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NHK報道番組「列島スペシャル」で放映! 「教師をめざす若者たち」 2000年3月 プレジデント社刊 |
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美術教育概論 −THE GUIDE BOOK OF ART EDUCATION− 2002年9月刊 日本文教出版 詳細はこちら 教員を目指している学生だけでなく,現職の教員からも「美術教育」は難しいという声は少なくない。学習指導要領をもとに,あるいはその解説や各種の指導書を紐解いてその目的や内容・方法について一定の理解をしたとしても,現実にどのようにそれを具体化していくかという段階になるとわからなくなってしまう。 「表現する楽しさを十分に味わわせる」と言いながら ただ単に子どもを野放しにしてしまって「造形遊び」と称する実践が行われていたり,「一人一人の個性を発揮させる」と言いながら,暗に教師の好みで子供の表現を誘導してしまっていたりという事例は少なくない。こうした傾向は,小学校のみならず幼稚園にも見られることである。 学生や教師に聞いてみても,図画工作や美術が「苦手だ」「嫌い」と言う者は少なくない。そして中には,「得意な子,好きな子のための教科」だとか「他の勉強ができなくても,その子のよさが発揮できる教科」だとかいった誤った認識が見られるのである。まじめに一生懸命指導しようとしている教師ですら「美術は答えのない教科であり,自由に解放された雰囲気が大切で,技術や知識などは教えるべさでない」とか,逆に「本物そっくりに描けるように」とか「子供らしくダイナミックな表現を」などと言って作品の見栄えにこだわり,表現の中身から方法まで徹底して指導していることが多く見られる。 これらの,美術教育に対する誤解や無理解は深刻であり,こうした誤解を持ったまま美術教育にかかわってしまうことでさらにその誤解を拡大再生産してしまう。単なる誤解だけに終わるならともかく,人格形成に深くかかわり,また私たちが直面するさまざまな課題を解決していくために必要な態度や能力を育てていく上で不可欠な教育であるだけに,この教科,領域の基本的な理念の正しい理解と適切な実践力を身に付けなければならない 本書は,小学校教諭,幼稚園教諭を目指す人が,美術教育の基本的な理念を正しく理解し,図画工作科の学習指導や幼児の造形表現活動を支援する実践的な力を獲得するためのテキストとして,また自学自習をすすめていくための手引書としてまとめたものである。 第T部では美術教育の基本理念,第U部では図画工作科教育,第V部では幼児造形表現,第W部では実技・実践のための基礎知識や技法などについてまとめてある。本書の巻末に示してある「学習の手引き」を参考にして,それぞれの学習目的と計画に沿って有効に活用されたい。 (大橋 功) |