野草と野菜
(卓効のある野草と健康野菜)


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30  またたび(疲労回復、鎮痛に)
 昔、歩き疲れた旅人が道ばたの木の実を食べたら、たちまち疲労回復して、また旅が続けられたということからその木の実にまたたびの名がついたと伝えられています。
 サルナシ科に属する多年性落葉灌木で、初夏のころ梅に似た芳香のある可愛らしい白い花を咲かせます。そして少し辛みのある、どんぐりのような形の実をつけます。
 この実にまたたびあぶら虫と呼ぶ寄生虫が巣食うのですが、漢方薬で珍重されるのは、なんとこの虫食いのまたたびの実なのです。木天蓼(もくてんりょう)と呼ぶのがそれで、熱湯を注いでから乾燥させたものなのです。
〔効用〕
 またたびの主成分は揮発性のマタタビ酸を主としたもので、麻酔作用が認められています。ネコにまたたびというほどネコの大好物ですが、病気のネコを元気にする力は驚くほどで、ネコにとっては万病薬といえるでしょう。
 人間にとっても疲労回復のほか、強心、利尿作用が認められ、さらに鎮痛、強壮、精力増進、体を温める効果が認められています。
 またたび風呂は冷え性、神経痛によい療法です。
〈用い方〉
 つぼみや実は塩漬けにしてびん詰めにされ、精力増強の酒のさかなとして市販されています。香りの良い薬用酒としても、またたび酒は好評です。漢方の木天蓼の粉末なら1日10グラムぐらいの内服が適量です。
 
【またたび酒の作り方】
〈材料〉乾燥したまたたび100グラム、ハチミツ1カップ、ホワイトリカー1.8リットル(生のまたたびなら500グラム)
〈作り方〉レモンの皮をむいて輪切りにし、材料をすべて広口びんに入れ、密閉します。3カ月目が飲みごろです。