念願の「槍ヶ岳」 (2002.8.28〜9.2 ja3xyd 中谷宏作)
穂高町に生まれ北アルプスの主峰「槍ヶ岳へのルートを拓いた」山の先覚者「小林喜作」の偉業を
たたえ、地元穂高町が「喜作祭」を催し今年第32回を迎える。平成4年9月第22回の喜作祭に参加し、
常念岳〜大天井岳〜燕岳のコースを歩き北アルプスに魅せられた。翌年槍ヶ岳へと喜作祭に参加した、
惜しくも台風のため穂高町から引き返した。
10年経過した今年、念願の槍ヶ岳に登頂することができた。今回も台風15号の影響で直前まで気を
もみましたが、幸いに最高の天気と的確・親切なガイドさんの案内そして素敵な仲間に恵まれ充実し
た登山だった。神々しいご来光、満天の星、ダイナミックで美しい山々に満足し感激した。
一日目
「中房温泉」が燕岳への登山口、日本の3大急坂と呼ばれている登山道に挑戦する(9:25登山開始)
10年前はこの坂を下ってきた。しんどかったその経験から初日は半ズボンでの出で立ちとした、参加
者の中で唯一の半ズボン姿だった。
前回も案内していただいたガイドの児玉さんが先導しゆっくりしたペースで歩いてくれる、第1ベ
ンチ、第2ベンチと各ベンチでの休憩にこの調子なら還暦を迎えた私でもいけると身体が応える。休
憩時おにぎりを一つずつ食べ体力を保持しながらの登りだったのでそれほどの疲労感はなかった。
 |
|
 |
中房温泉の登山口 |
|
中房温泉の登山口 |
 |
|
 |
第1ベンチ |
|
第2ベンチ |
途中から薄いガスが出るなか合戦小屋を発つ、懐かしの燕山荘が見えたときにも疲労感は無く私に
とっての最大の難関を無事越えることができた。
一休みして燕岳(2763m)を目指した、往復約1時間のコースはルンルンの歩き 四方に素晴らし
い山並みを見ながらまるで遊歩道を歩く足取りだった。
二日目
朝4時半頃目覚める、ご来光は5時16分頃 2段ベット(・・といってもカイコ棚の上)の窓から
ご来光を待った、東の空が紫色に・・と間もなく紅色に染まりそして一条の光りが射す、神々しいご
来光だ。
6時40分西岳に向けスタート 遠くの山までくっきりと見える ずっと向こうに槍が小さくもはっき
りと見えた 今日の天気は良さそうだ。朝の冷たい空気を吸っての脚は軽い いい調子だ。
今日は北アルプスの表銀座のコース 前方に槍を見ながら歩くとは最高だ。槍への登山道を拓いた
喜作新道 その小林喜作をたたえるレリーフが岩場にあった、ガイドさん持参のお神酒供え安全を祈
願し私たちもお神酒ををいただく。
 |
|
 |
ご来光 |
|
雲海の上に富士が |
 |
|
 |
燕山荘からの槍ヶ岳 |
|
小林喜作さんのレリーフ |
 |
|
 |
大天井岳への分岐 |
|
赤い屋根が西岳ロッジ |
 |
遠くにあった槍ヶ岳が目の前に・・・険しい尾根が・・ |
大天井岳(オテンション)の分岐でAコースの方とお別れ その先から道は険しくなる 狭い岩場
を何度も通り抜ける 目の下の赤い屋根に大天井ヒュッテがを目指して下り昼食をとる。
目の前の尾根筋の直登の道を行くのかと気になっていたが 冬季は雪崩の為稜線を登るそうで、西
岳へは山すそを巻いて喜作新道を歩くので高低差は少なかった。左に常念、下方には梓川から上高地
方面が遠くに見える。
西岳への稜線に出ると槍が目の前、雄大な景色に圧倒される 燕からの槍は遠くに小さく見えてい
たが次第に大きく見え、北鎌尾根の荒々しい稜線がはっきりとしてくる 雄大な景色に圧倒される。
下ると西岳ロッジだ。
三日目
西岳ロッジからのご来光は常念岳に少し大天井岳に寄ったところからだった 暗闇から少し明るく
なる 稜線が紫色に赤く染まる 後ろに見えるの槍の先端に陽があたり 黒く見えていた槍の山頂が
一瞬赤く染まった 一条の光が射す 太陽の光が眩しい ここ西岳でのご来光だ。
 |
|
 |
西岳からの槍 |
|
1時間かけて下る・・・もったいないが |
槍へはここから約1時間下る、ここまで登ってきたのに惜しい気がする。すぐに鎖場と鉄の梯子を
慎重に下る。(5:40ヒュッテ西岳を出発)
水俣乗越からまた登リ道、狭く険しい峪の岩場を慎重に進むとまた峪ぞこへの梯子、高さは20mくら
いあろうか? 風は強く時折突風が襲う、リックごと身体を持っていかれそうで一瞬緊張が走る。
ここを通過しなければ槍には登れない、一歩一歩慎重に梯子を下る。
ヒュッテ大槍にてリックを置きサブザックに交換する。槍が目の前に覆い被さるように迫る、一日
目燕から遠くに小さく見えていた槍がいま目の前に迫る。
