FTM-10Sの改造とバイク用ミキサーの制作
カーナビやレーダーの音声が常に聞こえる入力端子の増設(第2版) (20081027 ja3xyd)
1.初めに
バイクに設置しているトランシーバーの音声以外にレーダーやETC、そしてバイクを乗り換えたので音楽、
またナビを付けて各機器の音声もヘルメットの既設スピーカーで重ねて聴けたらいいなとの思いから素人ながら
製作に挑戦した。
BMのバイクはK100RS4バブル、3気筒のK75C、2気筒のR1100RS,そして10年間で75,000km走ったR1100RTと
乗り継いできた。60歳代後半になり取り回しに気を遣うようになったので、もう少し軽いバイクに乗り換え今は
R1150Rに跨っている。
バイクに145/435MHzのトランシーバー(スタンダードのC500 5W)を後部シート下に格納、テンキー基盤に
10芯コードを繋ぎ、リモコンはハンドルに取付けてソロツーリング時に電波をサーチして交信相手を探し、道を
尋ねるなどしながら走っていた。またツーレポ用にテープレコーダーを載せて時間・距離・ルートや感動場面な
どをメモしていた。(スタンダードのC500は10数年機嫌よく働いてくれた)
その後、車用のレーダーを搭載し警告音と光信号を外部に取り出し、高照度発光ダイオードをメーター横に貼
り付け、ヘルメット内にSPを増設しレーダー波もワッチして走った。その後ETCを取付けるとともに、車に載
せていたGPSレーダーをバイクに載せ換えその情報も聞きながら走っている。R1100RTはカウルもあり、またシ
ート下も空間が広く各種機器を装着することでも楽しむことができた。
2.ミキサーとアンプの製作
R1150Rに乗り換えたころから仲間のバイクにナビが増え、眠っていた好奇心が高ぶり始めた。先ずは、GPSレ
ーダーの「500m先にループコイルが・・、この先取り締まり・・」などのアナウンスを確実に聞けるように。
そしてMP3の音楽を走りながら聴きたいとの思いからトランシーバーの音声とGPSレーダー、MP3、ETCの音声も
ヘルメットに付けた両耳のSPから聞こえるようなミキサーの製作を思い立った。
接続する機器の出力が20mW位のMP3、500mW位のトランシーバー、1W位のナビ等、どのようなミキサーが良い
のかWevで探すと、オペアンプLM358使用のミキサーが良さそうだった。LM386を使ったAMPと合わせて製作した。
しかし小さい基盤に組み込んだため誤配線なのか、LM358のミキサーはミキシングとしてはOKだったが音質が
思いのほか悪かったので他の方法を検討した。(LM358使用のミキサーは多くの方が製作し使っておられますの
で私の製作が完全でなかったように思います)
ミキサーで試行錯誤しているとき、思い浮かんだのはトランスを使うことだった。各機器のSP出力を直接つな
ぐと各機器やトランシーバーの故障の原因となる、音声出力の直流分はカットして交流分のみを通過させることは・
トランスとコンデンサーで直流成分をカットすれば何とかならないか・・・と取り置きの古いパーツを探した。
親指の先から小指の先くらいの大きさ、1cm 〜2cm位のトランスの一次側、二次側にそれぞれ出力とSPを繋げ
てトランスの音量を調べた、トランスにより音量の大小がある。トランスの入出力側それぞれにコンデンサーを直列
に入れ直流成分をカットした。
コンデンサーは10μF〜470μFのものを入れてみた、コンデンサーの容量により音質が変化する。トランスを5個
並列につなぎ、それぞれ入出力側にもコンデンサーを取付け5chのミキサーがとりあえず完成した。音量調整は当
初半固定ボリュームで行うようしていたが各機器側のボリュームで行うようにした。(これで支障は無い、この方
が簡単)
出力20mW位のMP3を接続しミキサーの出力をLM386のAMPに入れるとSPからきれいに音が出た。ヘルメット用
の小さなSPを大きなSPに変えると素晴らしい音が聴こえてきた。試しに繋いだトランシーバー、ポケットラジオ、
MP3、GPSレーダー、ナビ、テープレコーダー等の音声も同じようにいい音で重なって聞こえてくる。
アンプ付きミキサーの写真
(表示した写真の右下の「大きいサイズで見る」をクリックしますと大きな画面になります)
これでこのミキサーは一応完成。AMP作動テストのため一日中鳴らしっぱなしで数日間テストを行ったが支障
はない、次回ツーリングが待ち遠しい。トランス利用のミキサーとLM386のAMPの調子はGOOD、ツーリングで各
機器の音声を聞きながら無線の音声も綺麗に聞こえている。
3.FTM-10Sの購入 (2008年10月4日購入)
FTM-10Sが出回り好評の様子は耳にしていた時、ハム仲間のツーリングでFTM-10Sを目にした(9月28日近江
