出だしは「ドラクエ」(ゲーム:ドラゴンクエスト)の「草原を歩くテーマ」とそっくりなのですが、ドラクエが真似っこなのでしょう。
ドビッシーのほうが100年早いです。
「パスピエ」とは本来3拍子の舞曲だそうです。これは4拍子だしアレグレットの指示があるしとてもじゃないけど踊れる
曲ではないため、先のイメージはさっさと捨てました。
ピアノの先生に「死を意識した曲らしい」と教えていただきました。最初に聞いたときから「儀式」っぽいところがあると
感じていたので、そこからふくらませました。
私が考えるこの曲のイメージは「幼馴染のお葬式」です。音の表情は3つに分けられ、「時間」「回想」「儀式」です。
(幼馴染:おさななじみ。読めるよねぇ?うちに読めない人がいたので念のため)
出だし部分(ドラクエみたいな所)は「時間」です。時はいつでも正確に刻まれていきます。人は楽しい時間は速く、哀しい時間は
残酷なほどゆっくり過ぎると感じますが、すべての人に平等に、一定に、時は刻まれていきます。
主人公は幼馴染のお葬式に出ています。幼馴染の母親は泣き叫び、父親はうなだれ、花を運ぶ業者は無表情で、久しぶりに会った
友達同士は再会を喜びます。主人公の目にはその全てが奇異に映ります。彼には幼馴染の死がピンときません。
幼馴染はずっと少しだけ一歩前をいく存在でした。森へ探検に出かけても、原っぱの大きな木を登っても、岩の上から池へ飛び込んでも、
先に何か見つけるのは上手にできるのは、彼でなく幼馴染でした。
彼の頭には、一緒に見つけた昆虫、二人で隠した宝物、寝ないで守った秘密基地が次々と浮かびます。そして思います、
「なんだ、生きてるじゃないか」。
出だし部分から曲想が変わり神秘的、懐古的な音に入ったところが「回想」です。
彼がハッとして周りを見ると、オルガンの音が低く響き、神父様はお祈りをして、参列した人々は胸の前で手を合わせていました。
大好きなおじいちゃんが死んだときも、近所のおばちゃんが死んだときも、同じシーンを見たことがあります。彼の知らないところで
リハーサルでもしたのか、一指呼吸も乱れず、みな同じ行動をとっています。
明るい和音が続くところが「儀式」です。お葬式でも卒業式でも結婚式でも儀式は区切りとして大切なものなのでしょうが、
時に感情とかけはなれたもので、私は不思議に思うことがあります。個々の感情や都合で進行を妨げられないものが儀式なのです。
逃れようとしても追ってくる残酷さを表すために楽譜表示よりフォルテ寄りで弾いています。
彼は「こんな葬式はデタラメだ」と抵抗します。転げまわった土手、内緒の洞窟、泣かしちゃった女の子‥
終わりのないオルゴールのように思い出がまわります。儀式の‘やかましさ’を振り払っては思い出し、振り払っては思い出し、
を続けます。
曲の流れでは「回想」「儀式」が順番に出てきますが、ピアノが2台あればそれぞれのパートを同時進行するものと考えています。
いつしか彼には自分がどこにいて、何をしていて、何を考えているのかわからなくなってきました。
同じ音の繰り返し(Tempo I の直前)は、最初退屈に思いました、さっさと次に移りたい(笑)。でも弾いていくうちに
ブラックホールに落ちるときみたいに、四次元の世界に入り込むときみたいに、左右から上下からの渦に巻き込まれるのを
表すためには必要な11小節だと思うようになりました。が、好きな音ではなーい。
あれから時間は経ったのでしょうか。彼は空想の中の時間を感じているのでしょうか。
最初のフレーズ「時間」が右手左手反転してでてくる発想はかなり好き!
幼馴染が死んでも、彼がどんなに寂しく思っても、時は止まらずに刻み続けています。
突然、遠くがフワーっと明るくなって、細い光がぐんぐん昇っていって消えました。他の誰にも見えない一筋の光。
彼は初めて思いました。「あいつにはもう会えないのかもしれない」。
‥というか細い光を表したいんだけど、最後のppp部を私が弾くと、「ほのぼのレイク」の偽者宇宙船みたいに、
コケてしまうのが、ずーっと課題。