ダイソールーターの研究(3Vタイプ)

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○取りあえず電池を入れて試運転する

 写真ではわかりにくいかもしれないが、かなり芯がぶれている。そして,非力である。ちなみに電池は単4のアルカリ電池を使用した。

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さて、構造がどうなっているか見てみる

工具の固定は先程のツールを、モーターに直づけした真鍮パイプに差し込んでいるだけである。なんて単純な構造。

先端はプラスチックのチャックにツールが咥えられているだけ

 モーターは形状からしてマブチのFA—130か、そのOEM製品である。電極に導線がハンダ付けされているだけの単純な構造であるが、今時ハンダは鉛フリーハンダではない。これは表面の光沢から分かる。

 モーターに直付けされている真鍮パイプは外径6mm,内径5mm,長さ28mmのサイズである(実測)が、この構造が芯ぶれの元凶である。

 構造力学などとややこしいことを言わなくてもテコの原理で簡単に説明がつく。ツールの先端にかかった応力が、途中に支えがないため、モーターの軸にモロに集中するから、モータの軸の剛性だけでは支えきれない。無理をすればモーターのシャフトが金属疲労で破断する。

○以上色々と述べてきたが、纏めると問題点は2つである

1)モーターのパワー不足

2)シャフトの芯ぶれ


1)については電源の制約があるので出来る範囲で何とかするしかない。幸いFA—130はミニ四駆のモーターなど色々と選択の余地がある。

2)については、外装シェルの構造をよく見ると真鍮パイプの途中にベアリングを追加してモータに集中している応力を分散して支えることができそうである。

と、言うわけで以下は対策編

 いきなり論理が飛躍するが、モーターはクラッシュギア(みんな覚えているだろうか?)のノーマルモーターを選択した。形状は全くのコンパチ、どんな評価をしたかは”モーターと電池の性能評価”のページを参照して欲しい。パワーは約2倍、電源も何とかもちそうである。本当はタミヤのスプリントダッシュモータあたりを使いたかったのだが電源の都合で妥協した。

対策前

対策後:真鍮パイプにベアリングをはめた

対策前 芯ぶれがひどい

対策後 かなり芯ぶれを押さえることが出来た

 芯ぶれ対策としてシャンクとモーターをつないだ真鍮パイプにベアリングをはめた。外装シェルの途中に軸受けをはめてくださいと言わんばかりの溝が掘ってある。幅は3mm、内径10mm。

 真鍮パイプの太さが6mm有るので、内径6mm外径10mm幅3mmのベアリングを探せば良い。

有った!NSKマイクロプレシジョン、品番:SMR106ZZ1がジャストサイズである。税抜き@199円。

 そのままでは真鍮パイプが若干太いのでサンドペーパーで表面を軽く削る。するとぴったりおさまる。

 モーターの換装とベアリングの装着で改造は終了。後は外装を組み立てるだけである。分解するとき何カ所か接着している部分を壊してばらしたので、組み立て後ジクロルメタンを流して接着し完成。

 試運転

 無負荷時のスピンドル回転数は10000r.p.m.から16000r.p.m.に、ダミー負荷をかけたときの回転数は6000r.p.m.から10000r.p.m.に上がった。プロクソンのハイスビットを付けてポリスチレンやジュラコンを切削したときはストレス無く切削することが出来た。ポリカーボネートもテストしたが、このモーターではちょっとパワー不足であった。

 ダイヤモンドのビットを装着してステンレス刃物に文字を刻んでみたが、文字がぶれずにきれいに切削することが出来た。