八幡)・・おっおっ多機能ではないか、これを使わない手はない。早速日本橋にて購入。その時お店からいただ
いた冊子「FTM-10S完全ガイド」に「ワンランク上のFTM-10S活用術、常に聞こえる入力端子を増設」の記事が
目に止まった。
FTM-10Sの特徴のひとつ、外部入力端子を使って外部機器への接続。しかしレーダー音声やナビ音声を聞いて
いる時、ミュート機能で無線の音声が優先して肝心なときナビやレーダーの音声が消えては困る。そのことを解
決してくれる機能に改造できるではないか。これをやらない手はない、購入後即改造に取りかかる。
10Sの改造途中にメーカーに問い合わせた。
Q: 入力端子を増設して自作のミキサーの出力を入れたいが・AMPは必要か、各機器を重ねて聞くためトラ
ンスとコンデンサーを使ったミキサーは使えますか? など・・
A: 回路はオーディオAMPの入力に直接入れるようにしていますので、iPodのような出力の小さい機器でも
対応できるようになっています。音声信号の直流分ををトランスやコンデンサーでカットしておけば大丈夫でし
ょう。・・との返事に ラッキー! 10Sはアンプ搭載しているので自作ミキサーは電源なしで繋げるメリット
もあるぞ。
4.FTM-10Sの改造
入力端子を増設するための部品は抵抗が2個、コンデンサーが2個だけで済む。これなら私にもできそうと
本体を開けてみると、ハンダ付けするICの足のところは虫眼鏡で見なければ見えないような、そしてハンダが
横の足に流れて引っ付いてしまうような場所だった。これをクリアーしなければ目指すことは出来ないとハン
ダ付けの方法を検討した。
ハンダをする足を挟むように薄い名刺を2cm角位に切りハンダ付けをする足をV形に挟み込むようにして両隣
の足を隔離、その足に先ずハンダだけを流し、その後用意した抵抗とコンデンサーをハンダ付けしているリード
線を、ひょいとハンダ付けした。
ハンダ鏝は先の細い20Wがあったので上手くいった。(上手くいったかテストしたが 音が出ない・・写真の
ようにLとRを間違えていた。何回かハンダ鏝をICの足に当てることになった・・幾度か失敗したがICの破壊も
なく何とか上手くできた)
あとショートしないよう クリアーファイルのような薄いシートで抵抗とコンデンサーの上下に入れておいた。
(注 この方式に改造した場合は外部スピーカーの接続ができないようです)
FTM-10Sの改造の写真をご覧下さい。
表示した写真の右下の「大きいサイズで見る」をクリックしますと大きな画面になります。
FTM-10Sの改造記事
写真1(10S内部) 写真2(10S内部) 写真3(10S内部) 写真4(10S内部)
5.バイクに取り付け
平行して、FTM-10SとナビとGPSレーダーをバイクに取付ける作業に取りかかる。FTM-10Sのディスプレー部
はハンドルの油圧クラッチケースの蓋のネジ2本を利用、在り合わせのアングルを両面テープで貼り付けてネジ
止めして完了。
GPSレーダーは右ブレーキの油圧ブレーキケース蓋の部分に同様に取付けた。マイクは本体側から、別途購入
した接続コードで接続完了。(変調トランス使用)
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6.ナビ取り付け台の製作とバイクへの取付け
車で使っているpanaのDVDナビ ストラーダを搭載する予定で検討した。ナビをバイクに直接取付けると振動
で高価なナビを台無しにするようだ。ホームページを拝見して皆さんが苦労されていたのが「振動対策」だった
ので、「どうやって固い物で固定しないか」が課題で そのまま固定せずにハンドル用ステーとナビ固定用プレ
ートに分け、そのふたつの間にクッション材をサンドイッチするとの製作例を参考にしました とのHPを探し出
した。
背面と下部にクッション材を入れ、丈夫な糸で縛りつける方法とした。装着台はあり合わせのアルミ板を加工。
(1.5か 2.0mm厚、10cm角くらいの物2枚)ショック吸収は厚さ1cm 幅3cmのゴム、DIYで購入(200円位)。
ショック付ナビ装着台をどのようにバイクに取付けるか・・これが問題だったがDIYでT型の金具(鉄製、厚さ
2mm、100円位)を購入しこれを加工してハンドル固定金具に取付けることの構想が決まった。厚紙で大体の位置
を決め金具を加工した。
11日からの伊豆・箱根・草津方面へのツーリング直前に完成した。前日試験走行しGOODである。雨対策は100
円ショップでA4サイズのビニール袋を購入しナビを覆いセロテープで止め翌日からの1600kmのツーリングに備
えた。 (往路スタート時に小雨、復路は長野ICから京都まで雨の中を突っ走るもナビは調子よく働いてくれ振
