コブラ ウルトラ ライト アンテナの性能拝見
2007年も6月に入り、ローバンドは夏休みとなった。今年は何をするか悩んだ末に5年先に備えて6mを覗くことと、新しいアンテナ(変わったアンテナという方が正しい)を探すことの2つをテーマにした。
6mはさておき、変わったアンテナというのはローバンドの世界では なかなか見つけられない。見つかっても大きすぎて私のところでは実現不可能なものばかりである。
暇に任せてネットを見ていたら全長24m程度で80m〜10mまでの全バンドQRV OKというのがあった。
ワイヤーアンテナでフィードが 梯子フィーダー(ラダーライン) である。同軸給電ではとても無理な条件を梯子でクリアしているのが面白い。日本では自作しない限り1kwが扱える梯子はない。
名前を 『コブラ ウルトラ ライト』 という。名前はコブラだが私が笛を吹いたら くねくねと自動的に舞い上がってくれるわけではない。24mは我が家ではぎりぎりの寸法だが遊んでみることにした。
昔々 ダブレットアンテナとかツェップアンテナへ梯子で給電して80m〜10mの全クラシックバンドQRV可能というのは知っているがWARCまで含んだオールバンド水平アンテナはG5RV以外は知らなかった。(垂直の8バンドR8なんてぇのもあったけど)
G5RVはなかなかユニークで面白いアンテナだったが15mだけがウイークポイントで自動車ホイップに負けることもしばしばであった。私にとっての欠点は全長が30m以上あることで、我が家には設置できなかった。
前置きはこれぐらいにして本題に入ろう。USA東海岸から飛行機に乗ってやってきた『コブラ』は、まさにアメリカ製らしく必要最小限の部品で作られ、シンプル&ラフなアンテナである。
左の写真が『コブラ』の全てである。説明書1枚すら入っていない。(写っているのは内容証明書)
下の丸く巻かれた部分は『はしごフィーダー』で全長は100フィート。
上の部分がアンテナ本体で全長73フィート。なんと3本の平行線でエレメントが作られている。
この3本のワイヤを直列に接続してリニアローディングとしているので 片側の全長は12×3=36mになる。
説明書なんてぇものはいりゃぁせん。建ててみりゃぁ わかるでよの世界で日本みたいな配慮は皆無だ。
動作はどんなんか当世流行のシュミレーションをやってみた。3本平行線の間隔が狭すぎるので、完全なスタイル再現はできなかったが、出来る限り似たような形にセット。まあ お遊びだから細かいことはネグらせて頂く。
各バンドのデーターは下記のとおり。
80m:15mhでこのパターンは悪くない。輻射最大角 ![]() |
40m:少しサイドが落ち始めている。垂直面の最大 ![]() |
30m:だんだんダブレットに似てきた。利得もまあまあ ![]() |
20m:垂直90度方向への輻射が大きくなり、FSがかなり切れている。水平面は8JKに似ている。 ![]() |
17m:高調波動作が顕著になってきた。全方向への ![]() |
15m:ますます高調波動作が目立つようになる。相殺が始まりトータルゲインも減少を始めた。 ![]() |
ちょっと15mの図がぼけているが我慢してください。インピーダンス整合は別にして各バンドとも使えそうな気配がする。ただ 12mと10mはソフトがギブアップ。160mも一応はデーターになったが給電点インピーダンスが非常に低くなり 現実的ではないことが判った。
現実には高さ15mで全エレメントを水平に保つなんてことは我が家では出来ないし、少し折り曲げた上に傾斜設置スタイルになるが この予想との差はどれくらいなのか 楽しみである。まあ 昔から『よそう は うそよ』というぐらいだから 当てにならない。
さて7月8日午後、コブラが舞い上がった。
ちょっと見にくいが傾斜スタイルで、ぎりぎり22mが展開出来た。苦労したのは梯子フィーダーの取り扱い。
硬銅線1mmぐらいで作られているので、うっかり急角度に曲げると戻しで折れる可能性がある上に曲がりにくい。同軸に慣れてしまったので かなり手間取った。
手動チューナーを介してデリカインピーダンス計で50Ω近くへ追い込めるかやってみたが、80、40,20,17mは手探りながら追い込めたが30mは駄目。
夜間、80mと40mをテスト。80mは国内のみだが78Jrと殆ど変わらない。40mは比較対象がないが経験上ほぼDPと同じのようだ。50WでVK1ANUとQSO。
20mではBYを呼ぶWの東海岸がぎりぎりながらコピーが可能だ。17mもEUが聞こえる。
しかし、ここで問題が発生。町内の1軒にセキュリティアイが発生した(有線連絡あり)。40mの50Wで、もろ警報が出るらしい。電力減をテストしたが20Wでも安全ではないみたい。今までのシステムでは200Wで全く問題なかったので、傾斜設置で給電点が低いことが問題なのか、梯子がバランスしていないのか、それとも全く別の問題なのかが判らないが、ともかくテストを中止。
ご近所なので付き合いも長く、友好的な話し合いを今日の午前中にしたが このままではテストはとても無理と判断。アンテナ撤去を決めた。7月9日、午後アンテナ撤去実施。コブラの命は半日で終わった。
感覚的にはオープンフィーダーに原因ありかと思うが断定は出来ない。以前に40m傾斜DPを同じ形で設置したことがあるが、その時は200Wで全く問題が起きなかった経験があるので、そう思うだけである。
給電はもちろん同軸フィーダーであった。