中村嘉宏@Archive

ホーム
ナカムラヨシヒロ?
コノサイトニツイテ
作品リスト
Comics
■Media
■Others
リンク集
サイトマップ
問い合わせ

中村嘉宏@Archive パンくずリスト WorkList-Comic パンくずリスト オーバーマンキングゲイナー


OVERMANキングゲイナー

作画:中村嘉宏 原作:富野由悠季

01.OVERMANキングゲイナーについて

この作品は2002年9月7日~2003年3月22日までの間、WOWOWで放映されたサンライズ制作のアニメーション作品をコミカライズしたものです。

中村氏はこの作品の以前に、福井晴敏氏原作「亡国のイージス」のコミカライズ版をコミックバウンド(エニックス刊)という漫画雑誌に連載していましたが、2000年12月に、掲載誌が急遽廃刊となったため、連載も打ち切りとなりました。漫画の続きををどうするか思案中に、福井晴敏氏からの紹介で富野監督作品のキャラクター・デザイナーに決まったという連絡が入ったのです。

翌2001年春にはスタジオで「オーバーマンキングゲイナー」の作業がスタート。吉田健一氏(クリンナップ)・西村キヌ氏(主に衣装デザイン)とともに合作でキャラクター・デザインにあたる。デザインの流れとしては・・・
  • キャラの大まかなシルエットが決まった段階で、中村氏とキヌ氏に作業が振り分けられる
  • 中村氏が顔の作り、表情と裸のボディを描く
  • キヌ氏が衣装全般を描く
  • 吉田氏が作画用設定に線を減らし、クリンナップして完成
キャラクターデザインに関しては、企画段階に作られたキャラクターについての簡単な文字資料があったものの、非常に曖昧な内容で、途中で役割設定も都度変更が加えられていくため、まずは自由に創らせて、最終的に監督のジャッジを仰ぐといったスタイルになった。また、監督が描いたラフを渡されるケースもあり、占い少女エイファや、ガンガランのアデット隊員などはそのままラフを生かしている。

キャラクターについて・・・デザインにあたっては、富野作品は芝居が命なので、小芝居のきく愛嬌のあるキャラクターを描くよう気をつけた。また、西村キヌ氏の提案である「シルエットでキャラクターを区別する」=「キャラクターの明確な差別化」ということも意識した。当初線の多かった原案は吉田氏がまとめ辛かったらしく、途中からは吉田氏のフィニッシュ画を参考にラフ画でなくクリンナップ画で仕上げるようにした。
  • 最初は主人公のゲインとゲイナーから。ゲイナーは衣装も含めて中村氏が最初に描いた原案がそのまま生かされる。
  • ゲイナーは内向的で一見すると女の子っぽいように見えるキャラクターのつもりで描いた。性格的にはメソメソした感じではなくちょっと芯の強いところがある要素も加味した。基本はガンダムの「アムロ」に近い性格だと考えている。コスチュームは適度に野暮ったく中庸に、普通の少年に見えるようにしたかった。ちなみに、ゲイナーの眼鏡は当時隣に座っていた安田朗氏の眼鏡を参考にしたとか。
  • サラの髪型は大枠が中村氏の原案どおりで、分け目があってヘアピンをつけているというのが、西村キヌ氏提案。
  • ベローも基本は中村氏の原案からあまり変わらず。彼のリーゼントは「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」という映画の登場人物を参考にしたらしい。
  • ゲインは西村キヌ氏の原案どおり。中村氏が最初に描いたゲインはロンゲのボサッとした髪型にコートを着たバイカーっぽい服装だった。
  • アデットの髪型は最初単なるロングで描いたが、後にキヌの髪をまとめたタイプが出され、シチュエーションによって髪型を変える方向にした。
  • ヤッサバ・ケジナン・エンゲは変更なし。中村氏はこういうクドイ顔をしたオッサンを描きたかったとか。
  • アナ姫は合宿時に小さくて逆三角形のシルエットということを決めた。アナの服のフォルムは最初はミイヤのものとして中村氏が描いた。しかし、ミイヤのものでは地味すぎるのでアナへ変更した。衣装の細かいディティールは西村キヌ氏のデザイン。
コミカライズのオファーは当時企画段階の「ゲインゲイナー」は40分の劇場版として制作される予定だったが、TVシリーズでいくとなった頃に入った。富野監督から特に注文はなく、河口プロデューサーと相談しつつ中村氏が考えて描いている。基本はアニメ版ベースで進めるが、コミックで表現しづらい場面などはアレンジを加えている。

アニメ版から取り入れているのは、富野作品独特の台詞回し。また、アニメでの演出をコミックでやってもわかりにくいので、もう少し丁寧にプロセスを見せていく工夫をしている。また中村氏は富野作品のドロドロ感に魅力を感じるので、意識して描いている部分がある。コミカルな部分よりもシリアスタッチな話の方が描きやすいとか。

マシーンについては、戦闘シーンは「大きく」「強そう」ということを念頭に置いて描いている。悩みどころはオーバースキルをどう表現すればいいか?というところ。

最終的にはアニメ版と違う終わり方になるかも知れないが、果たしてどうなるか?そこは今後のお楽しみということで。
参考文献:OVERMANキングゲイナー エクソダスガイド
2007-09-17
中村嘉宏@Archive パンくずリスト WorkList-Comic パンくずリスト オーバーマンキングゲイナー