホースとホースバンドで十分使えますので漏れても安く修理をすることが出来ます。
- エアコンは良く効くがガス抜けなどのトラブルが多い
先のホースと併せて、室内機からの漏れの例もあるようです、この場合分解する範囲はダッシュボードから計器板、センターコンソール等1式に及びますので非常に高く付きます。
- 電装関係特にコネクター部分の接触不良が多い
私はヒューズホルダーの接触不良を経験しました、特にヘッドライトはこれで明るくなりました、それ以外のリレーやコネクター類も全数手入れした方が良いでしょう。
- パワステのシリンダーのシールが痛みやすいので
・据え切りは極力さける
・一寸でも車を動かしながらハンドルを切ってやる
・フルロックで使用せずに一寸戻してやる
などの注意をしていると傷みにくいです。
JJではパワーシリンダーのパーツ交換ではなくアッセンブリーの交換になるので高くつき25万円位かかるようです。
(あと年数が経っていると)
- 天井がタレ下がってくる
内張の下地に使われているスポンジなどが劣化してくる、結構高くて10万円位掛かる、自分でも出来ますが結構難しいです。
- ウッドパネルのひび割れが出てくる
一寸したひび割れ程度ならでしたら何とか素人的にリペアー出来ますが、極力直射日光に当てないことでしょうか、補修用にウッドパネルが発売されていますが色合いや木目模様、やれ具合などが合わないと思われますので1式交換がベストでしょう。
- 革シートの手入れ
- ジャガーのシートの革はモデルにより色々あるようですが高品質でかつ非常にデリケートで傷みやすいそうです、年に1回はレザークリーナーまたは薄めた中性洗剤で汚れを落とします。
- 汚れが落ちにくい箇所は柔らかめの歯ブラシなどにクリーナーをつけ、こすらずにたたく感じで根気良くやるとたいていの汚れは落ちます。
- プラスチックやビニールレザーの部分も同じ要領です、濡れた雑巾でクリーナーを拭き取り取り、乾いた布で仕上げてください。
- その後純正のハイドフードを塗れば完了です,ハイドフードは年1回で十分です。
- 革以外のビニール部分にはアーマオール等を塗れば艶がよみがえります。
- 革の状態を良好に保つには車庫保管が一番望ましいですが、紫外線カットのUVフィルムを貼るというのも一つの方法です。(私はこれをしています)
- 従ってシートを見れば保管されていた状態が推測できます。
(そ の 他)
- ブレーキディスクの摩耗が国産車などに比べて早い
Sr1〜3のブレーキディスクは材質の関係で国産車などに比べて減るのが早いようです。
- エアコンの内気循環機能がない
これは簡単に改造できるのであまり気にしなくてもいいでしょう、取りあえずは温度設定を最低温度にすれば自動的に内気循環になります。
(ただし冷えすぎて寒いですが)
- 使用されているネジのサイズがインチとミリが入り乱れています
自分でメンテされる場合はインチ・ミリ両方の工具が必要になります。
- ボディの歪み、特にSr3はボディサイドだけで20枚ものプレス部品が使われているそうなので溶接箇所も多く歪みが発生しやすいようです。
クルマの前後斜めからボディに映り込む景色を眺めると歪みや塗装のムラがよく判ります、ある程度の歪みは仕方ないとしても事故車などの判断をつけやすいです。
- アンテナがきちんと収納されなくなる
これはエレメント駆動ワイヤーが潤滑不足で固着するためでCRCなどを吹き込んでやれば簡単に直ります。
- XJ40のソブリンなどに付いているセルフレベリング機構などは普段のメンテも必要で修理も1箇所7〜8万くらいかかるそうです。
セルフレベリング機構無しのショックアブソーバーなども売っていますので簡単に改造も出来ます。
- ドアーのオートロックも油切れで固くなっている物が多いですがこれは内張を剥がしてリンクに給油すれば直ります。
- ボディの防錆処理が良くないので錆びに注意、特にドアーのステップ(サイドシル)部分や窓枠の回りが要注意です。
塗装は遠くからだけでなく近寄って表面のひび割れなども確認しておく、全塗装もやり方によりますピンは100万くらいからキリは10万くらいまでで結構高く付きます。
特にジャガーはエナメル塗料を使用しているため、クリアー部分にひび割れやクラックが発生しやすいそうです。
- ダッシュボード上部の焼け加減やエンジンルームなどのボルトの錆び具合などから車の保管状況が推測できます。
- エンジンを始動する時はブザーの音が鳴り止んでからキーを回してください。
その際インジェクション仕様の車はアクセルを踏んではいけません、空燃比が薄くなり点火できません。
キャブレター仕様の車 (多分オートチョークになってると思いますが) はチョークを引くと共にアクセルペダルを2〜3回踏むとインテークマニホールド内に加速ジェットからガソリンが噴射され濃い混合気が作れますので始動し易くなります。
(キャブのタイプにより異なります、ソレックスとかウェーバーのキャブには付いているそうです)
- 暖気運転は十分行って下さい、少なくとも水温計の針が目盛りの左端に来るまでアイドリングしてください、夏場で2〜3分、冬場だと5〜6分位でしょうか。
もし温度上昇が遅いようならサーモスタットが悪くなっていると思われます。
- ATのシフト操作ですが通常の運転中はDレンジを使用し、信号待ちの度にニュートラルとかパーキングに入れるのは避けた方がATの負担を減らします。
- またこれと同じような意味で、
・DレンジからRレンジへの切替は
一旦N位置にシフトした後一呼吸おいてからRレンジに操作する