動でのトラブルは一度も無かった。後日、ナビ装着台と取付けアングルをよりスマートにするため少し改造を行
った)
ナビ取付台の写真をご覧下さい。
7.システムの使用感
TRの送信:トランス利用のMICの変調はクリアーでOK。どちらかと言えば少し深いかもしれないようだ。
マイクを口から少し遠ざけて使った。10S側でMIC感度の調整が出来そうなので今後テストの予定。
TRの受信:無線の音声は問題なし、AMで電波弱くなるとオルタネーターのヒューン音が少し入る(一応電
源フィルターは入れているが・・実用上支障ないが電源周りを再度検討の予定)
DVDナビ:次の交差点左折です等の案内がはっきりと聞こえる。
GPSレーダー:ナビ音声:無線交信中でもその上に乗せてはっきり聞こえる(ボリュームを大きめにしている)、
ETC:キーON時やゲート通過時の料金案内などもしっかり確認できた。
MP3ミュージック:音質もGOOD、音量は少し小さめにしていつも聴こえているのでBGMとしてツーリング
に好きな音楽を聴くことが出来た。
8.10Sのマイク関係
ヘルメットのマイクはKTEL製を使っている、10S用の変換コードは高額だったのでこれも検討課題にした。10
数年使っていたスタンダードのC500には変調トランスを使っていた。(KTELはほとんどのトランシーバーにはア
ンプ入りコードを使っているが、C500にはトランス入りのコードを使うよう記載されていた) 私は代用として
600Ω:8Ωのトランスを使っていたので試しに10Sに付けてみた。これがGOODで各局に変調レポートをいただい
たがクリアーな音声で気をよくした。
走りながら無線もBGMもレーダーもナビの音声も聴きながら走れたらいいな・・との思いからミキサー製作に
とりかかった、途中FTM-10Sに出会い、その機能とデザインに惚れ即購入。ミキサーとマイクコード自作で結果
今のところ調子よく働いてくれている。
9.変調トランスの使用とノイズ(KTELの10S用マイクコードは高いのでサンスイのトランスST-82使用)
MIC用トランスは600Ω:8ΩでTR側が600ΩでMIC側が8Ωです。TR本体はリアーシート後部のスペースに設置、
マイクは別売りTMF-10S用コードを使い途中に音声を増幅するトランスとPTT端子を繋ぎ、シート下からカール
コードでヘルメットにつなぎます。
バイクにトランスを使いますとノイズを拾います、トランスは出来るだけエンジン部分から離したところに置いて
下さい。R1100RTの時はこのトランスをエアークリーナ付近に置いたところオルタネーターのノイズを拾いました。
後部シート付近に移動しましたらノイズが消えました。
トランス接続の写真 ご覧下さい。
10.オーディオミキサーで各機器をミキシングの音量
無線の音声は通常使用の音量に設定し、頻度の少ないレーダー、ナビ、ETCの音声は音量を大きめにしています。
BGMとして聴くMP3も常に聞こえていますが音量は少し小さめに調整。音量は各機器のボリュームで調整します。
11.友人のバイクにFTM-10Sを取り付け。 (サンスイの出力トランスST-82 500Ω: 8Ω を使用)
マイクアンプに600Ω:8Ωのトランスが無く代りにサンスイのST-82 (500Ω:8Ω 400円を使いました。(サン
スイに規格等尋ねた・600Ωも500Ωもあまり変わりはないとのこと)
トランスの一次側(500Ω)に線が3本、二次側(8Ω)には線が2本、一次側の外側の線をトランシーバーのマイク
に、二次側をKTELのマイクにつなぐ。机上でマイク スピーカー回路を接続し送受信テストをしますと送信音声
も綺麗にのっています。
バイクにトランシーバーを設置し送受信のテスト・・・送受信ともGOOD。 エンジンをかけてハンディトラン
シーバーで10Sの送信音声をモニターするとエンジン音とヒユーヒューのオルタネーター音が聞こえてきた。ノイ
ズ対策は難しいぞ・・・。ノイズの発生源を探す。 10Sを送信しながらハンディトランシーバーにイヤホンを付
け、テールBOXの無線機本体近くに置いているST-82のトランスをバイクのエアークリーナー、ヒューズBOX、ア
ンテナや同軸付近に近づける。 ノイズが大きいところと小さくなるところの位置が解る。同軸コードとエンジン
に近いところでノイズが大きくなる。
ノイズ対策として ST-82のトランスをヒューズBOXの後ろの方に移動、 電源ラインに自作のノイズフィルター
を取り付け、電源アース線を太い線に換え、電源コードは長いまま使っていたので短くした。 アンテナ基台もア
ースを取った。 再度テスト、まだノイズがある???マイクを手で包むとノイズが小さくなる・??
