コイルのQはどういう変化をするのか(大きい事はいいことなのか?)
私は思い込みが結構激しい人でありまして、なかなか修正がききません。その中に 『コイルは大きいほどいい』 というのがあります。線が太くて直径が大きいとQが高いは疑った事が無いのですが この実験を始めてから 『?』 が生じました。太い線はいいですが直径は大きい方が本当にいいだろうか。
もう一つの思い込みは 『シールドケースなどでコイルのQを下げない為にはコイルの外周からコイルの半径以上金属体を離せ』 ということです。(直径だったかな?) アメリカ製の1-V-3(National製長波受信機)などに使われていたシールドケースの大きさを見て納得したのも覚えています。しかし これも本当? 使用目的が異なりますがアンテナのトラップコイルを解体してみると、これでQ250 OK? なのかなぁと思うぐらいコイルとアルミケースが接近しています。容量成分を作るためとは云うものの、あれだけ金属を近接させてもOKなら これを積極的に利用できるのでは?と 考えました。幸運の女神か悪魔の囁きかは?ですが暇なんで なんでもやってみよう。Hi
実験開始(まずは小さい直径のコイルを作る)
いままでは直径の大きさにこだわって60ミリ径のコイルを作ってきました。今回はその半分に近い32ミリ径にしました。しかし、巻き数計算をすると200μHを作るには230回も巻く必要があります。線の長さは24m必要。今までは18mでOKでした。何故?
理由は後から考えることにして あちこちからエナメル線をかき集めましたが足りません。見切り発車が得意なので とりあえず作ろう です。しかし この作業は大変でした。直径の小さなコイルは握りにくく すぐに緩みます。おまけに つぎはぎだらけですから線の角で手に引っかき傷まで作る始末でした。本当に工作が下手になりました。(もともと上手じゃないのに)
一番目の思い込みは修正しなければならなかった。
左の写真を見て頂いたらお解りのようにタップだらけのコイルです。直径も小さく、見た目もよくありません。昔のBC610などの立派なコイルが頭に浮かぶ老人は 『こりゃ 駄目』 と言いたくなります。
しかし、自作のQメーターは私を裏切りました。写真のメーターは 『 54!』 インダクタンスは187μH。前回の192μHには不足ですが同じ1ミリの銅線です。あと少し電線を足すことで もう少しQは下がるでしょうが50以上は確保できそうです。直径は小さくてもいいのだぁ。これで銅線の直径を2倍にすればQ=100に近づくことができそうですが もっとコイルが長くなってしまいますね。(現在長さは27センチ−−55センチはやりたくない)
クリックで大きくなります。
『戻る』で元に戻る。
これからが本番です(Qを下げずにインダクタンスが変化できるか?)
このヒントはEHアンテナのデータ-を見て思いつきました。あの時はコイルケースの外側に金属バンドを巻いて共振周波数を調整したのですが同じ事がM-Vのコイルで出来ないだろうかと思ったのです。ダストコアを使えばインダクタンスをプラスに出来ますが、温度係数やコアの飽和を考えると無理かな?アルミか真鍮の金属バンドでやってみましょう。(インダクタンスは減、ロスが増えてQが下がらないかが問題です)最初は冗談で鉄の輪を嵌めました。見事にロス発生でQは40まで低下。アルミ板がないので銅の帯(1cm)でリングを作って嵌めて見ました。Qは6低下して48。以降14cm上まで動かしてもQの値は変わらず。インダクタンスは微妙に減少です。どれくらい変わっているか 今度はLCメーターで測りました。
左の写真が測定中のものです。帯を一番右の端にすると184μH、一番左にすると180μH。僅かですが微調整になるようです。但し Qも僅かですが低下します。筒自体を左へ移動させてもあまりインダクタンスは変化しませんでした。これならエレメントを調整した方がよさそうです。と いうことでこの試みはあまり成功とはいえませんでした。やはりEHの場合はエレメントも同じ場所に付いていますし、コイルのインダクタンスも結構大きかったから金属ベルトの効果があったのだろうと推測します。柳の下に泥鰌は2匹おりまへん。Hi
2番目の思い込みは正しかったようです
コイル半径16ミリ、銅のリング半径30ミリ 其の差は14ミリありますが、この差があってもQは6程度下がっています。従ってシールドケースは最低16ミリは離してやらないとQの低下を招くと思います。(National-USAは正しかった)
総括(そんなかっこええもんとちゃうけど)
というわけで エレメントを調整せずに少しでも近くにあるコイルを調整して アンテナの共振周波数を変えてやろうという不遜な試みは うまくいかないようです。微調整に使えないことはありませんが効果の程は?がつきます。
これでやることは全部やったという気がしますので、『コイルのQ』 という項目は終わりにします。次は今のつぎはぎコイルで160mM-Vの再挑戦をするだけになりました。5月 こいのぼりと共にM-Vが舞えるか 落ちるか お楽しみに。
コイルのデータ-を忘れていました。ボビンは塩ビパイプ直径32mm、線径1.0ミリでエナメル線使用。巻き数は223回、インダクタンスは187μH、コイル長さは270ミリ。自作Qメーターの指示は54。途中170μHでの計測ではQ=60でしたから17μH増でQは6落ちたことになります。
もしも 挑戦される方がおられましたらコイルは32mmぐらいがよろしいようで。間違っても60mmなどとは考えてはいけません。しかし、2ミリの銅線を使うとコイル長は推定60センチ弱。おおきいでっせぇ Hi