ループアンテナのSN比が予想以上に良かったので、このSN比を生かすべく『受信専用プレアンプ』製作を思い立った。以前、6CW4のカスコード増幅で入力同調回路を2段にした力作を某誌で拝見したことがあるが、とてもあんなことは出来ない。
手持ちの材料にも限りがある(真空管なんて10本くらいしかない)ので、ジャンク箱を総動員して作り上げたのが以下に紹介するものである。
160mプレアンプの製作
ジャンクの寄せ集め(正面)
一番問題なのは高周波増幅に使う球である。当局周辺には100KW以上のBC局が5局ずらりと並んでいるので下手に石を使うとバンド全体がBCで埋まることになりかねない。以前AMECOの『PT−2』『PT-3』を使ったことがあるが、ここでは全く使い物にならなかったので石は最初から計画の中に入らない。。そこで かの635V-1(といっても知らない人が殆どでしょうね) で使われた双三極管5687を起用、カスコードアンプとしては最適の球と思われる。(6RHH2でも6BQ7でも6DC6でもいいのだけれども、これしかなかった。Hi )出力整合は12AT7のカソード出力アンプ、電源は5MK9、トランスは並4用、コイルはトリオ時代のSE(1.5〜4Mhz)、バリコンが無いので固定コンデンサで単一同調である。
こんなものは昔なら3時間もあれば楽勝だったが、歳をとると なかなかそうはいかない。万事慌てず、急がず、寄り道と昼寝は当たり前で、結局1日かかってしまった。Hi
カスコードアンプだから定数に間違いが無い限り99%安定動作が保証されているのでトラジェネとスペアナで周波数調整をするだけで終わりになった。利得は最大38dbぐらい、利得調整巾は10dbぐらいしかないが机上試験では実用になりそうである。
なお、利得調整巾が少ないのはB+電圧の変動が大きいのが原因でありカスコードアンプが悪いのではない。Hi 現在は30dbぐらいに固定して使っている。
さぁて いよいよ実働テストである。利得最小でも28dbはあるので、聴くのはかなり楽になると思ったが、狙いは外れなかった。ループアンテナに28dbのアンプをつないでもノイズレベルは殆ど上昇せず、信号はちゃんと大きくなってくれたのである。7800のPre2では完全にゲイン不足だった。
実績
12月5日
9K2MU/539 RK3SS/429 OZ7YY/429 OM2XW/429 9A2AJ/539 LZ2JE/539 9A4X/429
UW2ZM/539 SP2DOI/439 YO2LDC/539
いずれもシャントフィードタワー(S-Fe)より受信は楽であった。。
12月13日
KH8Q/419 K9DX/429 VU7LD/539〜559 YB1A/539
KH8QはS-Feではノイズの下で全くコピーできず。
12月14日
KH8Q/439 RA4CQ/539 DU9/N0NM/539 RU4LC/429
やっとこさKH8と交信成立。S-Feだけでは多分コピーが出来なかったと思われる。
12月15日
VU7LD/539 EO15UQ/549
感想
やはり 作って良かったと思う。プレアンプが無い時は殆どの信号がSメーターが振れないレベルだから非常に疲れたが、これで少しは楽に聴けるようになった。
しかし、DX仲間の28mタワー利用のスローパーシステムには とても及ぶところではなく相変わらず彼のところで599は当方の449であるが、もっと早く作って、もっと早くループにしてタワーへ上げていればなあ というのは愚者の繰言にすぎない。
635V-1について
第2次世界大戦時代、コリンズで開発、製作されたプリセレクタで、その選択度の凄さには吃驚したものである。その時の球が5687でgm11000、Ip=36mAという猛者である。
今朝(12/27)古い友人からメールで635V-1の開発、製造の時期が違うと指摘を頂いた。
正しくは1960年台だそうである。ご指摘有難うございました。謹んで訂正します。