と書かれているHPなどを見かけますが、D→R、R→Dの切替は一気に行った方がショック少なく切り替えできます、私は普段から行っていますが具合が良く全く問題がありません。
(ギヤーのバックラッシュ分のショックはありますが)
これは構造面から見れば分かるのですが車が停止している状態でDレンジに入っている場合、トルクコンバーターのタービン側(車輪に繋がっている方)はギヤーが入っているため停止状態です。
Nにするとギヤーの噛み合いが無くなるためインペラー側(クランクシャフトに繋がっている方)につられてタービン側も空転を始めます。
それをRレンジに入れると車輪が止まっているにもかかわらずギヤーが噛み合うため、タービンの回転を無理に止める力が掛かるのでショックが出るのです。
従って一気にシフトするとトルクコンバーターのタービンが回らない内にシフトできるのでショックが少ないのです。
- Sr3等の旧車の場合走行はゆったりと軽やかに乗ってください、無理なキックダウンや急発進、急停車はミッションやデフの故障の元となりますので避けてください。
- ガソリンスタンドなどでのオイルチェンジや冷却水の入れ替えその他用品交換はジャガーのことを判っている店員がまずいないため頼まない方がいいでしょう、直すどころか潰される可能性があります。
- ガソリンの給油はタンクが一杯になるまで給油しないで下さい、吹き出した事例があるそうです。
満タンにする場合は給油ガンのオートストップが働いたところまでで止めるようガソリンスタンドの店員に必ず注意して下さい、給油口にも注意書きが貼ってありますが店員は見ていません。
- ガソリンタンクの切替ボタンがセンターコンソールにありますが押した状態で左側タンクの使用となり計器板のゲージも同時に切り替わります。
エンジンから戻ってくるガソリンは使用しているタンクに戻ります。
- リヤーのブレーキパッドの残量に注意してください、インボードタイプのためどうしても点検を怠りがちでパッドが無くなったのに気が付かないとブレーキディスクを損傷してしまいます。(ブレーキディスクの交換が必要になり高く付きます)
またその時にはブレーキの効きが非常に悪くなり最悪事故を起こす恐れがあります。
パッドの交換はすぐに出来ますがブレーキディスクの脱着は非常にやりにくく、リアーアクスル一式降ろしたほうが作業がやりやすいです。
フロントのブレーキディスクは簡単に取り替えできます。
- 足回りの可動部には定期的なグリスアップが必要ですが、特にフロントのハブベアリングは構造上ある一定以上のグリースを注入しないとベアリングの所に届きませんので注意が必要です。
(メンテコーナーのフロントハブベアリング取り替えの項をご覧下さい)
- 水温の上昇には常に注意して下さい、最高で110度位であれば一応問題はありませんが、それ以上になるようであればシリンダーヘッドの歪みによるガスケットの吹き抜けやメタルの焼き付き等重大トラブルになる恐れが多分にありますので早急に対処する必要があります。
一応真夏の日中に渋滞でも運行できる性能はありますがラジエターの錆や詰まりなどによる能率低下によって水温が上昇しオーバーヒートしやすい車が多いようです。
ラジエターコアーの清掃、オーバーホールまたは取り替えや電動ファンの増設などの対策が必要になるでしょう。
また冷却水の漏れ止めは絶対に使わないで下さい、漏れ止め剤が錆などで狭くなったラジエターのコアー部分等を塞いでしまい冷却効果が落ちます。
これは漏れ止め剤のメーカーの方もそう仰ってました、詰まってしまうと逆効果です。
- ボンネットを閉めるときはフロントグリルに両手をかけ持ち上げるようにし、少し勢いを付けて閉めます。
トランクは両手で体重をかけて押さえつけるようにして閉めてください、絶対にバタンと勢いよく閉めてはいけません。
(トランクのキャッチの付近に注意書きがあります)
(次にジャガーに限らず中古車を見るときの注意点は)
- 個体によるばらつきが大きい、したがって現車をよく見る必要がある。
- スイッチ類は全数動かしてみて動作を確認しておく。
- フロアマットやトランクマットを剥がして錆などのチェックをしておく。
(ペイントの状態などから事故修理の有無が判るときがある)
- タイヤの偏摩耗はアライメントが狂っているかホイールベアリングの劣化などがあるので要注意。
- 当然エンジンを掛けて異音の有無やアクセルのレスポンスなどを確認しておく、出来れば走ってみる、相手が嫌がるようなら何かある恐れ大。
(足回り、ボディの異音などのチェック)
- シフトショックの大きい物は敬遠する、ジャガーの場合ATの手入れに20〜30万以上かかるようです。
- 特にマフラーを覗いてみるとエンジンの調子が推測できる。
(真っ黒で煤だらけのは不良、手で触ってうっすらと焦げ茶くらいの煤がベター)
- それと排気ガスの臭いをかいでみて臭いのは空燃比が適切でない、良い状態ならほとんど臭いはしない。
(夏場でも冷機でエンジンを掛けると暖気中はマフラーからドレンがぽたぽた落ちるのがよい)
- 可能ならオイルフィラーキャップを外しカムカバーの裏側の汚れを指で当たってみる。
オイルの管理が良ければ綺麗だし、悪ければスラッジだらけである、一目でわかる。
(オイルレベルゲージでオイルの汚れも見ておく、ATFも同じ)
- 次は冷却水、エンジンが熱いときは無理だが冷えているときには冷却水の汚れもみておく。
(錆が多いようなら冷却水の管理が悪い)
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