肩の小屋(槍岳小屋)に着く、槍の頂上まで高低差は100mくらいはあろうか? 岩場や梯子、鎖に
つかまって登っている人が小さく見える。
大きな岩の塊「槍の頂上」を目指す、荒々しく巨大な岩場に取り付く、風がきつく頂上は寒そうな
のでヤッケを着込む人も。岩場はほとんど垂直の感じだ、頭の上の岩を掴み足場を確保しながら見上
げるような大岩にへばり付きながら登っていく。
大きな岩場の裏側に廻る とたんに風がきつくなった 山に当たった風の逃げ場がなく頂上に向け
吹き上げてくるのだ 前を登る人のヤッケが風で膨らみ身体を持っていかれそうだ 紐で裾を絞って
もなお執拗に風で膨らむ、ついにヤッケを脱いでしまった それほどきつい風だった。
 |
|
 |
強風の中 長い梯子を下った |
|
頂上真下 最後の鎖と梯子 |
 |
やりました・・・念願 「槍」の頂上 (3180m) |
 |
|
 |
頂上は20人くらいで一杯 |
|
バンザーイ |
ほとんど垂直の梯子と鎖場を慎重に何度か登るとそこに槍の頂上があった。山頂の片隅に小さな祠
が祀ってありその前に20畳くらいの広さが山頂。視界はすこぶるよく目の下には昨日からの燕、大天
井、常念、西岳、穂高連峰、笠岳など、遠くに富士山や立山と360度のパノラマだ。
初日 燕岳から望む槍ヶ岳は遠く小さく見えた、ここまで一歩一歩自分の足で登ってきた。次第に
槍が近づくるき大きくなってくる、ついに標高3180m「槍ヶ岳」の頂上にたった。
 |
|
 |
槍沢を下る |
|
イワキキョウ |
山頂からの下りは登りに比べるとより難しい 鎖場での足を掛けるところが見えない 小柄な人は
足が届かず難しかったようだ、しかし私たちにはガイドさんがついていてくれるので安心して下った。
四日目
槍沢から上高地に下る、槍の穂先が次第に遠くなる 時折振り返り振り返りながら遠く小さくなっ
ていく槍を見ながら満ち足りた足取りで上高地に向かった。
 |
|
 |
梓川上流を上高地に下る |
|
途中の横尾にて |
 |
|
 |
イワベンケイ |
|
上高地 河童橋 |
あとがき
念願の槍ヶ岳に登りました。槍の険しい岩場を前に登頂を躊躇された方、岩場で打ち身の方、途中
足を傷めた方もおられましたが、的確で親切なガイドさんに助けられ全員無事に槍の頂上に登ること
ができました。
最高の天気、一緒に登った皆さんとの出合や山小屋での宴会など楽しいことがいっぱいありました。
還暦の私が槍に登れました、ガイドさんと仲間そして最高のお天気にお礼申しあげます。 感謝!
行程
8月29日(木) 大阪発 松本市にて前泊
8月30日(金)
7:30 穂高神社にて受付 安全祈願
8:00 マイクロバスにて登山口の中房温泉に向け出発
9:25 中房温泉からスタート (1418m)
10:05 第1ベンチ (休憩所の名称 ベンチは無いが)
10:40 第2ベンチ (以後昼食は少しずつ適宜)
11:20 第3ベンチ
12:10 第4ベンチ
12:40 合戦小屋 (2350m休憩所 スイカ一切れ800で売っていた)
14:20 燕山荘 (2680m 宿泊)
15:35 燕岳山頂(2763m 山荘から往復1時間)
8月31日(土)
5:16 燕からのご来光
6:40 スタート (遠くに槍が小さく見える)
9:05 喜作レリーフ (安全祈願 お神酒をいただく)
9:20 大天井岳との分岐(常念コースの組とお別れ)
10:20 大天井ヒュッテ (昼食)
11:20 西岳の手前で休息(目の前に槍が・・・いいねー)
13:30 ヒュッテ西岳 (宿泊)
9月1日(日)
5:26 西岳からのご来光 (槍の頂上にあたる朝日が徐々に下方に)
5:40 スタート
6:40 水俣乗越 (西岳ロッジから約1時間下った所)
7:10 20m位の梯子を下る (強風に驚く)
8:30 ヒュッテ大槍 (2884m サブザックに代える)
9:40 槍岳山荘 (肩の小屋)
10:10 槍ヶ岳山頂 (3180m)
11:00 槍岳山荘
12:00 ヒュッテ大槍 (昼食)
13:30 槍沢 水場 (冷たく美味しかった 1Lお土産にした)
15:50 槍沢ロッジ (宿泊)
9月2日(月)
6:00 スタート
7:40 横尾 (快調なペースで上高地まで下る)
8:50 徳沢
9:50 明神池 (上高地からの散策コース)
11:05 上高地
15:00 沢渡温泉発 (きれいすっきりとなる)
16:00 JR松本駅 解散
21:30 帰宅 (無事帰りました)