マイクの感度が良すぎるのでは?・・エンジンをかけてのテスト・・・エンジン音をマイクが拾っているようだ。
机上の送信テストで・・このトランスはよく音声を増幅しているな・・と思っていたがこの感度を下げれば良いの
では。
机上テストでST-82の一次側に真ん中に赤い線がある、試しにこの線につなぐと変調が浅かったことを思い出し、
その場でつぎな換えるとエンジンノイズが小さくなった。
走行テストに出発、走行中のモービル数局に変調とオルタネーター等の具合を聞くと、変調OK、ノイズ無しの
レポートをいただいた。 結果、マイク用トランスST-82はR1100RSの後部BOX内に置きました。
12.現在のバイクR1150Rのミキサー
ミキサーのトランスの規格はサンスイのSTシリーズのいずれかで良いと思われます。後日調べてみたいと思っ
ています。
トランスを使ったミキサー(電源は使っていない)をガソリンタンク後方のシート下に置いています。 レーダー
とナビのコードはタンクサイドに沿わせてハンドル部分に引いている。ETCはテールのスへースにFTM-10Sと並べ
ているのでそこまで無線機本体と同様に後部シートまで引いています。
MP3用のコードはタンクバックに入れますのでゆとりを持って1m位の長さです。
トランスはノイズをよく拾いますのでミキサーにノイズや無線の音声の回り込みがないかと気にしていましたが
今のところ回り込みはありません。
13.電源周り
10数年使用したリグC500からFTM-10Sに載せ変えた機会に、電源周りをバッテリーから取り、ACC信号をヒュ
ーズBOXから取りました。
キーOFFでも各機器に電源が取れるようACC回路と直結回路をスイッチで切り替えるようにしています。そのた
め狭いシート下に電源、マイク、ミキサーと多くの配線が輻輳していますが今のところノイズは大丈夫のようです。
なお、タンクの配線は10芯程度のシールド線を使いナビやレーダーなどの線に使っています。このシールド線
はハンドル側及びシート下は車体にアースを取っています。
14.終わりに
バイク用ミキサーの構想から製作まで短い時間でできました。LM358のミキサーの音質で手こずりました。
トランスの活用で何とか音質もクリアーしLM386のAMPにつなぎハム仲間とツーリングに行ったのが9月末。
ミキサーは上手く働きルンルンで走りました。
そこでFTM-10Sに出会い、 見て 触って 一目惚れ。日本橋の老舗N無線で即購入した。 その時頂いた
小冊子の記事を見て今回の改造に挑戦したところ上手く仕上がり、引き続きGPSレーダー、ナビの取り付け
へと相成りました。
ナビの取り付けもWevでの皆さんのアイデアが大いに役立ちました。この度久々にHPの更新をしましたが
その手順を忘れ リンクや写真を文中に上手く挿入出来ず見苦しいページになってしまいましたが後日綺麗な
ページにする予定でいますので今しばらくご辛抱下さい。
(BMのバイクは4・3・2・単気筒と乗りました、R1100RTに10年間乗りましたが少し軽いR1150Rへと乗り換えましたが、
あのRTの乗車・走行ポジションが忘れられず またR1100RTに跨っています)